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2005年12月のFMICS
サービスラーニング私が今セメスターで受講しているクラスの一つに社会学のサービスラーニングというクラス(授業)がある。サービスラーニングとはボランティア活動が単位の取得のための条件や、クラスのポイント(授業内評価点)となるシステムである。このクラスは2〜3の単位数で一学期に60時間から90時間のボランティア活動が義務付けられている。 学生はそれぞれ自分の得意分野や大学で学んだ知識や技術を生かせるボランティア施設を探すことから始まる。トレーニングの方法、スケジュールの管理など、すべてが学生自らボランティア先とコンタクトを取って進める。サービスラーニングの目的は、普段の学生生活では体験できないことを自らの手で行うことによって社会との接点を高めることにある。ボランティア先は、老人ホームや低所得の家の子供の家庭教師、動物保護団体などと幅広く、アメリカ特有のものとしては、ホームレスシェルター(支援団体)や諸外国からの移民をサポートするボランティア団体、アメリカンインディアンの保護施設、ドメスティックバイオレンス(家庭内暴力)を受けた女性のための保護施設などがある。 大学で歯科衛生士の勉強をしているクラスメイトの一人は、ミネソタ州が運営する低所得者のための医療施設でトレーニングを兼ねて活動している。私はコンピューターアプリケーションのクラスで学んだ知識を生かし、ネイティブインディアンの子供のためのアフタースクールで図書館の管理プログラム作りと、3歳〜15歳までの日本人駐在員や日系の子供を対象にした日本語補習校のティーチングアシスタント、そしてホームレスのために帽子やブランケットを編むクラブに所属し一週間に合計8時間の活動を行っている。 これらのクラス以外にもその専門に関連した施設での活動をも授業内容の要件としたものも多くある。コミュニケーションのクラスでは、英語が第一外国語でない学生と定期的に英語の会話の練習をするカンバセーションパートナー(会話相手)や環境学のクラスでは環境調査や環境保護団体での活動など、授業で得た知識をすぐに生かせる、または活動しながら学べる授業内容になっている。 このようなボランティア活動などはアメリカの大学で学生生活の一環として一般的であり、奨学金や留学生の授業料の免除の条件として大学側から指定される場合も少なくない。活動の内容によっては、就職の際の履歴書に書けたり、仕事の経験として位置づけられる場合も多いので学生は積極的に参加するのである。 (村上 梓) ブランドは身近なところからこれまで、高等教育、あるいは大学という業界に関心を持つ一社会人としてこの欄に寄稿させて頂いていたが、この秋よりご縁を得て、高等教育機関そのものではないにしても少なくとも業界サイドの人間となることになった。 こうなると、門外漢ゆえと自分に許していた外側からの視点に頼るわけにもいかず、かといっていきなり具体的事例に立脚した文章を書くことも能わず、筆を進めるのが格段に困難となったことに今更ながら気付かされた。 ということで、安直に走るわけではないが、今回は最近読んだお勧めの図書を一点ご紹介したい。 『ガバガバ儲けるブランド経営』小出正三・著(サイビズ/2005) 一見、いかにも書店のビジネス書のコーナーに平積みになっているような「軽いビジネス書」風のタイトルであり、大学のマネジメントとは最も縁遠い部類の書物に感じられる。(実際、私も母校の同窓会理事会でご一緒している方の著書でなければ読むことはなかったと思う。) だが、読む者に最低限のやわらか頭さえあれば、業界・職種を問わず、自分の仕事をよりよいものと変えてゆくヒントに満ちたなかなかの良書である。 本書の最大の特徴は、「ブランド=(個別の商品・サービスではなく)ビジネスの幅そのもの」、「ブランディング=ブランドに対する品質管理と生産性アップ(TQCやカイゼン活動)」と定義しているところにある。 これを大学に置き換えれば、ブランドとは、単なる大学や学部のネーミングやロゴ、あるいはパンフレット上に書かれた内容だけで表されるものではなく、それを構成する教員・職員の組織体制や能力、モチベーション、さらには理念まで含めた総体ということになる。そして、ブランディングとは、教員と職員の協働による学生(学生をプロダクトと見た場合には社会)の満足度向上の継続的なサイクル作りといえる。 