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2002年1月のFMICS



「始まり」の「終わり」

 「未来を予測する際、大方の人々は過去から類推する。その際の問題は過去の事実のどれを判断材料として取り上げるかであろう。・・・仮に十分なデータの客観的な分析に基づいて予測できたとしても、大きな構造変化が起きている時には、過去からの類推自体が通用しなくなる可能性がある」と、「歴史の教訓」と題されたコラムで「身近な過去からのみ類推する」ことへの警鐘が鳴らされている(日本経済新聞2002年12月21日朝刊)。

 臨時教育審議会が提唱した大学設置基準の大綱化から10年が経ち、2001年12月11日に総合規制改革会議の第1次答申が発表された。21世紀の始まる今年の終わりに、1949年に制度発足した新制大学がほぼ半世紀を経て事実上の終焉の時を迎えた。10年前に提唱された教育課程の規制緩和に加えて、今回の校地面積・設置抑制などの規制撤廃によって、ソフトとハードの両面からの競争政策がほぼ完結する。それは同時に、ことに3年前の「21世紀答申」以降、文部科学省から矢継ぎ早に発表された幾多の答申、報告に盛り込まれた具体的処方箋(ビジネスモデル)が示してきた大学改革の帰結点でもある。今年からわが国の高等教育界は「過去とは断絶した歴史期」に入ることは間違いない。

 試みに、わが業界での「すでに起こった未来」(ドラッカー)を12月の日経紙から探ってみよう。

「米国では約二十州が・・(値上がりリスク回避のための)学費前払い制度を導入している」
「日本私立大学連盟は・・大学同士の合併や、『民事再生』『破算』といった破たん処理の手続きなどを解説した危機管理マニュアルを作成した」
「携帯情報端末向けソフト開発のパームネットは中国の北京工業大学と提携してソフトウエアの受託開発に乗り出す」
「東京理科大学の学生が埼玉県内で教育サービスを提供するNPO法人を設立する」
「大学が出願した特許の件数は・・前年より54%増加した」

  そう言えば、リストラと呼ぶ人員整理と同様に、産学協同(現在は産学連携か)を「糾弾」したマスコミ論調はいまは昔となっている。

 「(先進国の人口減少という)枠組みの中で活力を維持し、できれば成長を続けるために最も大切なことは、供給力の基盤であるにとどまらず需要の源泉でもあるヒト、とりわけ知識情報社会では教育水準の高い優秀なヒトの確保である」と、「21世紀の最も貴重な資源」というコラムでは、「人財」インキュベーターとしての高等教育機関への需要が見込まれている(同紙2002年12月20日朝刊)。しかし、そのことと大学の繁栄が直結する保証はどこにもない。「若い優秀な人材の世界的な争奪戦が起こる。それに勝ち抜いた国が二十一世紀の勝者だ」(同)と断じるが、国力増強のためには、新制大学と呼んできたモデルを一旦ご破算にしてから、各々大学で新たな学びのカタチを構想することが求めらる。私学の実態としての民間化のテープはすでに切られている。

(山本 明正)



ご案内 FMICS1月例会 (第428回例会)


●自ら学ぼうとする人たち“まなびっと”のための21世紀型まなびっと主義大学を創る。いよいよ、FMICS人が時間をかけて螺旋状的に練り上げてきたミッション・パッション・アクションをカタチにするときが来ました。“あったかさ”の真贋が問われることになるのです。●総合規制改革会議「規制改革の推進に関する第1次答申」の内容にビツクリされていませんか。これは、世界を相手にした活きのぼり競争に勝つための入門書。さぁ、FMICS人の出番です。●1月のFMICSは恒例の葉山合宿例会です。今年も、工学院大学・新宿キャンパスでの新春月例会の定番プログラムは「聞かなきゃ損する・丹内明良の先見2002」で始まります。続いて、磯の匂いが懐かしい湘南葉山に会場を移します。新鮮な海の幸と冷たいビールで懇親会。こたつの中でのオールナイトFMICSは体力勝負。漁り火が朝もやの中にとけ込むころまで続きます。●平成14年度のFMICSのアクションプランを練り上げます。そして、参加者全員の10分間スピーチで、激変する高等教育に対する想いと決意を語り伝えていただきます。●翌朝は、ゆったりと海を見ながら、美味しいコーヒーとケーキで反省会です。●FMICSらしさを十二分に体感できる1月合宿例会・通称「こたつが合宿例会」。お仲間にはぜひとも一言おかけ下さい。昼、夜プロのみの部分参加も歓迎いたします。

【日時】 平成14年1月26日(土)〜27日(日)
          オリエンテーション  午後1時〜3時
          合宿FMICS   午後6時〜翌午前9時

【会場】
オリエンテーション 工学院大学新宿キャンパス 4階 0477教室
*エレベーターは、4階には止まりません。3階または5階で降りて、階段で上下してください。
合宿FMICS 中央大学葉山寮
神奈川県三浦郡葉山町堀内86 TEL 0468-75-0009

《交通》 東京駅→JR横須賀線(約1時間)→逗子駅
→海岸廻り葉山行きバス(15分)→鐙摺(あぶずり)
→徒歩(5分)→中大葉山寮
*JR逗子駅からタクシー(約10分)

