過去のお知らせ一覧へ戻る


2008年7月のFMICS




見出しへ

地域社会に貢献する大学

 OECDから1999(平成11)年にThe Response of Higher Education Institutions to regional needsというレポートが出され、日本語訳は2005(平成17)年に玉川大学出版部から発刊されていた。

 筑波大学の大学マネジメントセミナーの講演者がこのレポートの内容を紹介したので、早速図書館でこの本を借り読んでみた。

 序文には、「高等教育機関の経営(IMHE)に関するOECDプログラムが主催した複数の会議における考察や事例研究に基づくものである。」以下10章にわたって、「高等教育機関がもつ資源を活用としようとしている人々にとって、まさに鍵となる問題、検討課題に主に焦点を当てたものである。」となっている。書の中から講演者が指摘した部分を書き出してみた。

第2章 高等教育機関と地域

  • 地域経済のニーズを反映した大学での専門教育や職業教育の提供には需要が大きい。大学は、こうした地域経済の新たな現実に適応することで大きな利益を得られる。特に地域ネットワークは、大学の生き残りや活性化の戦略として考えられる

第5章 地域連携のための大学経営

  • 高等教育機関は複雑でかつ、多くの場合、地域に根ざしてはいない組織である
  • 高等教育機関内の活動は大多数が学問ベースであるのに対して、地域の機会は多くが学際的な教育や研究を要求するものである
  • (高等教育機関の)上級管理者のなかには教育や研究面で地元企業や自治体との関係を強化したいと願う者も多いであろうが、学科レベルの教員は必ずしもそのような願望を共有しているとは限らない
  • 高等教育機関と外部環境とを結ぶ内部メカニズムを数多く設置することは、地域に対して対応的な高等教育機関になるための、まさに鍵となる要素である
  • 高等教育機関が地域の文脈で直面するもっとも困難な問題の一つ、すなわち閉鎖的、密室的であるとの印象を一掃するすることにもつながる
  • 大学教員の忠誠心は、所属機関よりも研究分野にある
  • 高等教育機関は中央政府による財政支援への依存から脱却しつつ、財政の健全化を図るために、企業家活動を重視し、地域の資源を含む外部からの資金を獲得しようとしている

第6章 教育マネジメント

  • 多くの高等教育機関は、専門知識を生み出すことや高い質の卒業生を輩出させることが高等教育機関の役割だとみなしている。その結果、地域のより実践的なニーズに合致しようとすることは多くの高等教育機関がとりうる選択肢ではない

第8章 地域貢献のマネジメント

  • 個々の教員の学外活動、成人教養教育や夜間授業の提供、図書館、劇場、博物館などの施設の開放、あるいは公開講座といった手法により高等教育機関が市民社会に果たしてきた貢献は一つに束ねられ、教育、研究と並ぶ「第三の役割」として認知されてきている

 これだけを見ると、日本国内の状況についての記述だと誰も疑わないであろう。諸外国でもまったく同じ事が起こっている、こんな事も世界標準になっているのかと寒心してしまった。

(鳥居 聖)



見出しへ

虎穴を探り 千尋の谷を越えよ

 最近の子供たちは、「マッチで火を点けられない、ナイフで鉛筆を削れない」等、数え上げたらきりがないくらい当たり前のことができないと言われています。挙句の果てに「外で遊ぶことが出来ない」なんて凡そ私の子供時代には考えられないことが現実のようです。大人が子供たちの安全と安心を考慮しすぎて、子供たちから「危険なことや面白いこと」を遠ざけてしまったツケが回ってきたのだと感じます。私が子供のときは、毎日外で色々な工夫をして遊びを創造していたと自負があります。現状は、そんな体験もせずに塾に通って小中学校時代を過ごして、高校生活をおくり大学に入学する。大人たちが用意した「危なくない、面白くない」トンネルを永い間かけて潜り抜けてきた学生ばかりだということです。

 「大学という“場”の力で学生に“気づき”を与えてほしい」というカレッジマネジメント149号の千葉望氏のタイトルに魅かれました。文中、『今の親たちは大学を「学問の場」だと長い目で見ている親は本当に少なくなった。大学を就職予備校みたいに考え「就職率の高い大学」にこだわる。こういう状況の中で、子供は小さいときから「明日のために今日を売り渡す生活」を続けていく。いい高校へいくために、いい大学へ行くために、いい会社に行くために。現状に子供が希望を失わないほうがおかしい』という。この状況を打破するような言葉が冒頭のタイトルとなっていた。最終目標がいい会社にいくためと親から言われても、彼らはその会社に入ったところで、将来が担保されないことを知っている。