つまり、表層的なものと考えがちなブランドは実は極めて全体に係るものであり、伝統や多額の費用を前提としてしまいがちなブランディングも本当は地道な取り組みに基づくミッション・パッション・アクションの拡大再生産だということを本書は説いているのである。 また、他にも、「(ブランドの)価値を主張するのは、ブランドではなく、持ち主となるお客様」、「ブランドで競争する相手は、競合他社ではなく、「お客様の満足水準」」というように、多くの示唆に富む言葉に出会うことができる。後者などは、「差別化」という言葉を安易に多用してしまうことへの戒めであり、自分の土俵をきちんと規定することの重要さを教えてくれる。 無論、いきなり大学や企業全体のブランドをどうこうすることは困難である。だが、少なくとも個人の力の及ぶ範囲で、部署や個別のサービスのブランド化を図っていくことは可能であろう。私自身も、新しい環境の下で取り組みを怠らぬよう心がけていきたいと考えている次第である。 (学校経理研究会 米川 充) FMICS12月例会 (第513回例会)大競争時代を活き抜くためには何をすべきか。この頃の“競争的資金獲得競争”を見ていると、 大学の主人公である学生のことをそっちのけにして、生き残るための経営資源までをも投入し、決して強者ではない大学が渾身の力を振り絞って勝負をしている事例を見受けます。 実は、競争的環境は強者のフィールドにほかなりません。アウトソーシング、外部人材の積極的受け入れによって競争的資金を獲得しても後が続かなければ、多くの積み上げられた努力は水泡に 帰すことになります。 母校を沈没させないため に、大学関係者、特にいよいよその存在が問われている大学職員は何をすべきかを、皆さまと一緒に考えます。 ご参考までに、この10月15日の真義ブログ「日経考えるヒント」からの転載です。毎日アップしています。 ■最澄が天台宗を開いて来年で1200年。大津市の比叡山延暦寺で14日夜、天台宗の声明と、キリスト教のプラハ・グレゴリ聖歌隊(チェコ)のジョイントコンサートが開かれた。 なお、9月例会でご紹介いたしました池田憲彦先生の著書『近代日本の大学人にみる世界認識』(自由社)が、この10月に上梓されました。(詳細後述) 今月の懇親会はお祝いも兼ねることといたします。 【日時】 2005年12月10日(土) 午後4時〜6時30分 【会場】 工学院大学新宿キャンパス 4階 0471教室
【テーマ】 大競争時代を活き抜くためのアクション
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池田 憲彦 『近代日本の大学人に見る世界認識』 自由社 2005年10月20日発行 <本文465ページ、資料・年表12ページ> 定価(本体3,600円+税) ISBN 4-915237-42-7 |
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<目次> |
序に代えて/一九四五年における世界認識の転換 序章 台湾協会学校・初代校長 桂太郎の他者認識 一章 後藤新平のエスニック観 二章 新渡戸稲造・国際開発とその教育の先駆者 三章 地域・地球事情の啓蒙家 満川龜太郎の時代認識 四章 自然体の伝道者・青嵐永田秀次郎 五章 永雄策郎・近代日本の植民政策家 終章 満州移住・大蔵公望の経綸と宇垣一成 総括 離脱と継承に見られる錯誤 後記に代えて/文装的武備としての二一世紀日本の私学を考える |
『Big Egg 10月号』掲載の「9月例会報告」にも紹介しましたが、池田憲彦さん(前拓殖大学創立百年史編集室主幹)の著書が刊行されました。
池田さんには、8年前にFMICS・SDにて数回にわたり拓殖大学史を主題にご報告をいただきました。その後、同大学百年史の編纂事業の折々にまとめ発表した諸稿から、表題に沿って再集録したのが本著です。
記述の仕方は資料をたんねんに扱い実証性に富んでいます。でも、そこから引き出される見方はかなり刺激的です。先生の問題意識と接近方法を見極めないと、現在の思潮では誤った印象を受けるかもしれませんが、問題意識のおおよそは、Webサイト内の "FMICS REPORT" にも公開されていますので、あわせてご参照ください。
【優待販売】
期間限定にて割引価格(3,000円)で頒布したします。12月例会(終了後の懇親会は出版祝を兼ねます)や FMICS・SD の際にご購入いただけます。