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2002年6月のFMICS



国立大学事務職員の変化に注目

 今、手許に「新しい『国立大学法人』像について」(平成14年3月26日)という小誌がある。これは「国立大学の独立行政法人化に関する調査検討会議」が編集した、法人化に向けての動きを纏めたものだが、随所に「事務職員」の在り方に関しての記述がある。内容は、従来、事務方が脇役的な立場であったことからの脱却ないしは転換を志向したもので、その考え方は私学に勤務する我々にとっても示唆に富んだものである。曰く「個々の職員の有する潜在的能力を発揮させるインセンティヴ・システムを給与制度に導入」、「・・教員の支援業務を担当する職員など、教員とその他の職員とが連携・協力して教育研究環境を整える視点も重要である」、「・・学内において、中・長期的な人事計画の策定と組織別の職員の配置等(人件費管理を含む)についての調整を行うための仕組みを設けることが必要である」等々。

 つまり、国立大学の歴史の中で必ずしも重視されてこなかった課題ということなのだろうが、これらが法人化の中で実現したら、我々私学職員よりも数段優れた職場環境が実現されるのではないか。(ある国大事務局の方に「私学ではできているこういうことを我々もしたいのです」と言われて返事に窮したのだが・・ 勿論、私大の中にはこのような職場が既に実在しているだろう)

 私は今年1月に筑波大学の「幹部職員セミナー」(133人)に呼ばれ、「私立大学における事務職員の役割と意識」と題して講演する機会をいただいた。事前に総務部長さんから、特に織り込んでほしいとして「学生サービス」「教員と事務職員の関係」が要望された。500近い私大のうちの一例であるという前置きをした上で玉川大学のケースをお話ししたが、会場からの反応は、驚いたり、考えこんだり、うなずいたりと、様々であった。

 学生数に対する職員数は、玉川大学は同規模校の約1.4倍だが、筑波大学はなんとその玉川の4.5倍である。仮に「法人化と新規増員の抑制等による向こう10年間で10%の計画的削減」ができたとしてもなお多数の職員を擁することに変わりなく、職員が一丸となって教員と共に大学運営にあたり、学生サービスに努めたら「極めて住み心地の良い学びの場」が出現することは想像に難くない。「上意下達」の国大にはその可能性が高い。

 次男が某国立大学で学んでいるが、長男と三男が学ぶ私大の学費に比べて格安(496,800/年)とは言え、ほとんど「サービス」という視点が存在せず、父母として大学への関与をしたくとも「とりつくしまもない」状態で、「やっぱり私学の組織はあったかい」というのが実感なのだが、彼ら国立大の教職員がそこのところの改善をしたらまさに「鬼に金棒」ではないだろうか。

 私学にとって強大なライバルに勝つ方策を本気で考える時期はとうに来ている。

(近藤 誠)



息苦しい大学改革は終わりにしよう

 現場に入って、2ヶ月が過ぎようとしている。「息苦しい大学改革は終わりにしよう。他大学の取り組みばかり気にして、同じことをしようとしてばかり。もしできなければ劣等感ばかりが募る。ぜんぜん楽しくない・・・。」息苦しさから離れ、自分なりの時事問題を5点ほど綴ってみたい。

 @『金持ち父さん、貧乏父さん』では学校教育とそれを取り巻く神話や愚かさを批判している。内容の「お金」を「知識」と読み替えてみよう。A病院経営改革の動向。報道では淘汰という言葉が使われている。「ベッド数」を「学生数」に読み替えてTQC(『ザ・ゴール』)を考えてみる。B失敗学。文科省ではデータ・ベース、日経の経済誌では特集まで組まれている。大学は学生に失敗を許してきただろうか。学内では「改革の失敗」をどのように捉えてきたのか?C人はいらない。少子化でも、私大連のアウトソーシング構想でも、Eラーニングでも、移民受け入れでもない。あと30年もすると、クローン人間やロボットが人間を支配する(ディスカヴァリー・チャンネル)。既に、その危機を察知した英国の科学者は情報機器を体内に取り込んだ。D『シナリオ・プランニング』と『ベンチ・マーキング』他大学の四方山話や隣の芝生はもう止めよう。シナリオ・プランニングは楽観的、悲観的、現状維持の3視点で将来構想を紡ぎ出す。ベンチ・マーキングは同業種だけでなく、異業種や自己組織内からもベスト・プラクティス(最上のお手本)を取り入れる

