過去のお知らせ一覧へ戻る2007年8月のFMICS
民事再生不調過日、民事再生不調の新聞記事が出ていた。 そもそも民事再生法は、倒産に瀕した企業の再生を図るため、平成12年4月1日に施行されたものである。大学で初めて民事再生手続きを申し立てたのは東北文化学園大学であった。 ことの発端は、元理事長に関わる脱税及び所得税法違反の容疑により仙台国税局による査察である。その後、二重帳簿、寄付偽造問題、粉飾決算等の事実が次々と発覚し、郡山に計画していた薬学部の設置は断念され、そして教職員への5月分給与が支払停止の状況に陥った。このような先行きの見えない状況下にあっても教職員は誰一人去ることなく、教学の現場を守り続け、また、大学の存続を求める活動も在校生により積極的に行われたという。その後、大阪の医療法人による支援が決定したので上記手続きが行われた。 しかし、今回の旧小樽昭和学園の民事再生では、支援を表明していた徳島のタカガワが撤退してしまった。昨年7月に同学園とスポンサー契約を行い、経営に関する事項の決定についてはタカガワの責任において行うなどの内容となっており、タカガワ副社長が同日付で短期大学長に就任していた。その間に、法人名を小樽高川学園と変えており、誰もが僅か1年弱で支援が終わるとは、考えてはいなかったはずである。 昨年8月、民事再生法の適用を申請していた学校法人「小樽高川学園」(旧・小樽昭和学園)について、札幌地裁が6月1日付で民事再生法に基づく管理命令を出し、札幌市の吉川武弁護士と小樽明峰高の元校長の2人を管財人として選任したことが分かった。再建を支援していた「タカガワ」はこれを受け、6日付で同学園とのスポンサー契約を解除し、5人いた理事も辞任した。 関係者によると、約3億7000万円の債権の95%カットを求める同学園側と、日本私立学校振興・共済事業団や私立大学退職金財団など債権者側との協議が、「再建計画に数字の裏付けがないなど不明朗」(私立大学退職金財団)などとして難航し、債権者側は4月の債権者集会で再建計画案に同意しなかった。同学園側が、当初経営を継続するとしていた小樽短大の来春の閉校を決めたことに対しても、「事前の説明がなかった」と、債権者側から反発があったという。 新しく選任された管財人2人は再生手続きの期限である7月末までに、新たな再生計画をまとめる。吉川弁護士は「最も大事にしなければならないのは、学園で学ぶ生徒たち。不安を与えることのないように、きちんとした再建案をまとめるよう努力する」と話した。 一方、同学園理事長代行を務めていた吉本孝則氏は、「債権の回収を巡り、双方の主張が食い違い、このような事態になった。しかし、裁判所が判断したことなので受け入れる」と語った。 柳の下にドジョウは何匹もいないのである。また、お金さえ用意すれば大学経営は行っていけるはずであるという間違った幻想を懐いた結果に他ならない。 (鳥居 聖) 1万個の実をつけるトマトの教えわずか一粒の種から1万個以上もの実をつけたトマトの巨木がある。遺伝子組み換えなどの新しい技術によりこのようなトマトができたかと想像されるかもしれないが、そうではない。このトマトは、一本の根幹から何千もの枝が分かれて、トマトの実を結ぶ。最も多いときで1万個以上実るというから確かにすごい。その秘密は、太陽の光と水と空気の恵みを充分に受けて土なしで育てるところにある。水中の養分を補えば、根の部分は水中に浸しておくだけで栽培できるのである。 つまり、植物がその成長能力を最大限に発揮する上で、土は不要ということなのだ。この巨木のトマトの木は、生き物にはまだまだ私たちの知らない、無限ともいえる可能性を秘めていることを見事に示した。 「1万個の実をつけるトマトの教え」 筑波大学名誉教授 村上 和雄 この話は我々人間にも当てはまると感じた。 勉強ができないことや運動能力が鈍いことを誰かに指摘されて、発達する無限の可能性の芽の成長を止めてしまった子ども達がたくさんいるのではないでしょうか。 先日、中学校訪問をしたときに、進路指導主任から、とても興味のある話が聞けた。それは、最近の中学生は失敗を恐れて体育祭や文化祭等、その他「何に」対しても興味を示さない、動こうとしないという。