2008年3月のFMICS
見出しへ 教育への投資は必要ない?先月8日、『教育振興基本計画作りを進める中央教育審議会の特別部会に対し、同審議会の大学分科会が、「檄文」を送った。中教審内の会議が、別の会議の審議に強い調子で異議を申し立てるのは異例。小中高校の予算が増えるのに対し大学関係の予算が減らされていることもあり、分科会の議論では毎回、「特別部会の議論は小中高校の教育に偏っている」という意見が出ており、こうした不満が爆発した形だ。』との報道がなされた。 早速その資料を入手すると、大学分科会長の安西祐一郎氏ら4人の連名となっていた。 学校教育法における大学に関する条文の理念を教育振興基本計画で具現化すべきであり、平成17年度の中教審答申でも諸外国に比べ高等教育への公財政支出の規模が少なく、欧米並みの水準を目指すべきと提言されている。したがってこれらと整合性を保つと共に、長期的な展望(2025年)に立ち目標や達成工程をも描くべきである。
この目標達成には、年間5兆円以上の公財政支出が必要である。とされている。 これらのことは過去幾度となくいわれてきたことであり、とても檄文とは言い難い。むしろ、文科省予算の枠組み内で収斂せざるを得ないと判断した記者の思いが表出したに過ぎないと考えるべきであろう。 ところで、公教育の黎明期である明治初期の日本政府の教育にかける情熱は抜き差しならぬものがあった。 学制は、明治5(1872)年に公布され、全国に大学校8、中学校256、小学校53,760を置くこととした。人口約600人に対して小学校一校を、人口約13万人に対し中学校一校を置くことを目標としたものであった。 明治8(1875)年1月、文部省は学齢を満6歳から満14歳と定める通達を出した。その結果、各地で学制反対の一揆が起こることとなった。 そして、明治19(1886)年4月、小学校令が公布され、「義務教育制」を初めて打ち出した。それからわずか20年あまりの明治43(1910)年12月には義務教育の就学率はついに100%に達した。 また、明治政府は「欧米に追いつき追いこせ」をスローガンに、欧米の学問や技術の輸入、国内制度のために政府機関や学校などに多くの御雇外国人を招聘していた。明治初年から明治22年(1889)までで2,299人にも及んでいる。 参議の月給は500円、太政大臣は800円の時代に、高額月給の外国人をたくさん招いたのであり、世界の頭脳が日本に流入していた。 言葉を換えるなら、教育に膨大な投資をした結果、優秀な人物を輩出したとも言えるのである。 (鳥居 聖) 見出しへ 最終兵器, ATTAKASA平成20年2月12日、大学関係者に「いよいよ来たか」という、諦めにも似た波紋が広がった。日本私立学校振興・共済事業団(以下、事業団)から、関係学校法人理事長宛に重要な通知が送られたのだ。タイトルは「平成20年度以降の定員割れ学部等への減額処置について(お知らせ)」となっていた。内容は「定員割れの学部等を持つ大学等に対して、一般補助において補助金を調整(調整係数表A区分)しているところですが、今後はこれをさらに見直していくこととします。平成23年度には、最大で45〜50%程度の減額率となります」というものだった。 私はこの通知は実質的に国から一方的に弱小大学(以下、弱者)に向けられた宣戦布告のようなものだと思った。まるで弱者に突きつけられたハル・ノート(最後通牒)のように感じたのは私だけではないはずである。 この件は私の勝手な思い込みではないだろうか、と思っていたのでFMICS2月例会のゲスト小林哲夫氏の著書「ニッポンの大学」(講談社)には共感した。 本のおわりに『いま別な形で受験戦争が起こっているように見える。「戦争」の担い手が受験ではなく、大学と考えればの話である。18歳人口の減少と大学急増。このおかげで、学生集めに奔走せざる得なくなった大学は、他大学と「戦争」状態にあると言えなくもない。負ければ倒産してしまう。 パンフレットに「わが大学は○○分野で××位」と掲げる大学が増えている。ランキングが「戦争」の武器に使われるようになった。国の政策レベルでもランキングが重要視されるようになってきた』と書かれてあった。 仮にランキングが「大学の武器」だとしたら、数あるランキングの中で国(文部科学省)や国民(受験生)が納得する「大学の武器」とは何か?この武器を数多く持っている大学が勝利するはずである。しかし、「ブランド力ランキング」や「ファッション誌ランキング」などのランキングで勝負が決してしまっていいのだろうか。なかには「特別補助・科研費・GP」ランキングなどもあるが、本当に大学が生き残るために必要な武器はこれらでいいのだろうか。各大学にはそれぞれの個性や使命があるので、小林氏は2月例会で「教育」をランキングすることは難しいと言っていった。弱者がブランド大学と「武器の量」で戦うのは愚の骨頂である。「勝利」はあると信じているところになく、本当はランキングも出来ない、武器にもならない 「教育」プラスFMICS流の“あったかさ”にあるのではないか。学生の視点を取り入れた“あったかさ”がこれからの学生さんや大学を創りあげる。結局は、弱者生き残りの「最終兵器」=“あったかさ”ということになる。 (秋草 誠) 見出しへ 関西FMICS3月例会
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14:00 | 受付開始 |
14:30 | 第1部開会 司会 滝川 義弘(大谷大学 教育研究支援部) |
14:50 | Presentation 1 伊藤 昭さん (株式会社クレオテック代表取締役) |
15:50 | Discussion 1 |
16:20 | 休憩 |
16:30 | Presentation 2 由良 徹さん (光華女子学園法人事務局長) |
