民主教育協会(天城 勲 会長)が編集発行している『IDE 現代の高等教育』NO.439, 2002年5-6月号では、“大学のSD”を特集しています。その中に「運動体としてのSD − FMICS」のタイトルにて、高橋真義さんが FMICS をまさにそのままの調子で紹介した一文を寄せています。また、山本真一さん、佐藤東洋士さん、河原崎福治さんといった方々が、それぞれ寄稿されています。皆さまには是非ともお目通し下さい。
「国立大学全体が法人化を決心したことは大きい。自分の大学を光輝くものにすべく全教員が団結して頑張るスタートポイントだと思う」と、長尾真国大協会長・京大学長は、国大協の臨時総会後の記者会見でコメントした(日本経済新聞2002年4月20日朝刊)。「全会一致が原則の国大協では異例の挙手採決」による了承、という。やや労組委員長的な言葉遣いに、「当局」や「組合員」との交渉の経緯と内容が示されているのか。
同記事による各大学の反応は、今日の日本人の規制緩和政策への反応を示す好例であろう。
「(非公務員型は)産学連携など兼職が可能という理由は教員なら分かるが、職員まで引きづり込むのは納得できない」(福井大)
「旧帝大は自由度が増すかもしれないが、地方はバラ色とは思えない」(宇都宮大)
「(地域間格差は)今後の法人化特別委で格差問題を取り上げて」(弘前大)
「(第三者評価の)合理的評価方法の確立には時間がかかる」(新潟大)
「宝物は新しいことをやる中にある。それを避けていては何も得られない」(山梨大)
「私大にとって対岸の火事ではない」。国立大の「独法」化について、山岸さんが早くから警鐘を鳴らされていた。国立大の「法人」化は、公務員削減計画の大票田、将来の財政支出削減の小さなひとつといった外的要因もあるが、国家と同様に、高等教育機関もG7最低の水準と言われ(進学率は脇におくが)、国立大の存在意義を私大自身も問いかけてきたことへの回答が今回の競争政策であろう。しかし、蓋を開けてみれば、「国立」という名を冠した法人化、当面は財政支出を維持しながら各大学の経営力を増していく予算配分など、まるで郵便貯金(国立大学法人)対銀行預金(学校法人)という図式に近い構図とも思える。
このように考えると、最近答申された法人化への指南答申のほかにも、近年の数々の審議会答申などは具体的な改善項目を網羅的かつ継続的に提示していて、法人化への参考資料の役割をも兼ねていたように見える。さらに、ロースクールによって旧帝大の文系に、先端分野育成(トップ30研究科)によって国立大の理系に、各々財政出動の錦の御旗が立てられれば、わが国の国情からすると、当該大学全体の競争優位は充分に見込める。
「生き残るためには生まれ変わらなければならない」と、軽自動車最大手のスズキで陣頭指揮を振るう鈴木修会長は言い、低価格の小型車人気に危機感を煽っている(日本経済新聞2002年4月27日朝刊「回転いす」)。国立大学の疑似私学化に続いて、高等教育への民間参入、海外大学の国内学位授与権獲得と、規制撤廃の大波は予知される。まずは、私学のバイタリティーをもって、教育・研究ニーズに対応した戦略的行動を続けていくほかはない。新年度を迎え、MPAの3文字が我々にますます大きくに迫ってきている。
(山本 明正)
「高校卒業まで田舎町の公立校でずっと教育を受けてきた人間にとって、実は私学は贅沢の象徴だった…」大学入学のために上京した同じ境遇の友人の言葉だ。特別な動機ない限り、田舎の一般人は、地元の公立校を卒業し、地元の国立大に入学する。卒業後は地元の教師か役人…ある意味、王道だった。東京の高価な私学に通うなど、田舎者には別な意味で“高嶺の華”だった。ただ、私学に学び、私学の禄を食むと、国立大には「顔」がない気がしてきた。「教育理念」や「建学の精神」の有無のせいであり、そのお蔭と言えよう。