どうやら最近の子ども達は、小学校のときから同級生や先生から失敗を指摘されて「心も身体」も動かなくなってしまったらしい。何かを始めようとすると、失敗を恐れて流れを止める。クラスの中で失敗を大きな問題のように扱い子ども達と教員でもてあそぶ。こんな環境で育った子ども達が中学に入学してきて、「何か」を始められるわけがないというものだった。 この話を聞いたとき、ある新聞に載っていた学校に対する保護者の苦情を思い出した。それは、親が学校に「子どもに掃除をさせるな」「(けんかをした)相手の子どもを転向させろ」といった理不尽な要求が増えてきたという。 なんだか、親も子どもも教員も同じ水槽の中でパクパクと酸素不足になった金魚のように、周りの人のことなどお構いナシ。自分が生き残るために酸素を確保するのがやっとだというような光景が目に浮かんできた。 私たち大人にできることは子どもが伸びる適切な環境と材料を提供して、“あったかい心”で見守ること。学力とはいい学校に入るために必要なのではなく、よりよく生きていくために必要なものだと教えること。そして、結果を求める教育は、結局はすべてが壊れてしまうということに早く気づくこと。子ども達は解けた問題の数だけ学力が上がるわけではなく、頭を使って考えることで賢くなれる。努力の見返りは結果ではなく、成長だと考えればどんな難問や失敗に出会っても怯むことなく立ち向かっていける人間に成長する。 今、学校に求められているのは「可能性」を伸ばす仕組みと環境づくりといえる。 (秋草 誠) 第21回 YFN やっとかめやなも FMICS 名古屋
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【会場】 | シンポジウム 岐阜聖徳学園大学 羽島キャンパス 6号館2F |
夜の部 浄土院 TEL 058-264-0389 |
【プログラム】
○第1部(昼の部) 講演 13:30〜16:30
「独法化以後の国立大学マネジメント改革を語る 」
滋賀医科大学副学長・理事、国立大学マネジメント研究会理事 村山 典久
「私立大学の経営改革を考える 」
私立学校振興・共済事業団私学経営相談センター情報支援室長 比留間 進
「スタッフが教育研究に積極的に関わる方法 」
大谷大学 教育研究支援部長 滝川 義弘
コーディネーター
文教大学事務局長・文教学園事務局長代理 湯本 恭
○第2部(夕方の部) 17:30〜21:30
懇親会(浄土院本堂にて)
鵜飼1305年記念 長良川鵜飼観賞
○第3部(夜の部) 22:00〜23:00
「木曽・長良・揖斐川宝暦治水の薩摩義士と
会津藩最後の悲劇の藩主 松平容保公を生んだ美濃高須藩ゆかりの地を語る」
岐阜県芸術文化会議副会長 山田 賢二
○第4部(オールナイトの部) 24:00〜朝まで
学校法人経理研究会事務局長・国立大学マネジメント研究会事務局 矢島 美知子
オールナイトFMICS 参加者全員発表
○第5部(翌日9/2) 朝茶と西濃 海津市(岐阜県西濃地域)探訪
朝の茶 浄土院 井中庵 亭主 安藤昌空上人
観光 木曽・長良・揖斐川 宝暦治水の薩摩義士ゆかりの地で、
会津藩最後の悲劇の藩主 松平容保ゆかりの地、
行基寺等探訪 と 南濃温泉入浴
昼食 ナマズと鯉の川魚料理
解散 JR新幹線 岐阜羽島駅 16:30
【参加費】 昼の部のみ千円 夜の部まで1万円 両日1万5千円
【申込&問い合わせ先】 高等教育問題研究会名古屋支部事務局
林 憲和 (岐阜聖徳学園大学 学長室 058-279-6710)
nhayashi(アットマーク)ha.shotoku.ac.jp