 子供のときから塾に通い、いい会社にいくための道を走らされた子供たちは、まるで富士山を最終目的として、親の車で高速道路に乗って5合目まで連れて行かれてしまったようなものです。車を降りた瞬間に初めて空気の違いを肌で感じ、温度の違いに驚くのと同じです。まさに大学を卒業して社会の空気に触れる瞬間もきっとこんな感じだと思います。それで違和感を感じ、せっかく入った会社も3年以内に辞めてしまう人が増えたと話題になっています。

 いま、私は車で旅行に行くときに高速道路を時速100`で走っても普通に感じ、車内の温度を快適に調整し音楽も聴けることに違和感を感じません。何一つ不自由のない空間に勘違いしている自分に気づいていません。実は自分の足で歩く意味は、土の感触を踏みしめ山や谷を越えるときに感じる空気や温度の違いを肌で感じながら進める点にあります。時には難所があったり見知らぬ人と出会ったり、その時々に多くのことを学べることにワクワク感が生まれます。これが“楽しみの原点”だと感じます。

 学生に“気づき”を与えられる“場”とは、便利な高速道路を作ることではなく、煩わしくて大変なでこぼこ山を乗り越えられるような環境を創ることだといえるのではないでしょうか。

(秋草 誠)



見出しへ

FMICS 7月例会 (第564回例会)

●7月の月例会は、『FMICS100人BOOK』を読むSDの第3回目といたします。●二極化と拡散の時代です。多くの大学が個性的であれとの大号令のもとに悪戦苦闘して、大局観が失われています。今こそ、座標軸の確認、原理原則、原点に立ち返ることが必要です。17年前の1991年(平成3年)3月にFMICS人100人が力を合わせて創り上げた『FMICS100人BOOK』を改めて読みこんでいくことは、時代が求めているものではないかと確信しています。●そして、FMICS30周年に向けて、皆さまには大いに学びのカタチについて語っていただき、『100人&100人BOOK』を新たに創るための編集企画委員会を立ち上げることと致します。

【日時】 2008年7月26日(土) 午後4時〜6時30分

【会場】 工学院大学新宿キャンパス 4階0477教室

【テーマ】 二極化と拡散の時代 新しいSDのカタチ
    『FMICS100人&100BOOK / 高等教育ディスカッションガイド』を語る

【スピーカー】
杏林大学大学院 修士2年佐藤 ヒロコ
桜美林大学教職指導室米田 敬子
  桜美林大学 教授高橋 真義

【参加費】  会員1,000円  非会員1,500円  学生(会員・非会員問わず)500円

【申込先】 高橋 真義(桜美林大学) mail2008(アットマーク)fmics.org



見出しへ

YFN7月例会 (第563回例会)

 「原三渓翁顕彰講座」は、学園おこし、町おこしでFMICS有志が始めた、聖徳茶会の町おこし編です。市民県民に岐阜出身の偉大なる文化人・財界人の原三渓を紹介する岐阜市・横浜市・岐阜聖徳学園大学連携講座です。

 三渓翁は岐阜市柳津に生まれ、早稲田大学の前身東京法律専門学校で学び、横浜の豪商、原財閥の養子となります。横浜の原から世界の原へと発展させ、明治・大正・昭和と日本を代表する財界人として横浜の振興に尽くし、パトロンとして横山大観や速水御舟などの日本画家を育てました。一方、近代茶を興した三大茶人とも言われ、その邸宅は約5万坪の庭園に重要文化財等多数の歴史的建造物を集め、東の三渓園、西の桂離宮と称されます。

【日時】  2008年7月20日(日) 午前11時〜午後4時

【会場】  三渓園 (横浜市中区本牧)

【内容】

  • 安田修二 三渓園園長 歓迎挨拶

  • 村上義紀 前副総長 講話
    「早稲田大学と三渓翁」

  • 資料館見学
    川幡留司 参事による三渓園・内苑・外苑の特別見学説明会

【昼食】 隣花苑コース(5000円) 待春軒コース(1000円程)

【会費】 現地集合解散者は参観料のみ

【事務局】 岐阜聖徳学園大学
       エクステンションセンター事務室
       電話&FAX 058-279-6760
       g-sec(アットマーク)ha.shotoku.ac.jp



