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2009年3月のFMICS



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債権の常識

 昨今話題となっている、(T)通貨スワップなどのデリバティブ取引と(U)仕組債などの債券投資について紹介してみたい。

(T)一般的にスワップ取引は、大きく4種類に分けられている。

1)金利スワップとは、異なる金利同士を現在価値で等価交換する取引であり、契約期間に対応する固定金利と半年ごとに見直される金利を契約期間にわたって交換する取引である。この取引は、約定時点における固定金利と変動金利の価値が等価であると考えられるから取引が成立する。ところで、変動金利は初回金利以外は決定されていないため、マーケットの予測によって、将来の変動金利と同価値だと考えられる固定金利の水準が決められる。例えば、固定受け・変動払いスワップは短期調達した資金で債券を購入したのと同一の経済効果を持っている。

2)通貨スワップとは、2通貨間における元本、金利の交換を行う取引であり、元本交換を行うものと金利のみを交換するものがあり、後者はクーポン・スワップと呼んでいる。

 通貨スワップは、債権発行時に利用されることが多く、外貨建てローンの利用時などに通貨スワップが用いられている。

 なお、自国通貨の他国通貨レートが下がれば、他国通貨金利は上昇することになる。

 クーポン・スワップのうち、固定金利同士のものは、将来の一定期間において同一の為替水準で他国通貨を買うことになり、同一の水準で複数の為替予約を行っていることと同じ経済効果が得られる。

 この他に、3)エクイティスワップや4)クレジットデフォルトスワップある。

(U)仕組債とは、一般的に固定利付きの普通社債以外の債権のことであり、最大のメリットは、投資家の相場観にあったリスク・リターンが仕組まれた仕組債をオーダーメイドで作ることが出来るが、一方デメリットは、そのオーダーメイド性のために流動性が劣るという点である。 また、投資家は債券の償還期日を決定する権利を放棄して再運用リスクを取ることで、債権の利率条件等を投資家のニーズに合わせていくことが可能となり、このコール条項は、仕組債の商品性を決める重要な要素のひとつである。

 仕組債にはスワップオプション等のデリバティブ取引が内包されており、その主なものを種類別に分類すると以下のようになる。

  1. 金利デリバティブが内包された仕組債
  2. 通貨デリバティブが内包された仕組債
  3. エクイティデリバティブが内包された仕組債
  4. クレジットデリバティブが内包された仕組債
  5. コモディティデリバティブが内包された仕組債

 そして、それぞれの種類の中には、いろいろな仕組商品のバリエーションが豊富にある。

 さて、このように仕組債にはいろいろな組み合わせがあり、さらに金融機関の手数料がいろいろと形を変えた上で上乗せされており、手数料の水準が妥当であるかどうかは判断することが困難である。

 素人が手を出す商品かどうかの判断は自ずと出来たのではないだろうか。

(鳥居 聖)



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本質の重み

 2月中旬に本木雅弘さんが主演した映画、「おくりびと」のアカデミー賞授賞のニュースが飛び込んできました。映画産業は年々規模が縮小しています。しかし昨年の邦画は過去最高の千百五十八億円と二割以上伸び、落ち込んだ洋画の1.5倍近くに達したといいます。このニュースによって、邦画の勢いは今年も増す予感がしますが、全体的な興行収入の伸びにつながるかはわからない状況です。

 「おくりびと」は封切り前のアンケートで「見たい映画」の最下位だったといいます。要因として、題材が暗そうな「死」、しかも上映時間は長めの「2時間20分」、最近は映画を見るために2時間じっと座ることの我慢ができない人がいるともいわれ、敬遠する大きな要因のひとつだったのでしょう。そのため当初、配給をしり込みする映画会社が相次いだそうです。しかし、封切り後は観客の笑いを誘い、さらに本命を押しのけてのアカデミー賞ということで、全国の映画館にファンがドバァァと殺到しました。

 滝田洋二郎監督は「本木さんがこだわり抜いたお陰で、この映画ができた。賞の半分以上は本木さんのもの」と賞賛しました。こだわり抜いた先に新たなニーズが開かれるというニュースだったと思います。

 未曾有の不景気といわれ、マーケットが縮小して収入が減っているのは映画産業だけではなく、まさに大学にも同じような波が訪れているのではないでしょうか。

 もし、そうだとすると本木さんの「こだわり」を何に変えるか、というのが私たちに与えられた課題だと思います。

 単純に考えると「こだわり」を「特色」と読み替えられそうです。実際、多くの大学がGP(アカデミー賞)を取るために、特色つくりに奔走し競争的資金を奪い合っていると見るのが妥当だと思います。GPに選定された取り組みは、他大学の教育改革に役立つものが多いことや高等教育システム全体にとってよい影響があったといわれています。しかし、一方では学内のコンセンサスを得ない選定を目的とした特色もあると聞きます。本木さんは役を演じるに当たって、納棺師の本を読み心を動かされ、実際に納棺師に弟子入りして葬儀を経験しました。納棺士の仕事の本質について深く得た上で、発揮されたこだわりが映画を成功に導いたといえます。

 FMICS人としての「こだわり」はやっぱり学生の「が」にこだわらなければ、意味がありません。大学の持っている伝統やカラーという言葉に隠されている「こだわり」を学生と共にひとつずつ積み上げることが、大学本来の持っている「特色」といえるのではないでしょうか。これに気づかずに競争的資金獲得のために新たな「特色」つくりをいくらしても、それは大学に根付きづらい「特色」なのではないかと危惧しています。

