2006年9月のFMICS
学校基本調査速報から考える8月中旬に平成18年学校基本調査速報が公表された。詳しく見てみよう。平成18年3月の高等学校卒業者数は117万2千人(前年より3万1千人減少)となっているが、大学(学部)・短期大学(本科)への入学志願者の比率(入学志願率)は57.4%(前年度比+1.5ポイント増)である。 大学・短期大学進学者(過年度高卒者を含む)は52.3%(前年度比+0.8ポイント増)で4年連続して増加し過去最高となった。大学進学者(過年度高卒者を含む)だけでも45.5%(前年度比+1.3ポイント増)で3年連続して増加し過去最高となった。 また、専門学校への進学者数を合計すると75.9%(前年度比△0.3ポイント減)となっている。 なお、大学(学部)・短期大学(本科)の入学者数は69万4千人(前年度より9千人減少)となっている。このうち女子は33万人(前年度より3千人減少)となっているが、大学(学部)の入学者数は4千人増加(前年度比+1.5ポイント増)している。 したがって、大学進学者数を押し上げているのは女子であることが分かったが、その動向は、全体像だけ見ていると見落としても全く気がつかない。 また、平成18年3月の高等学校卒業者のうち都道府県別の大学等(大学学部、短期大学本科、通信教育部、別科、高等学校等専攻科)の進学率は、30%台−8、40%台−20、50%台−18、60%台−1 となっており、最大で27.7%の開きがある。さらに専修学校(専門課程)進学率を加えると、50%台−9、60%台−26、70%台−13 となっており、その差は21.2%に縮まる。因みに、高等学校卒業者の進学率だけで後者の率を上回っている都道府県は6ある。 これだけ、都道府県により大学等への進学率に格差があるのに関係者以外に殆ど知られていない状況になっているのは何故なのであろうか。 文部科学省は、国の責任により義務教育の結果の検証を行う観点から、全国的な子ども達の学力状況を把握する「全国学力・学習状況調査」を平成19年度から実施することになっている。しかし、高等学校は義務教育ではないので実施されない。 1983(昭和58)年、レーガン政権のもとで、レポート「危機に立つ国家、A Nation at Risk」が刊行さた。その問題提起の一つに、大学入試委員会の進学適性テスト(SAT)の平均得点が、1963年から1980年まで一貫して低下していることが示されている。この時に見習うべきモデルとされたのが、日本の教育であった。当時、日本の中高生の学力は世界最高水準にあり、それに基づく高い技術力と労働者の質が、日本の経済的繁栄をもたらしていると見なされたので ある。 少子化と進学率の向上という現状を正視する社会的状況を作り出す必要があるのではないか。 (鳥居 聖) 夢@図書館2006「館内巡回で回ってみて学生の顔が見えた」 去年夏の宿題で作った「夢@図書館」、今年版も課内メンバーの声が集まってきて、現在編集中です。 きっかけは図書館館内に意見箱を設置したこと。どこの大学窓口でも頭を悩ましておられるであろう学生・教職員からの意見やクレーム、また直接間接に伝わってくる担当部署への悪評の類とは、図書館も無縁ではいられません。しかしその都度の対処に終わっており、問題を根本から解決してきたとは言いがたいものがあったのです。学内に先行例もあったことからついに昨年夏前、館内に意見箱を設置。すると、小さなことから大きなことまで、出てくるわ、出てくるわ。スタッフ一同覚悟?はしていたものの、相当ヘコみました。 意見箱への意見・要望があって回答をしての繰り返しでしたが、そこに書かれていることは多少の誤解はあるにせよ、投書した人にとっては紛れもない事実。ことの重大さに打ちひしがれながらも、真摯に回答を続けるなかで、スタッフの意見も聞こうと思いつきました。出したテーマは至ってシンプルで、「あなたは、どんな図書館にしたいと思いますか」それが「夢@図書館」のスタートだったのです。 昨年の個人レポートはどちらかといえば業務改善案が多く、「何々をしなければ」調の堅いものが散見されました。長い図書館の歴史の中でも(たぶん学内でも)そんなことを言い出すやつは初めてだし、そんなに言うなら取りあえず書いてみようかという雰囲気もなかったわけではありません。しかし、レポートを提出するだけでなく、それを課内に小冊子で公開したあたりからメンバーの雰囲気が変わってきた(ような気がする)のです。「言っちゃったし、何とかしなきゃ」とでもいうような。 それから1年。実現した提案も、まだ宙ぶらりんの夢もあります。けれど、各人が口にした(この場合は文字にして表明した)ことで、自分の志向も、一緒に仕事をするメンバーの志向も、少し読み取れたのではないかと思います。口にすることはたやすいけれど、実行するのは難しい。けれど、やってみなきゃ、始まらない。たいへん初歩的な事例でお恥ずかしいのですが、100年以上の歴史と伝統を持つ本学図書館は、こうしてその歩みを新たにしたのだと思っています。 (山内 美智) FMICS 9月例会 (第527回例会)「大学全入時代」が早まると言われています。いよいよ、国公私立大学のピンからキリまで全てのが生き馬の目を抜くようなバトルロイヤル的競争の渦中に放り込まれます。「大学倒産」という4文字が、こんなに早く、日常的なものになって、新聞紙上を賑わすとは想っても見ませんでした。 これまでのように、限られたごく一部の専門家という名前の人たち(マネジメントのマも体感したことのない素人が専門家気取りをしているケースもすくなくありません)が大学経営を担うことでは、この激動の時代を乗り切ることはできなくなりました。大学は、持てる教育・経営資源を無駄なく最大限に活かすこと、すなわち組織を挙げた「総力戦」で勝つか負けるかの選択をしなければなりません。 どんなにあなたが“WITHびと”を自認して学生さんのために頑張っても、その学生さん一人ひとりの経営的意味を数字で理解することができなければ“WITHびと”としては失格です。 激動の時代の本物の職員は、自大学は勿論、競争相手の大学の開示された経営情報を読み切ることも必要になります。 今月は、インターネット上に開示された会計情報の読み方、活かし方などについて、公認会計士のプロフェッショナルから指南してもらいます。数字に弱い方は勿論、プロを自認する方にもかなり効き目のある多くのヒントがあるものと期待さますす。なお、大学の数字を読むことのシリーズとして10月例会と併せてご参加されますことをお薦めいたします。 【日時】 2006年9月30日(土) 午後4時〜6時30分 【会場】 工学院大学新宿キャンパス 4階0477教室
【テーマ】 大学競争時代を活きるための原理原則を学ぶ
|