 「能動的アドミニストレータ」を目指すささやかな実践例の紹介。先月号で高橋真義さんが紹介された「一声運動」を自分なりに展開している。食堂や書店で目の合った学生に挨拶をする。「大学おもしろい?」「これまで面白い授業って、いくつあった?」「学生による授業評価の冊子は見たことがある?」面白いほど答えが返ってくる。これを改革に活かすのはもちろんのこと、学生にとっても大学生活を問い直してくれる機会になればいいな。高校生対象の大学説明会。若手職員が昼休みに集まり、小生の大学説明会の発表内容を評価してくれた。本学では初めてパワーポイントを使用した説明、高校生と引率教員による満足度調査の試験的実施、さらに当日は先輩職員が発表を視察に来る。「別に厳しくなんかないよ。周りの反応を知ることができて、かえって楽しいくらい。」まずは職員が「教員から信頼されるようなSD活動」を一刻も早く展開しなければ。

 さて、次はどんな企画を練ろうか。7割方イメージが出来たら、お昼休みに同期(今春入社)に意見を聞くことにしている。たとえ学長に通じても、ここで通じなかったら改革実現は不可能であろう。「学びの共同体」をキーワードに、本学の改革に貢献したい。

(本田 寛輔: 大東文化大学 学務課・学長室担当)
※本稿は組織の意見を代表するものではありません



ご案内1 FMICS6月例会 (第437回例会)

●大競争時代。18歳人口が急減する今日、留学生の持つ意味がこれまでにもまして重要な意味を持ってきています。学生定員確保のために、大量の中国人学生を受け受け入れざるを得ない大学が少なくありません。本来の目的である、国と国を知り、知的国際理解を深めるというカタチが根本的に歪められ、日本嫌いを作るために寄与(?)しているといっても過言とはいえないのではないでしょうか。●わが国の大学は「教育はサービスである」という世界標準とはかけ離れたところで、日本型の国際交流の枠組みを考えてきました。これからは、5月例会でも取り上げましたWTO問題も含めて、国際交流を狭い枠組みで考えることはナンセンス。大学が活きのぼるためにも何としても THINK BIG な視点が必要となります。●今月は基調テーマを「これからの国際交流を考える」としましたが、多くのFMICS人財の発表者にはそれぞれの得意分野を語り伝えていただきます。それらの知恵を紡ぎ合わせて時代を見るアンテナを磨いていただきたいのです。●夜プロは敢えてテーマは決めません。ゆったりと膝を交えてワイワイガヤガヤ大学のことを語り明かします。頭のトレーニングの後は温泉に入ってリフレッシュ。翌朝はサクランボ狩りを楽しみます。人間力増進「湯ったり FMICS IN YAMANASHI 」にご期待下さい。●お申し込みは、早めに山梨学院の上條醇さんまでメールでお願いいたします。交通のご案内は、インターネットで確認下さい。


【日時】  平成14年6月15日(土)&16日(日)

月例会14:00〜18:00
懇親会19:30〜20:30
オールナイト21:30〜
起床・朝食8:00〜9:00
出発9:30
サクランボ狩り10:00〜11:30
昼食12:00〜13:00
解散・甲府駅14:00

【会場】 山梨学院大学春日居温泉・日の出温泉ホテル

【テーマ】 大競争時代の大学は今 これからの国際交流を考える

【発表者】 飯島 有美子 (関西国際大学 専任講師)
 高橋 真義 (桜美林大学 学長補佐)
 足立 寛 (Between 編集長)
 大江 淳良 (メディアファクトリー常勤監査役)
  司会 上條 醇 (山梨学院大学 教授)


