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2008年5月のFMICS




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大学リテラシー試論について

 教育学術新聞に3回(記事1 記事2 記事3)にわたり寺ア昌男氏の試論が示された。大学教職員の職能開発について中教審でも審議されており、正にタイムリーな時期に掲載されたので、紹介するとともにいささかの私見を述べたい。

 この試論では、事務員と職員の違いを、将来計画を見据えてその実現(費用)のサポートを提案できるか否かとし、その資質を大学リテラシーと論じている。

 寺ア氏は、大学職員の基礎知識を考える時に、大学論、大学教育史などのアカデミックな科目は必要でないと考えていたが、実態は違ったのである。普段の業務にはおよそ関連しないが、ひとたび疑問や関心がそそられるとこれらの科目内容は知識として大変重要である。なぜならば関係法令などを読んでいる人は多くないこと、それらの成立過程を知っている人はほとんどいない事が分かったからである。

 試論は、一般的に私立大学等職員にとっては、関係法令を自ら積極的に探求しなければ、職務上必要とする場面をほとんど想定しないで日々の業務が遂行出来てしまうという実態を鋭く指摘している。要は大学職員はもっと勉強すべきではないかというメッセージとして受け止めたい。

 次に、勤務する自校への認識を高め、アイデンティティーを認識し、その認識を相互に確認・共有することである。具体的には自校教育の実施という試みである。実践されている大学においては、おおむね学生たちの参加は熱心で、大学側も意義を高く認めており、まさに建学の精神の確認と大学アイデンティティーの共有に大きな威力を発揮していることが明らかになった。

 さらに、自校教育においては、授業に職員が参加する機会(キャリア支援の特色、図書館利用のガイダンスなど)が設定できるので職員の大学リテラシー形成に効果を持っているという。

 ただし、自校教育が効果を発揮するには、沿革史編纂事業の成果や大学アーカイブの整備と活用が不可欠である。

 次に、大学・高等教育政策への認識と洞察は必要不可欠な事である。文部科学省からの度重なる書類・資料の提出と訂正、それに伴うヒヤリング、そして大学に帰ってからの学内協議という中でこれらはいやおうなく試されるのである。

 規制緩和の中で、大学・高等教育政策を担う主体が、かつてと比べものにならないほど複雑化・多元化している。つまり、文部科学省の情報だけではまったく足りないという事態となっている。

 なお、資料の収集整理は政策の現在と今後を見通すための洞察力を養うために必要なのである。

 長期にわたる、総合的で多面的な政策理解のためには、職人的な個人技ではとても足りないのである。今後10年続く少子時代を支えるのは、大学職員の力であり、その能力開発事業は必須のものになるであろう。

 職員がいくつかの専門分野の知識を得て、それを使うということは、もはや喫緊の課題という段階すら通り越している。職員となるのか事務員となるのか、個人の自覚は当然として、勉強を続けていく意外には残された途はないのである。

(鳥居 聖)



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まずは隗より

 平成20年4月11日付けで科研費にあたりました。この日は私にとって記念すべき嬉しい日になりました。多くの方は、どうして高校の事務職員に科研費があたるの?という単純な疑問を思い浮かべたと思います。実は科研費の中に「奨励研究」という研究種目があり、その目的と内容は「教育研究機関の職員、企業の職員又はこれら以外の者で科学研究を行っている者が1人で行う研究(期間1年、1課題100万円以下)」という研究なのです。この「奨励研究」の課題テーマをさんざん悩んだ挙句、以前からから問題視され昨年急激に話題になった「学校裏サイト」問題に焦点をあて「Webモラルの検証を通じた「学校裏サイト」に対する防御策の構築」として昨年12月に申請していました。申請してからは神頼みしかありませんから、今までずっとあたれ、あたってくれと何度も心の中で祈っていました。この通知が届いたのが4月の14日なのですが、15日に文部科学省から学校裏サイトの実態調査の発表があり新聞に大きく取り上げられるようになりました。学校の公式ホームページとは異なる、児童や生徒が管理する学校関連のプログや掲示板、いわゆる「学校裏サイト」が全国に約3万8,000件あったと明らかになりました。この記事を読みながら、これから始まる研究への不安感と使命感が同時にあふれ出してきました。(たまたま旬だったという感があります)とにかくこの1年間、頑張って成果を出したいと思います。

 平成19年度の科研費の規模は1,913億円であり、政府全体の科学技術関係経費の約5%、競争的資金全体の約40%を占めています。平成20年度の奨励研究の応募・採択状況は、応募課題数3,380件、採択課題数は676件で採択率は20.0%でした。

 私学の職員の方々に注目していただきたいのは、今回の「奨励研究」はもちろんですが「基盤研究」の間接経費についてです。平成19年度から、基盤研究(B)及び基盤研究(C)に新たに間接経費がつくようになりました。これは採択された金額の30%が別枠で事務経費として認められたと言うことなのです。

 私は勉強会など様々なところで職員の方々とお会いしたときに、○○大学さんの科研費はどれくらいとれているのですかと言う質問をします。国立大学の方々の数字はとにかくスッゴイの一言です。反面、私立大学の方々に聞くとうちはなかなか取れないよとか、うちの教員さんはムリですよとかいう話を聞きます。なんだか他人事のように教員の研究がよくないから取れないんだ、というようなニュアンスで話をされる方もいます。

 こんな話が出ると内心では、教職員が協同して基盤研究に採択されるような研究計画書を作成できたらいいのに、なんて思っていました。今回の採択で自信がつきましたので、これからは教員に協力するから科研費の申請をしましょうと奨めることにしました。

 この作業は教員と職員が目的を共有した「FDとSDの融合」の表れの一つだと感じています。

(秋草 誠)