【テーマ】 ミッション・パッション・アクションのカタチ
       21世紀型まなびっと主義大学を構想する

【プログラム】
1月26日(土)
0:30P.M.月例会受付開始
1:00オリエンテーション 先見・あしたのカタチ 2002
3:00合宿FMICS葉山会場へ移動
6:00夕食&懇親会
9:00点検 FMICS 2002 アクションプラン
10:00緊急報告 総合規制改革会議 第1次答申を読みこなす
11:0010分間スピーチ 点検 わたし流のミッション・パッション・アクションのカタチを構想する
1月27日(日)
0:00A.M.朝までフリートーク
FMICS定番は体力勝負です
8:00朝食
9:00総括

【参加費】
オリエンテーション 会員1000円 / 学生500円 / 非会員1500円
合宿FMICS 懇親会&宿泊10000円 / 懇親会のみ日帰り6000円

【参加条件】 合宿FMICSの参加者には、@10分間スピーチのテーマは「わたし流のミッション・パッション・アクションのカタチを構想する」です。A4用紙1枚程度のレジメに“わたし流のカタチ”をおおらかにラフスケッチしてください。A合宿終了後に800字程度で MY FMICS (感想文)をお書きいただきます。提出期限は2月2日(土)です。B点検「FMICS2002アクションプラン」では、今年一年間の活動、出版企画を練ります。あなたのあったかさ一杯、Think Big なお智恵を貸していただきます。

【申込先】 定員になり次第、締め切らせていただきます。1月22日(火)までに、坂田 範夫 kintoki(アットマーク)tamajs.chuo-u.ac.jp までお申し込み下さい。



ご案内2 YFN1月例会 (第427回例会)

 昨年10月に柳ヶ瀬において、FM1CSも関わり実現した「GIFU OPEN UNIVERSITY10大学合同フェスティバル〜大学がまちにやってきた〜」が、単に秋のお祭りに終わらず、商店街と学生が協力して空き店舗を改装し、県下県外の大学30大学が合同して柳ヶ瀬学生村を立ち上げました。毎日曜日に各大学が知と文化のパフォーマンスを繰り広げ大いにアピールし市と交流したり、学生村共同企画で様々な行事を実施します。2002年最初のYFNは、学生村と共同でまちづくりフォーラムとして実施します。ご期待下さい。

【日時】 平成14年1月12日(土) 午後3時〜5時

【会場】  岐阜市柳ヶ瀬通2丁目 柳ヶ瀬学生村

【テーマ】 まちづくりフォーラム 2002年時流を読む
       市街地商店街の活性化についても考える

【発表者】 海外新聞普及協会取締役 丹内 明良

【参加費】 1000円

【申込先】 YFN事務局 林 憲和 nhayashi@ha.shotoku.ac.jp



FMICS SD 125

●FMICS Staff Development 略して 「SD」は、月例会とは別に、原則として第3週の木曜の夜に開催されている勉強会です。超競争時代をしたたかに活き抜くためにも、大学人一人ひとりの努力を束ねる場です。

(1)メディアチェック 

 あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(15枚程度)して、氏名と簡単なMEMOを付してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。

(2)テーマを定めた継続的な勉強会

 1997年度は国立教育研究所編『日本近代教育百年史』を、1998年度は工学院大学と拓殖大学の沿革史を、1999年度前半は『戦後の大学論』を読み進めてきました。そして、1999年度後半からはぐっと現代に近づき、中教審、臨教審、大学審等の「答申」を読み込んできました。2001年8月からは、『英国高等教育制度検討委員会(デアリング委員会)報告』(通称デアリングレポート)を読み込んでいます。

 昨年12月からは新企画がスタートしました。前日本私立大学連盟事務局長日塔喜一さんをアドバイザーとしてお迎えし、ご自身の著書『機会均等へ向けて』を読みこなしていきます。経常費補助金制度の誕生(昭和45年)以降の私学経営の軌跡をチェックします。

 なお、今月の講読範囲は『機会均等へ向けて』p2〜p52です。皆さまからの質問大歓迎です。

【日時】 平成14年1月17日(木) 午後6時30分〜8時30分
      *今後の予定: 2月20日(水)、3月27日(水)

【会場】  工学院大学新宿キャンパス 高層棟27階2710ゼミ室

【テーマ】 21世紀の大学の原理原則を探る
       経常費補助金制度の誕生−2−

【コーディネーター】 桜美林大学大学教育研究所 研究員 出光 直樹

【テキスト】 日塔 喜一『機会均等へ向けて』 開成出版
       *日塔さんの紹介ということで定価3000円のところ2割引きで購入できます。
       《申込先》 開成出版 03-5689-7654

【申込先】 出光 直樹 idemitsu@obirin.ac.jp



速報 2月のFMICS

●歴史は明日を語る。中央教育審議会38答申から46答申までのわが国の高等教育に対する想いを検証いたします。21世紀答申(H10.10.26)と比較検討しながら、大学改革のヒントを探したいものです。●2月例会ですが、3月2日(土)になりますことお詫びいたします。

【日時】 平成14年3月2日(土)

【会場】  工学院大学新宿キャンパス

【テーマ】 (仮題)歴史は明日を語る
       中央教育審議会38答申と今日の大学

【スピーカー】 常葉学園大学 学長 斉藤 諦淳



速報 3月のFMICS

●SKF・関西FMICSが総力を挙げて企画担当する平成14年3月の FORUM IN KYOTO の日程とテーマが決定しました。詳細は後日ご案内いたします。

【日時】 平成14年3月23日(土)〜24日(日)

【テーマ】 21世紀の大学のカタチ 今、現場で何が起きているのか

【連絡先】 大谷大学企画調整室・滝川 義弘  tacky@sec.otani.ac.jp