【参加費】 月例会:1000円  宿泊費&バスツアー費:12000円

【申込先】 山梨学院大学 上條 醇 a-kamijo@ytos.ygu.ac.jp
       *お早めにお申し込み下さい。



ご案内2 YFN6月例会 (第438回例会)

●6月(7月7日実施)のYFN・名古屋FMICSは、姫街道七夕祭りinぎふ実行委員会と柳ヶ瀬学生村柳ヶ瀬学生村が主催企画する七夕祭りにFMICSも共催参加いたします。●今年岐阜県のビッグイベントである中山道400年を記念した企画が関連16市町村で秋まで繰り広げられます。その中で岐阜市編ともいうべき、岐阜駅や岐阜市中心市街地である柳ヶ瀬で、ご存じ学生村が企画して、岐阜の初夏を熱くするために、東京・名古屋・岐阜の学生達若者300名以上の踊り手が集結する予定です。●FMICS流フュージョンのカタチ、学生とコミュニティーが作る新しい夏祭りに皆さまにも是非ご参加下さい。

【日時】 平成14年7月7日(日)午後12時30分〜4時

【会場】  岐阜市柳ヶ瀬本通り1丁目
    柳ヶ瀬学生村 高島屋前ワクワク広場アクティブGシティー

【プログラム】 姫街道400年祭協賛 柳ヶ瀬学生村企画
         七夕まつりINぎふ 姫街道 若衆宿

●七夕トークイベント  夢語り まち・若者・イベント
講師鍋屋バイテック社長 岡本太一
NPO法人MATURI代表 田村 直敏(法政大)
NPO. JP 吉田 知弘(名城大)
柳ヶ瀬学生村村長 木野 里香(岐阜聖徳学園大)
司会進行鶯谷中学・高等学校教諭 安元 彦心

●ハートピア祭りプレイベント
 若者の力! 地域を越えて 東京・名古屋・岐阜、世代を越えて 地方文化の交流
 よさこい鳴子踊りチーム10チーム(東京・名古屋・岐阜の学生300名参加予定)

【問い合わせ先】 YFN事務局 林 憲和 nhayashi@ha.shotoku.ac.jp



FMICS SD 130

●FMICS Staff Development 略して 「SD」は、月例会とは別に、原則として第3週の水曜の夜に開催されている勉強会です。超競争時代をしたたかに活き抜くためにも、大学人一人ひとりの努力を束ねる場です。

(1)メディアチェック 
 あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(15枚程度)して、氏名と簡単なMEMOを付してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。

(2)テーマを定めた継続的な勉強会
 1997年度:国立教育研究所編『日本近代教育百年史』/1998年度:工学院大学と拓殖大学沿革史/1999年度前半:『戦後の大学論』/1999年度後半:中教審、臨教審、大学審等の「答申」/2001年8月から:『英国高等教育制度検討委員会(デアリング委員会)報告』(通称デアリングレポート)/2001年12月からは新企画がスタートしました。前日本私立大学連盟事務局長日塔喜一さんをアドバイザーとしてお迎えし、ご自身の著書『機会均等へ向けて』を読み込んでいきます。経常費補助金制度の誕生(昭和45年)以降の私学経営の軌跡をチェックします。
 今月の講読範囲は、第3部です。

【日時】 平成14年6月19日(水) 午後6時30分〜8時30分

  *今後の日程 7月24日(水)、8月21日(水)

【会場】  工学院大学新宿キャンパス 高層棟27階2710ゼミ室

*教室変更もありますのでご注意ください。

【テーマ】 21世紀の大学の原理原則を探る
       経常費補助金制度の誕生−7−

【コーディネーター】 桜美林大学 出光 直樹

【テキスト】 日塔 喜一『機会均等へ向けて』 開成出版
       *日塔さんの紹介ということで定価3000円のところ2割引きで購入できます。
       《申込先》 開成出版 03-5689-7654

