先日、日本政策投資銀行設備投資研究所の渡辺孝所長から日本のTLOについて講演を伺う機会があった。その一部を紹介したい。
スタンフォード大学の収入の中で、産業からは1%。一番大きいのは、受託研究費、基金とかであり、巨大な資金を国から貰ってくる・・・。
授業料というのはそう大きなウェイト占めてないのは、日本でもアメリカでも同じなんです。また、5%分が寄付になっており、先輩や大学卒業生の組織などからの寄付という財政基盤にもなってる・・・。
山口大学でTLOを作りの旗振りをした広中平祐先生は、マネージメント能力がないと学科長は務まらない。一回ワイン飲むと10ドルなんだよ。全米の卒業生サークルに行ってですね、パーティをして、1杯づつ乾杯をすると100ドル集まる、こんなことを学科長はやらないと、レプテーションがあがらない。数学だけアメリカでやったんじゃないんだよという話をされた。同じ事を山口大学で実践されたが、最初は工学部の先生も面食らったようなんです・・・。
MITを見てみますと、収入の中で産業界からは6%しかない。スポンサードリサージ、それからリンカン研究所というのはフェデラルガバメントの直轄であり、これも国であるわけなんです。そういった意味で収入の半分以上が国の資金からであります・・・。
スタンフォード大学のTLOでは、ライセンスを実施した内、10万ドル以上の収入がある発明は、32件しかない。ライセンスしている内の1割位であり、特許でがんがんお金が入るものではありません。今回の国立大学付置の別組織のTLO組織ができましたが、あれが収入生んで資金が大学に還元され得るかどうかは、10年経ってみないと分からない。かなり気の長い話であります。
日本では、大学等技術移転促進法が2年前に出来て、TLOをつくる法律の土台にした。この法律の積極的意味は産学連携を明示的にすることにより、大学研究者が後ろ指を指される危惧なしに企業と連携出来るお墨付きを与えた・・・。
アメリカで言うベンチャーは、インテル、DEL、シスコ、サン、アップル、アプライド・マテリアルズ、スリーエム、クアルコム等であり、日本で言うベンチャーとはまったく違います・・・。
どうも私はかなり勘違いしていた。TLOを作れば、そこからお金がジャブジャブ出てくるものと思っていた。いかに浅知恵だったことか。今後一層、知識を知恵に変える努力をして行かなければならないことを再認識させられた。
(桜美林大学 鳥居 聖)
●5月例会のご案内です。進研アドの足立寛さんには、ベネッセが2000年に1033人の学長・学部長に行った大学教育改革に関する調査結果をもとに、1998年時との調査比較も含めながら、大学教育改革の課題と展望についての報告をしていただきます。わずか2年の間に、大学の将来的な在り方、大学生の学力変化、入試選抜方法等について、驚くほどに急速な議論の深まりが見られます。大学のそして学長・学部長の意識の変化それはドラステックに変わりはじめたことを実感していただきたいものです。●報告の後、参加者全員とのディスカッションも含めて、大学教育改革を進めていくための組織はどうあればよいか等についての意見交換をいたします。皆さまにはお仲間をお誘い合わせの上、積極的なご参加をお願いいたします。●今月の月例会会場は工学院大学新宿キャンパスです。お間違えなきようお願いいたします。なお、例会終了後は、さらなる意見交換をいつもの割烹「京都」で行います。
【日時】 平成13年5月19日(土) 午後3時〜6時
【会場】 工学院大学新宿キャンパス 8階 0815号教室
*低層階用エレベータにて9階で降り、階段で1階降りて下さい。
【発表者】 進研アド・大学改革支援室 シニアディレクター 足立 寛
【参加費】 会員:1000円 学生:500円 非会員:1500円
【申込先】 出光 直樹 idemitsu@obirin.ac.jp
これほどまでに大学人の問題意識は変わるものか。数字が語る事実は「大学は変わらない」という常套句を使うことを躊躇させるのに十分です。
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ベネッセ文教総研では1998年11月に「大学満足度と大学教育の問題点」の調査を行いました。さらに、2000年5月には、1998調査を継続・発展させる目的で「高大連携」を中心【テーマ】とした調査を行い、その結果を『教育改革と人材育成の方向性』−学長・学部長を対象とした調査より 2000年版(2000.12.15 ベネッセコーポレーション・ベネッセ文教総研)としてまとめています。
この2年間、中央教育審議会、大学審議会、教育課程審議会の答申や、国公立大学の独立行政法人化、大学の研究評価に関する進展などにより大学を取り巻く環境は大きく変わっています。