17:20 | Discussion 2 |
18:00 | 第1部総括 志垣 陽(立命館 教育文化事業部次長) |
18:30 | 第1部閉会 |
19:00 | 懇親会 |
21:00 | 第2部 All Night FMICS 【全員発表】元気と勇気とあったかさの自己表現 |
24:00 | Discussion |
26:00 | All Night FMICS終了 |
31:00 | 起床&朝食 |
32:30 | 総括 |
34:00 | FMICS FORUM in KYOTO 終了 解散 |
【参加費】 FORUM:2000円 懇親会:5000円 オールナイト:4000円
【お願い】
オールナイトFMICSで20分間のプレゼンテーションのほか、恒例の全員発表(10分間程度)を行います。テーマは自由。レジュメ(A4用紙1枚)を用意して参加してください
【申し込み・お問い合わせ】
滝川 義弘(大谷大学 教育研究支援部 075-411-8458)
tacky(アットマーク)sec.otani.ac.jp
●関西FMICSに首都圏西部方面から参加される皆さま、新横浜駅より同じ新幹線に乗りませんか。●3月22日(土)午前11時29分新横浜駅発の「のぞみ23号(N700系)」に乗車。会場到着までの数時間、例会前のディスカッションを楽しみましょう。
【申込先】 3月11日(火)までに、出光直樹 idemitsu(アットマーク)yokohama-cu.ac.jp へご連絡下さい。
*なお、2005年4月から桜美林大学プラネット淵野辺キャンパスを中心に開催していた「淵野辺SD」ですが、ここで一区切りといたします。4月からは新宿の工学院大学で開催している本家のSDを金曜日に開催して、こちらに合流いたします。
■FMICS Staff Development 略して 「SD」は、月例会とは別に、平日の夜に開催されているゼミナール型の勉強会です。■あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(10枚程度)して、氏名と簡単なMEMOを付してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。■なお4月からは、「FMICS淵野辺SD」とジョイントし、金曜日の開催となります。
【日時】 2008年3月27日(木) 午後6時30分〜8時30分
【会場】 工学院大学新宿キャンパス 高層棟27階 教員応接室
【参加費】 会員:500円 学生:300円 非会員:1000円
【申込先】 米田 敬子(文教大学) mail2008(アットマーク)fmics.org
●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。
●ワイワイガヤガヤと近況報告を兼ねての楽しい時間は、美味しい中華料理屋での食事会へと引きつがれ、例会などのアイデアの多くが、この瞬間に生まれます。例会とは一味違ったFMICSの活動に、皆さまのご参加をお待ちしております。
【日時】 2008年4月2日(水) 午後6時〜9時+食事会
【会場】 日能研 恵比寿ビル
初めて参加される方は、 mail2008(アットマーク)fmics.org (高橋真義)までご一報ください。当日の連絡先等詳細をお知らせいたします。
●FMICSの4月例会は、昨年10月例会の石渡嶺司さん、この2月の小林哲夫さんに続いて、大学に優しい新進気鋭の若手ジャーナリスト山内太地さんにご登場いただきます。2008年度シンポジウムのスローガン「学生の“が”を考える」の解題になることが期待されます。時代は急です。学生にそっぽを向かれないために、大学人は、学生をただ見ているだけではなく、学生を一所懸命に観て育てなければなりません。山内さんのたくさんの貴重な「体感」報告から学ぶことは少なくはずです。●この4月に光文社から『時間と学費をムダにしない大学選び』が刊行されます。著者は、石渡嶺司さんと山内太地さんの共著です。月例会当日には、ディスカウント頒布は間に合わないかもしれませんが、その場合はチラシでご案内いたします。
【日時】 2008年4月19日(土) 午後4時〜6時30分
【会場】 工学院大学新宿キャンパス
【発表者】 大学研究家・日経BP企画 大学出版グループ 山内 太地
【ゲストからの一言】
鉄道で日本を一周したり、奈良や京都の寺社を見学したりといった趣味は、人々に広く認知されています。これに対し、世界の大学を見学する「大学趣味」を標榜しているのは、今のところ私ただ一人です。初めて行った他大学は学習院大学でした。その美しいキャンパスに魅せられ、東大はどうだろう、早稲田は、慶應は? といろんな大学を見ているうちに、47都道府県8カ国および3地域の700大学930キャンパスを訪問していました。最初は学食やサークル活動などを眺めていたのですが、次第に図書館や研究室・実験室の見学に関心が移り、いつしか各大学の教育、研究、社会貢献、大学経営といった分野にまで関心は広がりました。同じような偏差値の大学でも、キャンパスの雰囲気はまったく違います。世間の評価が低い大学が実は優れた教育をしていたり、その逆もあります。多くの人はマスコミや受験産業・広告媒体、さらには親、教師、友人といた他者の意見で大学を評価していますが、自分の目で見たものこそが真実です。なかでも、大学教職員の皆様におかれましては、「大学趣味」を大いに喚起し、他大学を見学する面白さを知り、それをご自分の大学の発展に生かしていただきたいと思います。今回は、私が見学した中から特に印象に残った大学のお話をしたいと思います。
【参加費】 会員1,000円 / 非会員1,500円 / 学生(会員・非会員問わず)500円
【申込先】 高橋 真義(桜美林大学) mail2008(アットマーク)fmics.org