結局は、キャンパス中にイキイキとした笑顔の学生がいて、楽しくてワクワクドキドキできるような大学に変われることが、生き残れる大学だといえます。FMICS流の「あったかさ」のある大学ということです。

(秋草 誠)



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関西FMICS 3月例会
FMICS FORUM IN KYOTO
(第575回例会)

●3月恒例の関西FMICS。今年も、会場は琵琶湖畔です。最初から最後まで、オールナイトFMICS流で夜を明かします。

●世界を席巻する金融不安は、財テクに走った大学の姿を、残念なカタチで世間に知らしめました。同じ大学人として、マスコミに取り上げられた財テクの失敗を笑うことができないのは、その根底には、大学を良くしたいという純情があるからでしょう。●18歳人口の減少、大学間競争、GP、中教審答申にまみれて、高等教育は未来志向一辺倒になってしまった。もしかしたら、そんなところに残念なカタチをもたらした根っこがあるのかもしれません。●3月のFMICSは、現場・人・こころをキーワードに、大学人の現場を検証します。●オールナイトFMICS は、恒例の参加者全員発表(5分以内)です。限定2名、恒例の20分プレゼンのテーマは「元気と勇気とあったかさの自己表現」です。希望の方は、3月14日(土)までに滝川宛、メールでお申し込みください。●琵琶湖の春は、ワイワイガヤガヤ関西FMICS FORUM からスタートします。

【テーマ】 語る、伝える 大学人の現場
【日程】 2009年3月20日(祝)〜21日(土)
【会場】

大谷大学 湖西キャンパス・セミナーハウス
滋賀県大津市雄琴3丁目33−3  電話:077-578-6600

 JR京都駅にて湖西線<普通>に乗車、おごと温泉駅下車 徒歩10分。または、おごと温泉駅から江若バス 仰木の里線(内廻り)に乗車「大谷大学グラウンド前」下車すぐ。
 湖西線は京都発12:56発、13:11発に乗車すると便利です。

【プログラム】
13:30受付開始
14:00第1部開会
    司会 滝川 義弘 (大谷大学 教育研究支援部)
14:20大学人の現場 1
    乾 明紀 (京都造形芸術大学 准教授)
15:00Discussion 1
15:20大学人の現場 2
    安田 馨 (清泉女子大学 学長室)
16:00Discussion 2
16:20休憩
16:40語る、伝える
    岩城 舜一 (大谷大学 総務部財務課)
    聞き手 滝川 義弘
18:00第1部 総括
    志垣 陽 (立命館大学 総合理工学院事務室長)
18:30第1部閉会
19:00懇親会
21:00第2部 All Night FMICS
    【全員発表】×5分
    元気と勇気とあったかさの自己表現
24:00Discussion
26:00All Night FMICS終了
31:00起床&朝食
32:30総括
34:00FMICS FORUM in KYOTO 終了 解散
【参加費】 FORUM:2000円  懇親会:5000円  オールナイト:4000円
【お願い】 オールナイトFMICS恒例の全員発表(5分間程度)のテーマは自由です。レジュメ(A4用紙1枚)を用意して参加してください。

【申し込み・お問い合わせ】
   滝川 義弘 (大谷大学 教育研究支援部 075-411-8458)
   tacky(アットマーク)sec.otani.ac.jp



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FMICS Staff Development 209

■FMICS Staff Development 略して 「SD」は、月例会とは別に、平日の夜に開催されているゼミナール型の勉強会です。■あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(10枚程度)して、氏名と簡単なMEMOを付してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。■今月から、第二部として高等教育問題研究会FMICS30周年に向けてFMICS人にFMICSの「温故知新」を20分間程度で語って頂きます。お話の続きは、懇親会でということに致します。プロデュースは米田さんが担当します。ご期待ください

【日時】 2009年3月12日(木) 午後6時30分〜8時30分
【会場】 工学院大学新宿キャンパス 高層棟27階 教員応接室
【参加費】 会員500円  非会員1000円  学生(会員・非会員問わず)300円
【申込先】 米田 敬子 (桜美林大学) mail2009(アットマーク)fmics.org


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会報 『BIG EGG』 4月号 発送作業

●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。

●ワイワイガヤガヤと近況報告を兼ねての楽しい時間は、美味しい中華料理屋での食事会へと引きつがれ、例会などのアイデアの多くが、この瞬間に生まれます。例会とは一味違ったFMICSの活動に、皆さまのご参加をお待ちしております。

【日時】 2009年4月1日(水) 午後6時〜9時+食事会
【会場】 日能研 恵比寿ビル

●初めて参加される方は、 mail2009(アットマーク)fmics.org (高橋真義)までご一報ください。当日の連絡先等詳細をお知らせいたします。



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速報 4月のFMICS

■昨2008年には、“下流大学”をタイトルに含みながらも極めて対照的な2つの本が出版されました

    

■2009年4月の月例会では、この2冊を材料に、マス化、ユニバーサル化する大学の現状と将来などにについて、参加者同士で心ゆくまで議論を深めたいと思います。お仲間をお誘いの上、勿論2冊を読み比べてご参加ください。ひょっとすると著者の参加もあるかもしれません。乞うご期待。

【日時】 2009年4月18日(土) 午後4時〜6時30分
【会場】 (未定)
【テーマ】 (仮)「下流大学」論を斬る!
【コーディネータ】 横浜市立大学 出光 直樹