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FMICS 5月例会 (第560回例会)

■大学全入時代を迎え、学生確保のための青田刈りともいえる推薦入試、AO入試によって大学の門戸は大きく広がりました。売り手市場から買い手市場へ。大学にとって定員割れは経営破綻に即決するキャッシュフローの減少となります。この2月には、それに追い打ちをかけるように私立大学経常費補助金のスキームは、定員割れに対するマイナス評価を強めることになりました。いよいよ、学生争奪は過激化し、これまでにもまして大学のための青田刈り的に学生を確保をするための入試選抜の対処療法的な安易な工夫がなされるはずです。しかしながら、安易に「入り口」を広げると、4年後の「出口」では惨敗することは火を見るより明らかです。

 もはや、大学受験は高校生の学びに対する動機付けとはならなくなり、ゆとり教育の中で多様な学習歴と価値観を持つ、必ずしも大学教育を享受する学力を備えていない高校生が大挙して大学の門をくぐることになります。

 この悪循環をいかにして絶つか。これまでのように、大学が変われば、いやいや高校が変わればと責任回避をし、お互いが閉じた取組みに終始していれぱ、我が国の高等教育力は世界標準からいよいよ乖離していくことになります。共倒れは避けられません。

 マイナスのスパイラルに飲み込まれないために、今こそ、大学はわかりやすいアドミッション・ポリシーを高校に示す必要があります。高校と大学がお互いの垣根を乗り越えて「生徒の“せ”」と「学生の“が”」という視座を共有し、力を合わ できることは一つでもカタチにしていかなければなりません。高校と大学がそれぞれの実情を直 視し、積極的に意見等を交換しあわなければならない時を迎えています。

■高校からのスピーカーの坂詰さんには、次の3点から問題提起をして頂きます。

  • アドミッションポリシーを明確に
  • 新しい高大連携(生徒中心から教員中心)
  • 入試制度の改善 

 そして、加えて「大事なことは高等学校の関係者と大学の関係者が、日頃から連絡を密にして、話し合いの機会を設けて、風通しのよい状況にすることだと思います。そうすれば現在問題になっているいくつかの点は、解決できる方向にあると思います」と言われます。

■今月は、高校と大学、そしてその架け橋を担う教育関係者のお三方に、たっぷりと想いをかたっていただき、高校と大学の「生徒の“せ”」と「学生の“が”」について考えることにいたします。5月例会での活発なディスカッションが、6月28日−29日のFMICSシンポジウムに向けたプロローグとなることものと期待されます。皆さまには、お仲間をお誘いの上ご参加ください。

【日時】 2008年5月17日(土) 午後4時〜7時

【会場】  工学院大学新宿キャンパス 4階0477教室

【テーマ】 生徒の“せ”と学生の“が”を束ねる
       検証 高校と大学の新しい接続のカタチ

【スピーカー】
芝中学・高等学校教諭坂詰 貴司
大学新聞社編集局小島 理絵
  横浜市立大学アドミッションズセンター
大学専門職(学務准教授)
出光 直樹
司会 桜美林大学教授高橋 真義

【参加費】  会員1,000円  非会員1,500円  学生(会員・非会員問わず)500円

【申込先】 高橋 真義(桜美林大学) mail2008(アットマーク)fmics.org



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YFN5月例会 (第561回例会)

 今月は、椙山女学園大学現代マネジメント学部教授吉田良生さんにご登場頂きます。氏は岐阜県にある朝日大の前経営学部教授で、岐阜市、岐阜県の各種審議会の座長や懇談会の会長を総なめにしたような私学が誇る岐阜の逸材であり、我が戦友でありました。岐阜県の貴重な人材の流出に心を痛めるものの一人でありますが、名古屋デビューを提供し、更なるビッグステージでの氏の活躍を期待します。氏は人口論の専門家であり、テーマも人口論から見る大学・社会・地球とし、大いに語っていただきます。

【日時】  2008年5月22日(木) 午後6時〜9時

【会場】  椙山女学園大学星ヶ丘キャンパス 現代マネジメント学部応接室

【テーマ】 今 地球を考える
       検証 人口論から見る大学・社会・地球

【スピーカー】 椙山女学園大学 現代マネジメント学部 教授 吉田 良生

【申込先】 林 憲和(岐阜聖徳学園大学総合企画課) nhayashi(アットマーク)ha.shotoku.ac.jp



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FMICS Staff Development 200

■FMICS Staff Development 略して 「SD」は、月例会とは別に、平日の夜に開催されているゼミナール型の勉強会です。■あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(10枚程度)して、氏名と簡単なMEMOを付してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。■4月からは「FMICS淵野辺SD」とジョイントし、金曜日の開催なっています。お間違えないようお願いいたします。

【日時】 2008年5月30日(金) 午後6時30分〜8時30分

【会場】  工学院大学新宿キャンパス 高層棟27階 教員応接室

【参加費】 会員500円  非会員1000円  学生(会員・非会員問わず)300円

【申込先】 米田 敬子(文教大学) mail2008(アットマーク)fmics.org



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会報 『BIG EGG』 6月号 発送作業

●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。

●ワイワイガヤガヤと近況報告を兼ねての楽しい時間は、美味しい中華料理屋での食事会へと引きつがれ、例会などのアイデアの多くが、この瞬間に生まれます。例会とは一味違ったFMICSの活動に、皆さまのご参加をお待ちしております。

【日時】 2008年6月4日(水) 午後6時〜9時+食事会

【会場】 日能研 恵比寿ビル

初めて参加される方は、 mail2008(アットマーク)fmics.org (高橋真義)までご一報ください。当日の連絡先等詳細をお知らせいたします。