「…行政官も『親方日の丸』の保護の下で仕事をしており、本当の意味での経営能力があると言い難い。大学の特質を体で理解しつつ、運営に公共性・公益性を盛り込み、なおかつ高いコストパフォーマンスを実現するためには、教官も行政官も大学経営のプロになるしかない。その意味で、文科省も大学も大学経営のプロを養成するために、早急に手を打つ必要がある。」京大事務局長の本間政雄氏の提言である。また同氏は今後の独法化に向けて、事務職のトップ起用も主張する(論座5月号・大学の再生法)。国立大の、しかも京大の事務のトップが「書いた」ということに、国公私立大学全体の改革の進捗状況が気になり出した。
今年4月、かの山岸俊介氏が「未完の大学改革」を中公叢書から出版なさった。故・永井道雄氏の高等教育論文を編集したものである。内容の紹介については割愛させていただくが、小学生時代に野球少年だった私は、甲子園の開会式で挨拶をする永井文相の姿しか記憶がなかったが、30余年の年月を超えて、当時の高等教育に対する警鐘を読ませていただいている。我々に訴えかけてくるものは、山岸氏が書いているとおりに、「予言」に近いもので、現在の混迷する大学改革への警鐘と置き換えても十分通用するに違いない。当時、大学紛争という形でぶつかってきた学生は、現在無関心と第三者的眼差しで冷静に離れていくだけの気がする。この時期にこの本の出版を歓迎し、も一度、ミッションを考え直す機会としよう。
今、大学経営を考える上で、別な意味で憧憬の国立大学と肩を並べることになるかと思うと、身が引き締まるのを感じるとともに、冷めた“お客さま”への戦略的サービスの内容を再検討する必要性を感じる。永井氏の提言の中に「大学公社案」があり、「認証評価機関」による第三者評価義務を提案した中教審中間報告(02.4.18)が出されている。混濁したこの時代にあって前進する方向性だけを見極める智恵を研ぎ澄ますべきだ。 学費の安く、家から通える地元の国立大。イメージ「顔なし」が、理念とミッションの私学群とそして世界の大学と“高等教育”の御旗を賭けて戦略戦を繰り返すこととなる。
(松本 和俊)
●「教育はサービスである」。この視点に立って大学輸出をアメリカはもくろんでいる。●昨年末、中国の加盟で話題をさらったWTO(世界貿易機関)。そのかげで、知られざる「貿易摩擦」が起きている。アメリカが、各国の高等教育を外国大学に会報するよう提案したのだ。れっきとした学位も認めろ。「護送船団方式」で保護されてきた日本の大学に、国際競争の大波が差し迫っている。−Yomiuri Weekly 2002.3.17−●大競争時代と言われているわが国に対して黒船がやってくることになる。アメリカの大学がわが国の優秀な学生のたとえ5%でも囲い込めば、国内で優位に立っているはずのトップ30大学の地位や影響力は決定的に下がってしまう。そして、この囲い込みが何年にも及べば、確実にわが国の教育力は落ち、日本沈没が現実のものになる。まだまだその実態、影響等についてはベールに包まれているが、これは決して絵空事ではない。いよいよ随所にそのカタチが見え隠れしはじめている。今こそ時代の風を大きく捉えることが必要である。近視眼的島国根性で世界を相手には出来ないことを知ったうえで、大学活きのぼり戦略は練っていかなければならない。●今月の月例会は、WTOと高等教育について、ジャーナリストの目で詳細な取材をされた読売新聞の石塚公康さんをゲストにお迎えし、HOTな話題に迫ります。「大学関係者よ目覚めろ」というエールを送っていただきます。皆さまには是非ともお仲間をお誘いの上ご参加下さい。
【日時】 平成14年5月18日(土) 午後2時30分〜6時
【会場】 工学院大学新宿キャンパス 4階 0477教室
【発表者】 読売新聞記者 石塚 公康
【参加費】 会員:1000円 学生:500円 非会員:1500円
【申込先】 出光 直樹 idemitsu@obirin.ac.jp
