「デフレが世界経済を襲い、日本は嵐の中の小動物のように身をすくめる。国が静かに確実に衰弱していく『日本病』が経済と社会を浸食している。語るだけの改革では何も変わらない。ひん死の状況から生還するため、日本はいま、変革を前へと進める行動力が問われている」(日本経済新聞2003年1月1日朝刊)。
元日の日経紙1面のリード文です。各紙が健筆を競い、この1年の基調を占うトップ記事で、かつてこれだけ暗い論調があったでしょうか。現在の日本経済が置かれている閉塞状況が手に取るように端的に描き出されています。
同紙が「日本病」(ニッポネンシス)と名付けた症状について、次のように説明されています。
「日本」を「大学」に置き換えれば、18歳デフレに見舞われた大学の姿が浮き彫りにされます。その病根は日本病とまったく同じことです。
前年踏襲しか仕事と思っていない、もしくは、無意識的にそれ以外はしてはならないと思ってしまう超前例主義の人々。
18歳人口がさらに2割減少する事実を一顧だにしない、あるいは、自分とは関係のないこととタカを括っている実行力ゼロな人々。
意思決定する立場にありながら判断を忌避する、または、抜本的な解決策よりも小手先の改善でお茶を濁すその場解決な人々。
こんな病人は身近にいないでしょうか。このような大学人を「ウニヴェルシテンシス」(大学人病)と呼ぶことにしましょう。この病根を断ち切れない当の本人はもちろんのこと、この致死の病の横行に対して、危機意識をもって、先送りせず、柔軟に対処しない経営陣・幹部スタッフも同病の患者と思って間違いないでしょう。
では、この大学人病の病魔に冒されないための処方箋はどこにあるのでしょうか。
「幸せの青い鳥はあなた自身の中にいる」。かつての例会で話された原理原則を元旦に想い出したところです。
(坂田 範夫)
「2002年に生まれた赤ちゃんは前年より約1万5千人減って115万6千人となり、過去最低を更新する見通しであることが31日、厚生労働省が公表した人口動態統計の年間推計で分かった。1990年以降、出生数はほぼ1年おきに増減を繰り返していたが、2年連続で減少した」(日本経済新聞2003年1月1日朝刊)。
元日の新聞報道恒例の人口動態統計による昨年の出生数は、今年は凶と出た。これにより、18年後の2021年のおおよその18歳人口が確定した。1975年頃の第2次ベビーブーム以降、出生数は 日本国の株式相場と同様に右肩下がり曲線を描き続けている。大学は、2010年頃からの120万人時代突入への臨戦態勢を整えるさなかにあって、その数年後には110万人時代が控えていることを意識せねばならない。
この「現実化した未来」を下敷きに、正月の日経紙を拾い読みしてみよう。
3日は1面で旧護送船団の大手艦船が中国大陸に航路を求める様が報道されている。
「大手銀行が中国関連ビジネスの強化に乗り出す。…国際業務を縮小する中で、日本企業の進出が活発な中国に絡むビジネスは例外的に強化する」
「早大副総長の堀口健治は中国の精華大経済管理学院と協定を結んだ。狙いは技術の分かる経営者を育てる『技術経営講座』の充実。90年代にいち早く講座を設けた精華大に学ぶ」
4日は、「大卒者の5人に1人が無業」となった現実に焦点が当てられる。
「米国はもっと先を行く。中高生も授業での投資ゲームなどを通じて、市場原理の光と影を習得する。日本は案の定、文部科学省がこうした取り組みに消極的だ」
「教育はきまじめにするだけが能ではない。ゲームの要素を採り入れたりケータイを駆使したりするなど、刺激的な方法を大いに採用すべきだ」(今井賢一スタンフォード大名誉シニアフェロー)
5日は、ITと競争力についての関係が注目される。
「日本IBM、NECなど大手IT(情報技術)企業が自力で人材育成に乗り出した。・・・今回の寄付講座で主要な役割を果たす日本IBMの北城会長は、『教育を変えないと日本のIT産業は競争力を取り戻せない』と主張する」
「知識情報時代には、産業技術(IT)を利用しておカネと情報はすぐに送れる。ところが、電気は送れないですよね。水も送れない。要するにネットワークで送れるものを動かせる企業が強くなるのです」(出井伸之ソニー会長兼CEO)
6日は「高度成長期以降、ほぼ一貫して膨張し、遠距離通勤者を生んだ首都圏、近畿圏の通勤・通学圏が縮小していることが、日経産業消費研究所の調べで分かった」。
