2003年7〜9月のFMICS
これから100年
「2006年をピークに日本の人口は減り始め、国内市場は長期的に縮小が避けられない。座していれば、縮む需要で企業の富はしぼんでいく。対する中国。年7%成長が続けば、10年内に世界3位のドイツの現在のGDPを抜き、20年内には2位の日本を上回る計算だ。膨らむ中国の需要を取り込めるかどうかが企業の浮沈を決め、デフレ脱出のカギを握る」(日本経済新聞2003年7月5日朝刊)
文明法則史学の祖と言われる村山節氏は、世界史800年周期説を戦前に発見した。東西の文明が800年周期で入れ替わる、と言う。
紀元前20〜13世紀は西のエジプト文明・エーゲ文明、紀元前12〜5世紀は東の古代アジア文明、紀元前4〜紀元後4世紀は西のギリシヤ文明・ローマ帝国文明、5〜12世紀は東の唐代を中心とする中国文明、13〜20世紀は西の欧米文明、そして21世紀から800年間は東の文明の時代である。
それに、文明の転換点には世界動乱が起こっている。前回の12世紀は十字軍の時代、前々回の4世紀はゲルマン民族大移動の時代、その前はアレキサンダー大王東征の時代である。
しかも、この転換は前後1世紀の誤差があり、転換点には滅びゆく文明圏の辺境で最後の大帝国が出現し、あっけなく消滅すると言う。
12世紀では、中央アジアで大蒙古帝国が現れる。その前の4世紀では、東ローマ帝国が中近東のイスタンブールで繁栄する。さらに、紀元前4世紀は、アジアでヘレニズム帝国が一瞬の間輝く。
ここまで見れば、20〜21世紀の、文明が西から東に移る転換期の、最後の辺境帝国がアメリカ合衆国であることは明らかである。アメリカの繁栄は最長でも今世紀中は謳歌し、もろくも崩れ去る。そしてその後の東の文明をリードするのは、もちろん日本であるとは限らない。
「デフレの震源地としての顔と巨大な成長市場としての顔を併せ持つ『双頭の竜』中国。その中国との関係抜きに日本将来像を描けないとすれば、懐深くに入り込み、もう一つの顔がもたらす恩恵に浴する道を選ぶしかない。泣くも中国、笑うも中国−。日本に決断の時が迫っている」(同紙)
東の米国と西の中国。幕末以来、日本はこの二大世界帝国の間に立って、国としての立ち居振る舞いを学び続けてきた。高等教育機関の育成すべき人材イメージも、この地理的環境と、時間的流れを踏まえなければ、「ホンモノの人財」は育てられない。
21世紀の米国の繁栄、次なる文明としての中国の台頭を所与の条件として、将来計画に織り込んだ大学こそが元気元気元気な「活き昇る大学」になるだろう。
(山本 明正)
新しい日本語
「国会議員の77.9%が次期衆院選で政党が政策目標の達成期限や財源を明記したマニフェスト(政策綱領)を作成することに賛成であることが5日、経済人や学者らで構成する『新しい日本をつくる国民会議』(二十一世紀臨調)が発表した国会議員アンケートの結果分かった」(日本経済新聞2003年7月6日)
また、新しい直輸入の英語が誕生した。「また」というのは、大学業界においては、すでに21世紀答申などにおいて、「シラバス」、「GPA」、「オフィスアワー」などの直輸入専門用語が日本語化してきた。たとえば「シラバス」は、講義計画と訳されそうだが、シラバスで立派に流通している。大学によっては、それまで「講義概要」「講義要項」などという名称で作成していた冊子は「シラバス」という文字どおりのカタカナに改名した。この国における外来語移入の歴史のヒトコマを見る思いがする。
同記事には、興味深いデータが3点紹介されている。調査概要は「5月末から約1カ月間、国会議員全員を対象に実施し、有効回答率は45.6%」である。
最初のデータは、政党別の賛成割合である。高い順には、公明党(100.0%)、民主党(92.7)、自由党(81.3)、社民党(66.7)、自民党(64.3)、共産党(44.4)となっている。数値の高い公明、民主、自由、冷戦時代の二大政党である社民、自由、そして共産というグルーピングは示唆を与えてくれる。「政策目標の達成期限や財源を明記」という公約への抵抗感が数値を反映しているのだろうか。
次のデータは、マニフェストにふさわしい政策である(複数回答)。上位から順に、税・社会保障(90.7%)、地方分権改革(87.2)、行政改革(77.0)となっている。賛成割合の多い政党が関心をもつテーマと重なっている。
最後のデータは、作成意義について、公約実現過程や達成度の検証が容易になる(75.5%)、官僚に対する政治の指導力が強化できる(62.3)であるという。
国会議員の約半数の8割が「次期」衆院選でのマニフェスト作成を賛成としていることに驚きを禁じ得ないが、それがトレンドなのであろう。
翻って、大学でのマニフェストはどうするのか、教育機関としての具体的な教育目標の明示、学長や学部長選挙における政策綱領の明示、さらには、個々の授業における到達水準と教育内容(これが「シラバス」であろう)、職員の業務達成目標の数値化など、すべては未来志向の形式知のベクトルに収斂されるようにも思う。
