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2008年4月のFMICS




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財務情報等の公開状況について

 先月12日、文部科学省から標記の平成19年度調査結果が公表された。この調査は、昭和50年代から行われているものであり、すべての学校法人から回答を得ている。

 今回の調査結果概要と5年前(平成14年度)の調査状況を比べてみたい。

(1)財務情報等の一般公開の状況・方法

 インターネットのホームページへの掲載、広報誌等の刊行物への掲載、学内掲示板等への掲示のいずれかの方法により一般公開を行っている法人は597法人で全法人の89.4%(前年度86.3%)となっている。

 なお、平成17年度から質問形式等が変更されているが、ほほ同様の質問ととらえると5年前の平成14年度調査では85.2%であった。

 具体的方法については、インターネットのホームページへ掲載することにより公開している法人が431法人(全法人の64.5%)となり、昨年度と比較し、15.9%増となっている。広報誌等の刊行物へ掲載することにより公開している法人が399法人(全法人の59.7%)、昨年度までは横ばいであったが、今年度は昨年度と比較し5.8%減となっており、インターネットのホームページによる掲載が広報誌等の刊行物の掲載を上回った状況になっている。

 平成14年度は、広報誌等の刊行物に掲載が418法人(70.0%)、掲示板やホームページ等に掲示が163法人(27.3%)であるので、格段に一般公開が進んだことが分かった。また、平成18年度から私立大学等経常費補助金について、学部ごとの在籍学生数や財務状況の情報をインターネットなどで一般公開している学校に対して補助金を増額させる措置が行われたことも大きな要因であろう。

(2)財務情報等の一般公開の内容

 財産目録またはその概要を公開している法人は416法人(前年度285法人)で全法人の62.3%(前年度42.9%)。貸借対照表またはその概要を公開している法人は521法人(前年度519法人)で全法人の78.0%(前年度78.2%)。収支計算書またはその概要を公開している法人は536法人(前年度548法人)で全法人の80.2%(前年度82.5%)。事業報告書またはその概要を公開している法人は430法人(前年度322法人)で全法人の64.4%(前年度48.5%)となっている。

 平成14年度は、財務三表すべて(概要のみも含む)を公開しているのは426法人(71.4%)となっている。

 公開方法の増加割合に比べると伸び率は小さくなっている。

 さて、情報内容が巷に氾濫しているが、自らがその情報の取捨選択を間違えないようにしなければならない時代となっている。一方において情報を供給する側は、選択者が間違うことのない情報を提供する義務があることは紛れもない事実である。必要な情報を出し惜しむようでは、消費者からは背を向けられるだけであろう。

(鳥居 聖)



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強者時代

 昨年7月23日の日経新聞に載った早稲田大学白井総長の話、『大学生の75%が私学生であるにもかかわらず、国立大学の運営費交付金一兆二千億円に対して、私大の経常費補助金は三千三百億円にすぎない。高等教育に対する公財政支出が不十分な中で、国立大学法人に対する運営費交付金の1%削減が続き、私立学校補助金も1%カットされた。国は「基盤的経費の確実な措置」と「評価に基づくより効果的な資金配分」を基本方針に盛り込み各大学の積極的な改革を促してきた。しかし、多くの私学には戦う基礎体力はない。単なる競争は、大規模国立大学を一層拡大させ、地方大学など衰退させるだけである。大学を評価する際に研究だけを重視し、教育での貢献を軽視するのは不合理である

 この話を裏付けるように、7月31日に日本私立学校振興・共済事業団(以下、事業団)が、私立学校の破綻回避対策と謳った例の「イエローゾーン・レッドゾーン」の分類表を発表して定員割れ大学に警鐘を鳴らし始めた。次に10月25日の日経の夕刊に事業団の私学経営センターから、06年3月末時点で四年制大学を持つ504の学校法人のうち三割が財政難に陥っているという厳しい報告があった。この話が進み、12月21日の日経の夕刊には「いつつぶれてもおかしくない」大学法人が9、短大法人が6、「在学中に破綻の可能性のある」大学法人が11、短大法人が1と具体的な数字に変わってきた。