見出しへ

FMICS Staff Development 202

■FMICS Staff Development 略して 「SD」は、月例会とは別に、平日の夜に開催されているゼミナール型の勉強会です。■あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(10枚程度)して、氏名と簡単なMEMOを付してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。■なお初めての方は、自己紹介のみで構いません。■4月からは「FMICS淵野辺SD」とジョイントし、金曜日の開催なっています。お間違えないようお願いいたします。

【日時】 2008年7月18日(金) 午後6時30分〜8時30分

【会場】  工学院大学新宿キャンパス 高層棟27階 教員応接室

【参加費】 会員500円  非会員1000円  学生(会員・非会員問わず)300円

【申込先】 米田 敬子(桜美林大学) mail2008(アットマーク)fmics.org



見出しへ

会報 『BIG EGG』 8月号 発送作業

●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。

●ワイワイガヤガヤと近況報告を兼ねての楽しい時間は、美味しい中華料理屋での食事会へと引きつがれ、例会などのアイデアの多くが、この瞬間に生まれます。例会とは一味違ったFMICSの活動に、皆さまのご参加をお待ちしております。

【日時】 2008年8月6日(水) 午後6時〜9時+食事会

【会場】 日能研 恵比寿ビル

初めて参加される方は、 mail2008(アットマーク)fmics.org (高橋真義)までご一報ください。当日の連絡先等詳細をお知らせいたします。


見出しへ

速報 8月のYFNシンポジウム

 やっとかめやなもFMICS名古屋(YFN)の《学びのカタチ》を束ねる恒例の第21回YFNシンポジウムをご案内します。

 聖徳学園岐阜教育大学羽島キャンパスでのシンポジウムです。懇親会は長良川での鵜飼い観賞とともに乾杯。そして、岐阜の名刹浄土院の本堂での特別プログラムは岐阜市再生の仕掛け人にお話しいただきます。夜プロは勿論朝まで続きます。翌日の岐阜観光は朝のお茶からはじまり、温泉ありのナマズと鯉の川魚料理に舌鼓を打つというワクワクハッピーツアーとなります。皆さまにはお誘い合わせの上ご参加下さい。

【日時】 2008年8月30日(土)13:00 〜 31日(日)16:00

【会場】 シンポジウム 岐阜聖徳学園大学 羽島キャンパス 本館会議室
 夜の部 浄土院 TEL 058-264-0389

【テーマ】 今再び、高大連携・一貫連携教育を考える

【プログラム】

 ●第1部(昼の部) 13:30〜16:30

  講演 今再び、高大連携・一貫連携教育を考える

   「立命館学園における一貫連携教育について」
     立命館・初代中等教育推進課長、びわこ草津キャンパス事務長 志垣 陽

   「日本福祉大学における高大連携について」
     日本福祉大学 学校政策担当部長 北村 明治

 ●第2部(夕方の部) 17:30〜20:00

  懇親会 鵜飼1304年記念 長良川鵜飼鑑賞

 ●第3部(夜の部) 21:00〜22:30

   「岐阜市再生の仕掛け人 夜に生き、夜に吼える」
     岐阜市 市長室長・広報監 河田 敏春

   「県庁の星 実は 霞ヶ関の星 世界に生き、世界に吼える」
     岐阜県 保健医療長 田中 剛

 ●第4部(夜の部2) 22:30〜23:00

   「岐阜の誇るクリエーター集団 デザイン・まちおこし・踊り・炭焼き…」
     オルガンデザイン室ちんドンや興行精鋭部隊

 ●第5部(オールナイトの部) 24:00〜朝まで

  オールナイトFMICS 参加者全員発表

 ●第6部(リラックス&リゾートの部)

  朝の茶 浄土院 井中庵にて 亭主 安藤昌空上人

   観光 美濃和紙の家、リチャード染色工房、
       西田哲学継承者久松真一記念館仏教哲学者古田紹欽記念館 探訪

   昼食 鮎料理やな (温泉あり) 

 ●解散 JR岐阜駅 16:00  

【参加費】 昼の部のみ千円  夜の部まで1万円  両日1万5千円

【申込&問い合わせ先】 高等教育問題研究会名古屋支部事務局
      林 憲和 (岐阜聖徳学園大学 学長室 058-279-6710)
      nhayashi(アットマーク)ha.shotoku.ac.jp