余談だが、10年以上前から、すでに通用しているもうひとつのマニフェストがある。その意味は「産業廃棄物管理票」。大学には、このほうが近いかもしれない。
(金成 泰宏)
FMICS SD 142
●FMICS Staff Development 略して 「SD」は、月例会とは別に、原則として第3週の水曜の夜に開催されているゼミナール型の勉強会です。超競争時代をしたたかに活き抜くためにも、大学人一人ひとりの努力を束ねる場です。
(1)メディアチェック
あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(15枚程度)して、氏名と簡単なMEMOを付してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。
(2)テーマを定めた継続的な勉強会
2002年8月5日の中央教育審議会答申『大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について』は、大学に対する第3者評価制度の導入をうたい、昨年11月の学校教育法の改正により、2004年4月より施行されることになりました。
大学は7年に1回、文部科学大臣の認証を受けた「認証評価機関」による評価を受けることとなります。現在その認証基準の細目が検討されており、大学評価・学位授与機構や大学基準協会等において認証機関となるべく準備が進められています。この認証評価機関になるには、法人の他、代表者や管理人の定めがあれば任意団体でも可能とされております。アメリカ流のアクレディテーションを模したと言われる第3者評価制度ですが、アメリカのように地区毎に単一の機関が担当するのではなく、それぞれに「大学基準」を掲げた多様な機関が併存する事により、多様な特色・理念をもった大学がその活動に応じて多元的な評価を受けられるシステムがうたわれています。
6月のSDからは、「あったかさ」を理念に掲げたFMICS流のボランティアモデルによる認証評価機関が設立可能かどうかを検討し、あわせてこの第3者評価制度のあり方を考えていきます。
【日時】 平成15年7月30日(水) 午後6時30分〜8時30分
【会場】
工学院大学新宿キャンパス 高層棟27階 2710ゼミ室
*教室変更もありますのでご注意ください。
【テーマ】 FMICS流ボランティアモデルによる
認証評価機関設立への道 −2−
【申込先】 桜美林大学 出光 直樹 idemitsu@obirin.ac.jp
●やっとかめやなもFMICS名古屋(YFN)の《学びのカタチ》を束ねる恒例の第17回YFNシンポジウムをご案内します(詳細はBig Egg8月号でご案内します)。
【日時】 平成15年9月6日(土)午後1時 〜 7日(日)午後4時30分
【会場】 岐阜聖徳学園大学羽島キャンパス本館 / 夜の部:
浄土院
●昼の部
「龍谷大学の今 そして21世紀戦略」
龍谷大学副学長 河村 能夫
「学校法人日本福祉大学の戦略を語る」
日本福祉大学常任理事・学園事務局長 篠田 道夫
「元気元気元気 岐阜モデルを語る」
岐阜県商工局長 長屋 栄
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●夕方の部 懇親会 長良川鵜飼観賞
長良川古典鵜飼再生の会事務局長の解説付き
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●夜プロ@ 浄土宗の名刹 浄土院にて
「ヨサコイソーラン岐阜学生チーム<柳>見参!
本堂でみんなで踊ろう」
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●夜プロA
「ラフォーレ原宿そして岐阜アクティブG 立ち上げ凄腕繁盛記」
森ビル土地開発顧問
オリベ・コンソーシアムプロデューサー・事務局長 永島 佳
「チベット仏教ニンマ派修行僧奮闘記」
チベット仏教ゾクチェン研究・探求者 成冨 二郎
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●オールナイトFMICS 参加者全員発表
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●翌日「中世文化の華連歌と今様発祥の地探訪」
朝の茶(浄土院井中庵 亭主安藤昌空上人)
観光&池田温泉入浴(説明:瑞巌寺住職・大垣市観光協会事務局長)
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*解散 J R新幹線 岐阜羽島駅 16時半
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【会費】 昼の部のみ千円 夜の部まで1万円 両日:1万5千円
【申込&問い合わせ先】 岐阜聖徳学園大学総合企画課 林 憲和
nhayashi@ha.shotoku.ac.jp
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