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2008年12月のFMICS




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申報(しんぽう)

 旧制東京大学法理文学部の年報内に、内外教授申報大意というものがある。

 前年の年報までは、外国教授申報大意抄訳となっていたが、第7年報から内外教授申報大意となっている。 この第7年報(明治11年9月から12年8月)の章立ては、庶務概要、綜理内外教員の事、生徒の事、属員の事、内外教授申報大意、医員秀島文圭申報、予備門の事並びに主幹申報、図書増減の事、器械模型標品及び薬品増減の事、小石川植物園の事、経費の事、諸般の表となっている。

 また、この年報は東京大学法理文学部綜理加藤弘之から文部大臣田中不二麿宛に出されている。なぜなら、この時に旧制東京大学は、まだ文部省の附置機関という位置づけでしかなく、そして、大学には学位授与権がまだ無かったのである。つまり、国策としての大学教育が行われていたということである。

 なお、東京帝国大学が学年の始めを4月としたのは、相当の後年の大正10年4月からである。

 この年報に載っている一例(現代読みに修文した)を紹介したい。

数学教授菊池大麓(後に初代東京帝国大学総長、22代文部大臣、3代京都帝国大学総長、9代帝国学士院長などを歴任)申報

 謹んで明治11年9月より明治12年7月に至る学年中授業の申報を呈す本学年中余が教導せし生徒は工学第二年生及び理学第一年生なり工学第二年生の履修すべき課目は解析、幾何三軸式、微分及び積分なれども該生徒は、未だ充分に平面解析幾何を修めざるを以て第一期は此の課目と微分の講義をなし、第二期に於いては微分を主として傍ら三軸式の大意を講義す、積分は之を修むるの時なきを以て巳むことを得ず之を次学年に譲れり第一年級は平面解析幾何を履修し、教科書にはパックル氏所著コニック、セクションズを以てす、しこうして授業は或いは講義を以てし、或いは生徒をして其の定課を口述せしめたり又週1回づつ問題を設け生徒をして其の解をなさしめ、しこうして毎月に1回試業をなし此の二者の結果を以て生徒の学期点数となせり毎月及び学期試業に於いては問題の数を多くし、優等の生徒をして充分に其の学力を発達するを得さしめ、劣等の物といえども数多くの問題中に就いて必ず二三を答えるを得さしむ是の方法は明らかに各生徒の優劣知識をはかるに甚だ便宜なるものとす

 このように実際に行われた授業について、課目の種類、内容、配当学年、評価方法など、こと細かく記述されている。おり、担当授業科目の自己点検評価書とでもいうべきものである。

 大学改革が進行する中にあって、評価は避けて通れない事となっている。しかし、明治初期の大学の草創期に、担当授業科目の自己点検評価書とでもいうべき物が既に存在しているのである。

 過去の大学改革を学ばずして、いま何故に、大学改革を行うのかという本質が理解できないのは致し方ないことである。

(鳥居 聖)



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新たな金脈

 もし、年金の受給額が都道府県によって金額が違うとしたらどうなるでしょうか。たとえば埼玉県は20万円、鳥取県は40万円だとしたら、誰もがみんなおかしいといって怒り出しますよね。実はこれに似た話が実際に高等学校の私学助成に起きているんです。その差額は何と218,333円!

 実はこの金額は、平成19年度の私立高校の運営費補助金(以下、補助金)を生徒一人当たりの単価にした受給額トップの鳥取県(455,900円)と最下位(47位)の埼玉県(237,567円)との差額です。仮に二つの県の在籍生徒数750名の私学だとしたら、約1億6千3百万円の差額になります。この件を文部科学省に問い合わせると、「私立学校運営費補助金は各都道府県に任せてあります」とアッサリ回答されました。2位の東京都の353,150円と比べても115,583円の差があり、46位の沖縄と比べても49,766円とあまりにも地域格差がありすぎる感が強いです。皮肉にも埼玉県は平成15年から、最下位の座を他県に譲ることなく守り続けてきました。言い換えるなら、埼玉県民のために私学助成金分を他に流用し、私学が犠牲になってきたということです。

 いい機会なので、この補助金について調べてみると、3つの方式があるということがわかりました。@単価方式(区割り含む)が主流で、採用している都道府県は37と多く、教員数や生徒数・学級数等を基にして算出します。A標準運営方式は、公立高校の単位費用から、教員数や生徒数・学級数等に基づいて算出しているところが6県あります。B補助対象経費方式は経費配分によって独自の算出方法で決めます。この方式は埼玉県を含めて4県です。

 先日、埼玉県私学振興大会があり、本校の保護者と教職員を含めて24名で参加してきました。大会の趣旨は私学助成を全国平均(単純平均:318,470円)にしてくださいと保護者とともに埼玉県にお願いをするわけです。毎年動員がかかり、会場は2,000人を超える保護者と教職員が集います。

 諸事情が重なり昨年度から「埼玉県私立小学校中学校高等学校保護者連合会」を新たに立ち上げて、せめて補助金を全国全国レベルまで引き上げてくださいとの嘆願に力を入れ始めました。その結果、昨年は付き合い程度に民主党の議員が数名参加した程度でしたが、今回は民主党に加え、自民党の大物衆議院議員含め16名・参議院2名・県議6名が参加してくれました。