松の内でもさまざまな「未来」を見せてくれる新聞からは今年も目が離せない。 ()
(山本 明正)
●時代は激変しています。ほんの2,3年前では夢物語、予想すらできなかったことが現実のものとなってきています。平成16年には国立大学が独立法人化されます。私学との力量の差は圧倒的ともいえます。とはいえ、私立大学の一方的敗退は考えられません。またそうであっては沈没寸前の日本丸の命取りにもなりかねません。いよいよ輝く個性のある大学創りのために、私たち一人ひとりの熱いミッション・パッション・アクションを束ねなければならない時が来ています。そして、大学の構成員一人ひとりのホンモノさの真贋が問われることになるのです。
●「赤字私大、2年で3倍」「全法人の4分の1少子化と不況打撃」朝日新聞平成15年1月3日 もはや、大学は素人による大福帳的発想や、限られた玄人集団による運営では、生き残ることさえ難しくなっています。嵐の海原の船。誰か一人でも気を抜けば大学沈没は免れません。総力戦になればなるほど、大学の構成員一人ひとりの経営マインドをピカピカに磨くことが求められるのです。
●「伝統」は時間が作ります。伝説はあなた一人ひとりが創るのです。あなたが変われば、変わらない大学も変わります。
●新春1月のFMICSは恒例の葉山合宿例会です。工学院大学・新宿キャンパスでの新春月例会の定番プログラムは「聞かなきゃ損する・丹内明良の先見2003」で始まります。続いて、磯の匂いが懐かしい湘南葉山に会場を移します。新鮮な海の幸と冷たいビールで懇親会。こたつの中でのオールナイトFMICSは体力勝負。漁り火が朝もやの中にとけ込むころまで続きます。
●平成15年度のFMICSのアクションプランを練り上げます。2003年のキーワードは、元気元気元気です。そして、参加者全員の10分間スピーチで、激変する高等教育に対する想いと決意を語り伝えていただきます。もちろん「自己表現点検シート」で、あなたは仲間からきりりと評価点検をしてもらえます。
●翌朝は、ゆったりと葉山の海を見ながら、美味しいコーヒーとケーキで反省会、そして早春湘南そぞろ歩きです。
●FMICSらしさを十二分に体感できる1月合宿例会・通称「こたつ合宿例会」。お仲間には、ぜひとも年内中に一言お声をお掛けください。昼、夜プロのみの部分ご参加も大歓迎いたします。
【日時】 平成15年2月1日(土)〜2日(日)
オリエンテーション 午後1時〜3時
合宿FMICS 午後6時〜翌午前9時
オリエンテーション |
工学院大学新宿キャンパス 4階 0477教室 *エレベーターは、4階には止まりません。3階または5階で降りて、階段で上下してください。 |
合宿FMICS | 中央大学葉山寮
神奈川県三浦郡葉山町堀内86 TEL 0468-75-0009 《交通》 東京駅→JR横須賀線(約1時間)→逗子駅 |
2月1日(土) | |
---|---|
0:30P.M. | 月例会受付開始 |
1:00 | オリエンテーション 先見・あしたのカタチ 2002 海外新聞普及株式会社取締役 丹内明良 |
3:00 | 合宿FMICS葉山会場へ移動 |
6:00 | 夕食&懇親会 |
9:00 | 点検 FMICS 2003 アクションプラン |
10:00 | 緊急報告 15年度私学予算とCOLについて |
11:00 | 10分間スピーチ 点検 元気元気元気わたし流の ミッション・パッション・アクションの束ね方 |
2月2日(日) | |
0:00A.M. | 朝までフリートーク FMICS定番は体力勝負です |
8:00 | 朝食 |
9:00 | 総括 |
オリエンテーション: | 会員1,000円 / 学生500円 / 非会員1,500円 |
合宿FMICS: | 懇親会&宿泊10,000円 / 懇親会のみ日帰り6,000円 |
【参加条件】 合宿FMICSの参加者には、@10分間スピーチのテーマは「わたし流の元気元気元気の束ね方」です。特にレジュメは必要といたしませんが、おおらかに“わたし流の束ね方”をアッピールしてください。A合宿終了後に800字程度で MY FMICS (感想文)をお書きいただきます。提出期限は2月8日(土)です。B点検「FMICS 2003 アクションプラン」では、今年一年間の活動、出版企画を練ります。あなたのあったかさ一杯、Think Big なお智恵をお貸しください。