 この間に、学校改革も出来ない研究費も取れない弱小大学が潰れるのは当然の結果だという風潮が作られつつあるまいか。

 平成19年度から科研費の基盤研究(B)及び基盤研究(C)に新たに間接経費(30%)がつくようになった。科研費の応募件数(07年度121,219件)は、私大は国立大の約半分だが、採択件数(07年度49,425件)は約三分の一、配分額(1,528億円)では約五分の一まで下がる。(この数字には間接経費は含まれていない)早稲田大教授の竹内氏は07年度の国立大学トップの東大の科研費63,1億円に対して、13位の私学トップの慶応大学は8,8億円と科研費の約半分は旧帝大など上位10大学に集中し、すでに「寡占化」状態だという。

 いつの間にか、弱者が生き残れるような甘い「場」ではなくなっていたということだ。

 “小魚呑大魚(しょうぎょたいぎょをのむ)” ウイリアム・リード氏の書いた「お客の心に飛び込め!」のゲリラ・マーケティングの手法に活路をみいだせないだろうか。いま自分たちが占めているマーケットの外を見るのではなく、内を見ることを考える。いま自分たちの商品を買ってくれているお客は、なぜ自分たちの商品にお金を払ってくれているのか。それを追求することで、自分の商品やサービスだけが持っている特徴、すなわち「ニッチ」が浮かび上がってくる。ゲリラは自分のテリトリーで戦う。スモール企業スモールビジネスが大企業に立ち向かっていける戦略なのだ。これからは大学にもゲリラ・マーケティングが必要になる。

(秋草 誠)



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FMICS 4月例会 (第559回例会)

■高等教育問題研究会FMICSは、昭和56年3月14日に産声を上げました。「少しでも大学を良くしたいと願う人財を束ねよう」「大学職員文化を創ろう」という THINK BIGな想いを毎月地道に積み重ねてきました。●いよいよ、大学破綻は、非日常的な出来事ではなくなりました。競争が激化すればするほど、大学は、学生教員職員のミッション・パッション・アクションを一つにまとめて組織力をアップしなければなりません。激動の時代を活き抜く新しい大学職員は、経営資産としての学生を、教員を、点から線、そして面に束ねていく大局観あるプロデューサーとしての活躍が期待されます。プロデューサーに必要なものは、ひらめきではなく、コミュニケーション力とヒューマンネットワークです。●28年目の今年も、高等教育問題研究会FMICSは、「まずはじめよう」という初発の原像を忘れることなく、大学を少しでも良くしたいと一所懸命頑張る“だいがくすきなんだびと”の切磋琢磨の「場」にしたいものです。

■FMICSの4月例会は、昨年10月例会の石渡嶺司さん、この2月の小林哲夫さんに続いて、大学に優しい新進気鋭の若手ジャーナリスト山内太地さんにご登場いただきます。2008年度シンポジウムのキーワードの「学生の“が”」を考えるためのプロローグとなることが期待されます。時代は急です。学生にそっぽを向かれないために、大学人は、学生をただ見ているだけではなく、学生を一所懸命に観て育てなければなりません。山内さんのたくさんの貴重な「体感」報告から、たくさんのことを学びたいと思います。●なお、4月23日には、光文社から石渡嶺司さんと山内太地さんの共著『時間と学費をムダにしない大学選び』が刊行されますので、ご注目下さい。●今月は、特に、学生さん、大学の明日を担う若手職員の皆さまのご参加を歓迎いたします。皆さまには、積極的に「一緒に行こうよ」とお声をお掛けくださいますようお願いいたします。

【日時】 2008年4月19日(土) 午後4時〜6時30分

【会場】  工学院大学新宿キャンパス 4階0477教室

【テーマ】 新進気鋭の若手教育ジャーナリストが体感した
       700大学930キャンパスの学生の「が」

【スピーカー】 大学研究家・日経BP企画 大学出版グループ 山内 太地

【ゲストからの一言】
 鉄道で日本を一周したり、奈良や京都の寺社を見学したりといった趣味は、人々に広く認知されています。これに対し、世界の大学を見学する「大学趣味」を標榜しているのは、今のところ私ただ一人です。初めて行った他大学は学習院大学でした。その美しいキャンパスに魅せられ、東大はどうだろう、早稲田は、慶應は? といろんな大学を見ているうちに、47都道府県8カ国および3地域の700大学930キャンパスを訪問していました。最初は学食やサークル活動などを眺めていたのですが、次第に図書館や研究室・実験室の見学に関心が移り、いつしか各大学の教育、研究、社会貢献、大学経営といった分野にまで関心は広がりました。同じような偏差値の大学でも、キャンパスの雰囲気はまったく違います。世間の評価が低い大学が実は優れた教育をしていたり、その逆もあります。多くの人はマスコミや受験産業・広告媒体、さらには親、教師、友人といた他者の意見で大学を評価していますが、自分の目で見たものこそが真実です。なかでも、大学教職員の皆様におかれましては、「大学趣味」を大いに喚起し、他大学を見学する面白さを知り、それをご自分の大学の発展に生かしていただきたいと思います。今回は、私が見学した中から特に印象に残った大学のお話をしたいと思います。