 今年のメンバーを見ると、やっと埼玉県にも春が訪れるような兆しが見え始めたという感じでしょうか。今後に期待感は高まります。

 話を大学に戻し、帰属収入から見た経常費補助受給率の10%前後の割合から見た場合、高等学校の運営費補助はとても魅力的だと思いませんか、なんと言っても少ないといわれている埼玉県でも28%前後あり、鳥取県だと約45%です。

 この点からも、大学の定員を増やすより高等学校を併設校に取り込んで勢力図を広げている大学の戦略が見えてきます。

(秋草 誠)



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FMICS12月例会 (第572回例会)

●個性輝く大学をいかにして世の中にアッピールするか。もはや、全国紙の全面広告に莫大なコストを掛けて(賭けて)も、その効果は大きくありません。一方、近年は、大学を特集すれば、週刊誌が飛ぶように売れるとも言われています。●大学広報関係者に「なぜ、あなたのところにたくさんあるパブリティテーのシーズをシーズのママで終わらせているのですか」と尋ねます。「マスコミはちょっと、苦手でねぇぇぇ」という答えが返ってきます。●12月例会は、大学が持っているたくさんのシーズをシーズのママに終わらせないためには、どのようにしてパブリシティーを活用すべきか否か。その原理原則をマスコミ人の視座から検証いたします。●ゲストには、この10月18日に「本当に強い大学」を特集された『週刊東洋経済』記者の三上さんをお迎えし、『朝日大学ランキング』の編集総括小林さん、朝日新聞の教育チームの新進気鋭の原田さん、そしてオープンキャンパスといえばこの人と言われている大学新聞社の小島さんに加えて現役パリパリのジャーナリストの皆さまにご参加いただき、大学広報を多面的に切り込みます。●このようなカタチで大学広報について、マスコミの多彩な方々と本音ベースでワイワイガヤガヤと想いを確認できることは、FMICSならではの企画です。皆さまには、お仲間はもとより、広報担当者や学生さんにもお声をお掛けください。●月例会終了後には、ゲストを囲んでの懇親会を予定しています。

【日時】 2008年12月20日(土) 午後4時〜午後6時30分

【会場】  工学院大学新宿キャンパス 4階0477教室

【テーマ】 大学競争時代の大学広報の原理原則を学ぶ
     検証 パブリシティー戦略構築のヒント

【発表者】 東洋経済新報社『週刊東洋経済』編集部 三上 直行

【コメンテーター】朝日大学ランキング編集総括小林 哲夫
朝日新聞教育チーム記者原田 朱美
大學新聞社記者小島 理絵

【参加費】  会員1,000円  非会員1,500円  学生(会員・非会員問わず)500円

【申込先】 高橋 真義(桜美林大学) mail2008(アットマーク)fmics.org



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FMICS Staff Development 206

■FMICS Staff Development 略して 「SD」は、月例会とは別に、平日の夜に開催されているゼミナール型の勉強会です。■あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(10枚程度)して、氏名と簡単なMEMOを付してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。■なお初めての方は、自己紹介のみで構いません。

【日時】 2008年12月19日(金) 午後6時30分〜8時30分

【会場】  工学院大学新宿キャンパス 高層棟27階 教員応接室

【参加費】 会員500円  非会員1000円  学生(会員・非会員問わず)300円

【申込先】 米田 敬子(桜美林大学) mail2008(アットマーク)fmics.org



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会報 『BIG EGG』 新年1月号 発送作業

●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。

●ワイワイガヤガヤと近況報告を兼ねての楽しい時間は、美味しい中華料理屋での食事会へと引きつがれ、例会などのアイデアの多くが、この瞬間に生まれます。例会とは一味違ったFMICSの活動に、皆さまのご参加をお待ちしております。

【日時】 2008年12月26日(金) 午後6時〜9時+食事会

【会場】 日能研 恵比寿ビル

初めて参加される方は、 mail2008(アットマーク)fmics.org (高橋真義)までご一報ください。当日の連絡先等詳細をお知らせいたします。


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速報 1月のFMICS

●FMICSの新年1月は恒例の合宿例会です。新宿・工学院大学でのオリエンテーションは、いよいよ激烈を極める競争的環境下で活き残るためには、学生教員職員が英知を束ねて大学を「集合天才化」していかなければなりません。大学の資産である学生さんがこぐ三輪車の両輪である教職員は何をすべきなのでしょうか。特に、職員が教育・研究・社会貢献という大学のミッションをいかにして具現化しているか、その実践=アクションにいての検証と展開を考えます。葉山では参加者全員に元気元気元気に「私の2009アクションプラン」を発表していただきます。

●プログラムの詳細は、FMICS BIG EGG 1月号でご確認下さい。

【日時】 2009年1月24日(土)〜25日(日)
          オリエンテーション  午後1時〜3時
          合宿FMICS  午後6時〜翌午前9時

【会場】
オリエンテーション 工学院大学新宿キャンパス
合宿FMICS 中央大学葉山寮
神奈川県三浦郡葉山町堀内86

《交通》 JR・逗子駅京急・新逗子駅 → [逗12]海岸回り葉山行バス(約12分) →

鐙摺(あぶずり)停留所 → 徒歩(5分) → 中大葉山寮

*JR・逗子駅/京急・新逗子駅からタクシー(約10分)

【テーマ】(仮題)大学を集合天才化する
      学生教員職員の「協創」のカタチを考える

【申込先】
  第一次締め切り 12月25日(木)
  中央大学・坂田範夫 kintoki〔アットマーク〕tamajs.chuo-u.ac.jp まで申し込み下さい。