【申込先】 定員になり次第、締め切らせていただきます。1月28日(火)までに、坂田 範夫 kintoki(アットマーク)tamajs.chuo-u.ac.jp までお申し込み下さい。
*例会中の連絡先: 090-4715-4607 高橋 真義
1月の名古屋FMICSは、参加者全員10分間スピーチです。元気元気元気を合い言葉に、この一年をワクワクドキドキ輝くものにするための決意表明をしていただきます。会場はちょっとリッチです。お仲間をお誘いの上ご参加下さい。
【日時】 平成15年1月20日(月) 午後6時半〜8時半
【会場】
割烹「みどり」 名古屋市中区栄3-14-29 TEL:052-241-0162
(紀伊国屋書店名古屋ロフト北東向かい)
【参加費】 5,000円(懇親会費含む)
【申込&問い合わせ先】 岐阜聖徳学園大学 林 憲和 nhayashi@ha.shotoku.ac.jp
●FMICS Staff Development 略して 「SD」は、月例会とは別に、原則として第3週の水曜の夜に開催されているゼミナール型の勉強会です。超競争時代をしたたかに活き抜くためにも、大学人一人ひとりの努力を束ねる場です。
(1)メディアチェック
あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(15枚程度)して、氏名と簡単なMEMOを付してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。
(2)テーマを定めた継続的な勉強会
1997年度:国立教育研究所編『日本近代教育百年史』/1998年度:工学院大学と拓殖大学沿革史/1999年度前半:『戦後の大学論』/1999年度後半:中教審、臨教審、大学審等の「答申」/2001年8月から:『英国高等教育制度検討委員会(デアリング委員会)報告』(通称デアリングレポート)/2001年12月からは新企画がスタートしました。前日本私立大学連盟事務局長日塔喜一さんをアドバイザーとしてお迎えしてご自身の著書『機会均等へ向けて』を読み込み、経常費補助金制度の誕生(昭和45年)以降の私学経営の軌跡をチェックしました。
なお、しばらくの間メディアチェックに専念し、2003年度開始予定の政策提言プロジェクト(仮称)への準備にあてます。
【日時】 平成15年1月22日(水) 午後6時30分〜8時30分
今後の予定 2月26日(水)、3月12日(水)
【会場】 工学院大学新宿キャンパス 高層棟27階 2710ゼミ室
*教室変更もありますのでご注意ください。
【申込先】 桜美林大学 出光 直樹 idemitsu@obirin.ac.jp
昨年9月合宿例会で試みました10分間自己表現の30分間バージョンです。時間内にきっちりと自己表現をするトレーニングはFMICSならのものです。発表者を広く募集いたします。
【日時】 平成15年2月22日(土)
【会場】 工学院大学新宿キャンパス(予定)
SKF・関西FMICSが総力を挙げて企画担当する、今年3月のFORUM IN KYOTOの日程とテーマが決定しました。
【日時】 平成15年3月15日(土)〜16日(日)
【連絡先】 大谷大学 滝川 義弘 tacky@sec.otani.ac.jp
FMICS人たくさんのセミナーのお知らせです!!!
詳細は大学セミナーハウスの
Webサイト
もご参照下さい。
●1月24日(金)のプログラム
「モラールからミッションへ ―建学の理念とミッション/教学支援システムの確立/SDとFDの融合と連携―」
桜美林大学教授・大学教育研究所所長 寺崎 昌男
「今、職員に何ができるのか ―企業人の視点からのアドバイス」
海外新聞普及株式会社取締役 丹内明良
自己表現トレーニング / インストラクター 高橋 真義
●1月25日(日)のプログラム
「大学の将来と職員のあり方」 前文部科学省事務次官 小野 元之
【参加費】 2日間(宿泊等込み) 20,000円
*1月24日のみ 5,000円
*1月25日のみ 3,000円
【問い合わせ・申込先】 0426−76−8532 大学セミナーハウス 伴 美喜子さん
*宿泊参加の申込締切は1月15日までとなっています。