●8月の月例会は、FMICS2月例会でお約束をしました『FMICS100人BOOK/高等教育ディスカッションガイド』を読むSDの第1回目といたします。●変化と拡散の時代です。いよいよ「母校沈没」が現実のものになってきました。多くの大学が、個性的であれという大号令のもとに、これからの生存競争を生き抜いていくために必要とされる経営資産すらも喰い潰しながら悪戦苦闘をしています。大局観を失うことなく、時代に踊らされることなく、大学の明日を地道に支えることのできる人財=“だいがくすきなんだびと”は、今こそ、座標軸の確認、原理原則、原点に立ち返ることが必要ではないでしょうか。●今から16年前の1991年(平成3年)3月に私たちFMICS人が総力を挙げて創り上げた『FMICS100人BOOK』を改めて読みこんでいくことは、時代が求めているものは何かを再点検するために必要不可欠な努力であると確信しています。●これから年2回、当時の執筆者の皆さまにあのときと今、そして明日を語っていただきます。★懇親会は、2007シンポジウム打ち上げと暑気払いを兼ねて、元気元気元気&ワイワイガヤガヤと楽しみたいと存じます。皆さまには、ぜひご参加下さい。
【日時】 2007年8月25日(土) 午後4時〜午後6時30分
【会場】 工学院大学新宿キャンパス 4階 0477教室
【コーディネーター】 桜美林大学大学院教授 高橋 真義
【参加費】 会員:1,000円 学生:500円 非会員:1,500円
【申込先】 高橋 真義(桜美林大学) mail2007(アットマーク)fmics.org
■FMICS Staff Development 略して 「SD」は、月例会とは別に、平日の夜に開催されているゼミナール型の勉強会です。
■あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(10枚程度)して、氏名と簡単なMEMOを付してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。
【日時】 2007年8月16日(木) 午後6時30分〜8時30分
【会場】 工学院大学新宿キャンパス 高層棟27階 2710ゼミ室
【参加費】 会員:500円 学生:300円 非会員:1000円
【申込先】 高橋 真義(桜美林大学) mail2007(アットマーク)fmics.org
●ゼミナール型勉強会「SD」の首都圏西部地区版。若手を中心に盛り上がっています。この勉強会の原理は極めてシンプルです。参加者が何か1品、ネタを持ち寄り、みんなで議論します。●ネタは、新聞・雑誌記事、業務関連の資料、進めている仕事のアイデア・企画等々、何でも構いません。ちょっとした事でも、他人の目に触れることにより思いがけない発見があるものです。初めて参加される方は、単に自己紹介だけでもOKです。●資料は8部程度お持ちください。
●今月は、表参道駅徒歩5分の国連大学本部が会場となりますので、ご注意ください。
【日時】 2007年8月17日(金) 午後7時〜8時30分+懇親会
*午後7時、国連大学本部1階ロビー集合
【会場】 国連大学本部 表参道駅徒歩5分・渋谷駅徒歩8分
【申込先】 pfc-sd2007(アットマーク)fmics.org 出光 直樹(横浜市立大学)
●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。
●ワイワイガヤガヤと近況報告を兼ねての楽しい時間は、美味しい中華料理屋での食事会へと引きつがれ、例会などのアイデアの多くが、この瞬間に生まれます。例会とは一味違ったFMICSの活動に、皆さまのご参加をお待ちしております。
【日時】 2007年9月13日(木) 午後6時〜9時+食事会
【会場】 日能研 恵比寿ビル
初めて参加される方は、 mail2007(アットマーク)fmics.org (高橋真義)までご一報ください。当日の連絡先等詳細をお知らせいたします。
●その昔、たぶん10年以上も昔のことです。山岸俊介さんが「何かある時だけ、マスコミに来てくださいって言っても、記者は忙しいから、よっぽどのことがないと行かない。日頃からの信頼関係をつくっておくことが大切」と言われました。●9月例会は、読売新聞教育面「教師力・大学編」を担当されている記者の松本美奈さんをゲストにお迎えします。マスコミは大学をどのように観ているのか、信頼関係を作るためにはどうしたらいいのかなど忌憚のない意見交換をいたします。
【日時】 2007年9月29日(土) 午後4時〜6時30分
【会場】 工学院大学新宿キャンパス 4階 4077教室
【発表者】 読売新聞社記者 松本 美奈