【申込先】 出光 直樹 idemitsu@obirin.ac.jp



FMICS SYMPOSIUM 2002

●今年は一人でも多くの皆さまにご参加いただきたく、8月のはじめに日程を変更いたしました。●生涯学習時代にあって、大学が活き活きとするためにも“まなびっと”のミッション・パッション・アクションをキリキリと束ねたいものです。

全員先生全員生徒の学び舎を創ろう FMICS 2002

がスローガンとなります。●現在、SYMPOSIUM 企画委員会では、新しいプログラムを企画中です。詳細は5月号 FMICS BIG EGG にてアッピールさせていただきます。●8月3日&4日は、フルオープンでご参加ください。スケジュールボードには、早速赤丸をお付け下さい。

☆☆☆

 今年の夏のシンポジウムは、集まれ 活き活き一所懸命“まなびっと”たちをテーマとしています。社会経験を積まれてから学生として大学で活き活きと学んでいる方々をパネリストとしてお招きして、社会人学生として大学で学ぶことの意味や課題など考えるパネルディスカッションを企画しています。

◆◆シンポジウム運営委員募集中◆◆

8月3日(土)〜4日(日) FMICS 第18回拡大勉強会 プログラム案 (2002/6/1 現在)

参加費(パーティー代含む)
社会人 5000円(事前申込 4500円)  学生 3000円
*オールナイトFMICSは別途実費

申し込み方法等は、6月26日頃にアップします。
全員先生全員生徒の学び舎を創ろう FMICS 2002
集まれ 活き活き一所懸命“まなびっと”たち

FMICS シンポジウム 2002  工学院大学・新宿校舎 3階 0312教室
9:30 運営委員集合
13:00 受付開始
13:30 シンポジウム開会 総合司会 出光 直樹 (桜美林大学 アドミッションセンター)
13:35 解題 われら活き活き一所懸命“まなびっと”宣言
    渡邊 桃伯子 (ともクリエーションズ代表取締役社長)
14:05 主張 集合・組織を動かす活き活き一所懸命“まなびっと”たち

   足立 寛  ( Between 編集長)

   土居 正二 (くもん出版代表取締役社長)

15:25 休憩
15:40 パネルディスカッション 集合・わたし今“社会人学生”しています

   村田 素子(立教大学大学院生/聖心女子大学事務局)
   清水 聖子(桜美林大学大学院生/東京農工大学事務局)
   中山 喬央(早稲田大学大学院生)

 コーディネーター 高橋 真義 (桜美林大学学長補佐)

17:20 シンポジウムに寄せて  私の一言

   長谷川 友 (相模女子大学事務局)
   飯島 有美子 (関西国際大学専任講師・前日本語学校サム教育学院専任講師
   丹内 明良 (海外新聞普及株式会社取締役)

17:50 アンケート記入     総括 高木 幹夫 (日能研代表)
18:10 シンポジウム閉会    閉会の辞 岡村 浩 (工学院大学教授)
FMICS パーティ 2001  工学院大学・新宿校舎 中層棟7階 生協カフェテリア
18:20 FMICSパーティ開始
 司会 吉田 千春 (獨協大学国際交流センター課長)
19:50 FMICSパーティ終了
オールナイト FMICS 2002  千駄ヶ谷・日本青年館
21:00 オールナイトFMICS開会
 司会 鈴木 匠  (目白学園短大 学生課長)
    小出 修嗣 (大阪工業大学 学生課長)
21:20 実習 プロジェクト アドベンチャーを体験する
 ファシリティター 高木 幹夫(日能研 代表)
23:20

 

報告 全国で活躍する活き活き一所懸命“まなびっと”集合

   宮原 由美子 (熊本学園大学図書館課)
   近 雅宜 (酪農学園大学財務課長)
   志垣 陽 (立命館大学校友課長)

 まとめ 滝川 義弘 (大谷大学企画調整室)

10:00 オールナイトFMICS閉会