●5月のYFN・名古屋FMICSは、今月も柳ヶ瀬学生村とFMICSの合同企画です。●ゲストスピーカーの三輪氏は、岐阜県民ならば知らない人はいないと言われるほど有名な岐阜新聞が誇る名物(前)論説委員長さんです。YFNと学生村活動のよき理解者であり支援者です。今回、三輪さんのご協力をいただき、学生村行事として柳ヶ瀬時事講座を開催することになりました。●不易流行。トップジャーナリストの時代を見る目は、今に昔に縦横無尽に広がります。そして、今こそ大切にしたい原理原則が何かを私たちに語っていただけるものと期待されます。もちろんYFN共催です。●この7月開局するシティーFMぎふの番組として収録もされ、毎週番組として流される予定でもあります。これからも毎月第4日曜日に各界から講師をお招きし、三輪さんがキャスターとして学生村から発信していただく予定です。●大学とコミュニティーがFUSIONする新しいカタチに乞うご期待。皆さまにはお仲間をお誘い合わせの上ご参加下さい。
【日時】 平成14年5月26日(日) 午後2時〜4時
【会場】 岐阜市柳ヶ瀬本通り1丁目 柳ヶ瀬学生村
【ゲストスピーカー】 前岐阜新聞論説委員長 三輪 宏道
【参加費】 社会人 1000円 学生 500円
【申込先】 YFN事務局 林 憲和 nhayashi@ha.shotoku.ac.jp
●FMICS Staff Development 略して 「SD」は、月例会とは別に、原則として第3週の水曜の夜に開催されている勉強会です。超競争時代をしたたかに活き抜くためにも、大学人一人ひとりの努力を束ねる場です。
(1)メディアチェック
あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(15枚程度)して、氏名と簡単なMEMOを付してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。
(2)テーマを定めた継続的な勉強会
1997年度:国立教育研究所編『日本近代教育百年史』/1998年度:工学院大学と拓殖大学沿革史/1999年度前半:『戦後の大学論』/1999年度後半:中教審、臨教審、大学審等の「答申」/2001年8月から:『英国高等教育制度検討委員会(デアリング委員会)報告』(通称デアリングレポート)/2001年12月からは新企画がスタートしました。前日本私立大学連盟事務局長日塔喜一さんをアドバイザーとしてお迎えし、ご自身の著書『機会均等へ向けて』を読み込んでいきます。経常費補助金制度の誕生(昭和45年)以降の私学経営の軌跡をチェックします。
今月の講読範囲は、第1部第6章 p165〜170「スタートする私学振興財団」です。
【日時】 平成14年平成14年5月22日(水) 午後6時30分〜8時30分
*今後の日程 平成14年6月19日(水)
【会場】 工学院大学新宿キャンパス 高層棟27階2710ゼミ室
*教室変更もありますのでご注意ください。
【コーディネーター】 桜美林大学 出光 直樹
【テキスト】 日塔 喜一『機会均等へ向けて』 開成出版
*日塔さんの紹介ということで定価3000円のところ2割引きで購入できます。
《申込先》 開成出版 03-5689-7654
【申込先】 出光 直樹 idemitsu@obirin.ac.jp
●大競争時代。18歳人口が急減する今日、留学生の持つ意味が大きく異なってきています。定員確保のために、大量の中国人学生を受け受け入れざるを得ない大学が少なくありません。本来の目的である、国と国を知り、知的国際理解を深めるというカタチが根本的に歪められ、日本嫌いを作るために寄与(?)しているといっても過言ではありません。●5月例会でも取り上げるWTO問題も含めて、新しい時代の国際交流のカタチを多面的に考えます。●膝を交えて大いに語り、ゆったりと温泉に入り、翌朝はサクランボ狩りを楽しむ。人間力増進「湯ったりFMICS IN YAMANASHI」にご期待下さい。
【日時】 平成14年6月15日(土)&16日(日)
月例会 14:00〜18:00 懇親会 19:30〜20:30 オールナイト 21:30〜 起床・朝食 8:00〜9:00 出発 9:30 サクランボ狩り 10:00〜11:30 昼食 12:00〜13:00 解散・甲府駅 14:00
【会場】 山梨学院大学 & 春日居温泉・日の出温泉ホテル
【発表者】 | 飯島 有美子 (関西国際大学) |
高橋 真義 (桜美林大学) | |
足立 寛 (進研アド) | |
大江 淳良 (メディアファクトリー常勤監査役) | |