報告書では、環境の変化を大学人はどのように意識しているのかの過年度比較もさ れています。その結果としては
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足立さんには、この調査から大学人(学長・学部長)が変化する環境をどのように受け止めているか。今後の大学改革はどのような方向性に向かうべきだと考えているのか。入試の方向性についてはどうなのか等について、さまざまな視点からご紹介いただきます。また、併せて大学改革に結び付けた学生募集のあり方についても詳しくアドバイスいただく予定です。当日は、足立さんから提言いただいた内容をタタキ台として、参加者全員で、21世紀を活き昇るための大学教育改革のあり方や学生募集のあり方についてFMICS流にディスカッションを展開したいと思います。皆さまにはお仲間をお誘い合わせの上ご参加下さい。
●今月のYFN・名古屋FMICSのスピーカーは、大阪商業大学教授の鋤柄光明さんです。FMICSの草創のころからのメンバーのお一人です。わが国大学経営コンサルティングファームの草分け的存在として活躍の場は世界です。また、大学教授としても日々実践の中で大学改革に奮闘されています。●お話いただくテーマは、「外国語教育と教養教育を考える」です。21世紀の新しい大学のカタチを考えるためにも、外国語教育の現状と教養教育の再構築についてじっくりと語っていただきます。皆さまには、お仲間をお誘い合わせの上ご参加下さい。
【日時】 平成13年5月21日(月) 午後6時半〜9時
【会場】 岐阜県羽島市間島 割烹 鯉正
TEL: 0583−91−7325
【発表者】 大阪商業大学教授 鋤柄 光明
【参加費】 4000円・懇親会費込み
【申込先】 YFN 事務局 林 憲和 nhayashi@ha.shotoku.ac.jp
FMICS Staff Development 略して「SD」は、月例会とは別に、原則として第3週の水曜の夜に開催されている勉強会です。超競争時代をしたたかに活き抜くためにも、大学人一人ひとりの努力を束ねる場をご案内いたします。
(1)メディアチェック
あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(15枚程度)して、氏名と簡単なMEMOを付してご持参ください。
各自5分間程度のコメントをしていただきます。
(2)テーマを定めた継続的な勉強会
1997年度は国立教育研究所編『日本近代教育百年史』を、1998年度は工学院大学と拓殖大学の沿革史を、1999年度前半は『戦後の大学論』を読み進めてきました。そして、1999年度後半からは、ぐっと現代に近づきました。戦後の大学政策に関するもっとも包括的な基本文献として黒羽亮一先生の『戦後大学政策の展開』を座右の書として、中教審、臨教審、そして大学審等の「答申」をただいま読み込み中です。
【日時】 平成13年5月24日(木) 午後6時30分〜9時
*13年度から木曜日になりした
今後の予定:6月21日(木)、7月19日(木)
【会場】 工学院大学・新宿キャンパス 高層棟27階 2710ゼミ室
【コーディネーター】 桜美林大学大学教育研究所 研究員 出光 直樹
【テキスト】 黒羽 亮一『戦後大学政策の展開』 玉川大学出版部
【申込先】 出光 直樹 idemitsu@obirin.ac.jp
●6月のFMICSは特別企画です。ゲストは元文部事務次官・新国立劇場運営財団顧問の木田宏先生です。テーマは、戦後の高等教育の展開と課題です。文部行政のカタチを Think Big に語っていただきます。ご期待下さい。
【日時】 平成13年6月16日(土) 午後3時30分〜6時30分
【会場】 工学院大学 新宿キャンパス
【特別ゲスト】 元文部事務次官・新国立劇場運営財団顧問 木田 宏 先生
◆FMICS シンポジウム 2001 の日程が決まりました。大競争の時代の今こそ、原理原則、基本の基本が問い直されることになります。大学のすべての構成員一人ひとりのミッション・パッション・アクションを本物にして、一つに束ねたいということから
といたします。◆現在、SYMPOSIUM 運営委員会では、新しいプログラムを企画中です。詳細は、5月号 FMICS BIG EGG にてご案内させていただきます。◆皆さまには、夏期休暇前のご多忙のときとは存じますが、7月14日(土)〜15日(日)は、FMICS シンポジウムにフルオープンでご参加くださいますようスケジュールボードには赤丸をお付けくださいますようお願いいたします。