【参加費】  会員1,000円  非会員1,500円  学生(会員・非会員問わず)500円

【申込先】 高橋 真義(桜美林大学) mail2008(アットマーク)fmics.org



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YFN4月例会 (第558回例会)

●YFN・めやっとかめやなもFMICS名古屋の4月例会をご案内いたします。●第1部は、講師はYFN事務局の林さんです。高山出身で成蹊高等女学校名物校長であった奥田正造の著書『茶味』を輪読し味わい、実際に坐禅をし、その後 茶席で茶を喫し、床の一行物の禅語を学ぶ講座。茶味は中曽根康弘氏が、戦場へ行李に忍ばせ持参した氏の人生畢竟の書。流派を超えて利休の茶を目指した大正昭和の大茶人で偉大な教育者であった 奥田正造先生の茶と生き方を共に学ぶNHK文化センター講座を受講。そして洞戸へ車で移動します。第2部は「南山エクステンションカレッジ − 現状と課題 − 」と題して、室長の新里敏夫さんがお話しされます。夜は近所の道三温泉へ。●翌日は、樹齢1500年の本巣市根尾の薄墨桜の花見と能郷白山神社の国指定無形重要文化財の能猿楽を観覧します。

【日時】  2008年4月12日(土)&13日(日)

【会場】   NHK文化センター岐阜教室 岐阜市徹明通1-15 岐阜メルサ7階

  東海坐禅道場 岐阜県関市洞戸大野927 電話 0581-58-7014

【プログラム】
 4月12日(土)

 第1部 午後4時15分〜5時45分 NHK文化センター
  「茶味」輪読と禅語を学び且坐喫茶 講座
  講師 東海坐禅道場・有楽流茶道 林 大道

 第2部 午後9時半〜12時 東海坐禅道場
  南山エクステンションカレッジ − 現状と課題 −
  講師 南山エクステンションカレッジ室長 新里 敏夫

 4月13日(日)

 午前6時 起床 掃除・坐禅・読経・喫茶

 樹齢1500年根尾の薄墨桜と能郷白山神社の能猿楽観光

 午後5時 JR岐阜駅解散

【申込&問い合わせ先】
 林 憲和 (岐阜聖徳学園大学総合企画課) nhayashi(アットマーク)ha.shotoku.ac.jp



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FMICS Staff Development 199

■FMICS Staff Development 略して 「SD」は、月例会とは別に、平日の夜に開催されているゼミナール型の勉強会です。■あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(10枚程度)して、氏名と簡単なMEMOを付してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。■今月からは、「FMICS淵野辺SD」とジョイントし、金曜日の開催となります。お間違えないようお願いいたします。

【日時】 2008年4月25日(金) 午後6時30分〜8時30分

【会場】  工学院大学新宿キャンパス 高層棟27階 教員応接室

【参加費】 会員500円  非会員1000円  学生(会員・非会員問わず)300円

【申込先】 米田 敬子(文教大学) mail2008(アットマーク)fmics.org



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会報 『BIG EGG』 5月号 発送作業

●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。

●ワイワイガヤガヤと近況報告を兼ねての楽しい時間は、美味しい中華料理屋での食事会へと引きつがれ、例会などのアイデアの多くが、この瞬間に生まれます。例会とは一味違ったFMICSの活動に、皆さまのご参加をお待ちしております。

【日時】 2008年4月30日(水) 午後6時〜9時+食事会

【会場】 日能研 恵比寿ビル

初めて参加される方は、 mail2008(アットマーク)fmics.org (高橋真義)までご一報ください。当日の連絡先等詳細をお知らせいたします。


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速報 5月のFMICS

【日時】 2008年5月17日(土) 午後4時〜6時30分

【会場】  工学院大学新宿キャンパス

【テーマ】 学生の“が”を検証する
      (仮)高校から見た大学入試広報・高大連携への注文

【発表者】 芝中学校・高等学校教諭 坂詰 貴司