司会 | 上條 醇 (山梨学院大学) |
【参加費】 月例会:1000円 宿泊費&バスツアー費:12000円
【申込先】 山梨学院大学 上條 醇 a-kamijo@ytos.ygu.ac.jp
*お早めにお申し込み下さい。
●今年は一人でも多くの皆さまにご参加いただきたく、8月のはじめに日程を変更いたしました。●生涯学習時代にあって、大学が活き活きとするためにも“まなびっと”のミッション・パッション・アクションをキリキリと束ねたいものです。
がスローガンとなります。●現在、SYMPOSIUM 企画委員会では、新しいプログラムを企画中です。詳細は5月号 FMICS BIG EGG にてアッピールさせていただきます。●8月3日&4日は、フルオープンでご参加ください。スケジュールボードには、早速赤丸をお付け下さい。
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今年の夏のシンポジウムは、集まれ 活き活き一所懸命“まなびっと”たちをテーマとしています。社会経験を積まれてから学生として大学で活き活きと学んでいる方々をパネリストとしてお招きして、社会人学生として大学で学ぶことの意味や課題など考えるパネルディスカッションを企画しています。
皆様には、お知り合いに社会人学生として学んでいらっしゃる方を、ご紹介いただきたくお願いいたします。3名の方にご参加を頂き、高橋真義さんのコーディネートによるパネルディスカッションを実現したいと思っております。
詳細につきましては、出光直樹(桜美林大学) idemitsu@obirin.ac.jp までご連絡下さい。
◆◆シンポジウム運営委員募集中◆◆
全員先生全員生徒の学び舎を創ろう FMICS 2002
集まれ 活き活き一所懸命“まなびっと”たち FMICS シンポジウム 2002 工学院大学・新宿校舎 3階 0312教室 |
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9:30 | 運営委員集合 |
13:00 | 受付開始 |
13:30 | シンポジウム開会 総合司会 出光 直樹 (桜美林大学 アドミッションセンター) |
13:35 | 解題 われら活き活き一所懸命“まなびっと”宣言 渡邊 桃伯子 (ともクリエーションズ代表取締役社長) |
14:05 | 主張 集合・組織を動かす活き活き一所懸命“まなびっと”たち 足立 寛 ( Between 編集長) 土居 正二 (くもん出版代表取締役社長) |
15:25 | 休憩 |
15:40 | パネルディスカッション 集合・わたし今“社会人学生”しています 皆さまに推薦していただきました社会人学生 1 コーディネーター 高橋 真義 (桜美林大学学長補佐) |
17:20 | シンポジウムに寄せて
私の一言 村田 素子 (聖心女子大学事務局) |
17:50 | アンケート記入 総括 高木 幹夫 (日能研代表) |
18:10 | シンポジウム閉会 閉会の辞 岡村 浩 (工学院大学教授) |
FMICS パーティ 2001 工学院大学・新宿校舎 中層棟7階 生協カフェテリア | |
18:20 | FMICSパーティ開始 司会 吉田 千春 (獨協大学国際交流センター課長) |
19:50 | FMICSパーティ終了 |
オールナイト FMICS 2002 千駄ヶ谷・日本青年館 | |
21:00 | オールナイトFMICS開会 司会 鈴木 匠 (目白学園短大 学生課長) 小出 修嗣 (大阪工業大学 学生課長) |
21:20 | 実習 プロジェクト
アドベンチャーを体験する ファシリティター 高木 幹夫(日能研 代表) |
23:20
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報告 全国で活躍する活き活き一所懸命“まなびっと”集合 宮原 由美子 (熊本学園大学図書館課) まとめ 滝川 義弘 (大谷大学企画調整室) |
10:00 | オールナイトFMICS閉会 |