明治5年に学制が発布され、近代日本の教育は始まりました。
翌6年4月に学制が改正され、大学のほか、外国教師によって教授する高尚な学校をすべて専門学校として加えた。専門学校の入学資格は小学教科を卒業し、外国語学校下等二か年の教科を履修し、年齢16歳以上の者とした。専門学校を法学校・医学校・理学校・諸芸学校・鉱山学校・工業学校・農業学校・商業学校・獣医学校等とし、修業年限は、法学校・鉱山学校・工業学校は予科3年、本科3年、医学校・理学校・諸芸学校は予科3年、本科4年、農業学校・商業学校・獣医学校は予科3年、本科2年とした。それらの専門学校において、その学科を卒業した者はこれを大学卒業者と同じく学士の称号を与えることとした。
なお、この時期において文部省所管外の工部省の工部大学校、農商務省所管の駒場農学校や東京山林学校、司法省の法学校などが重要な専門教育機関としての役割を果たした。
明治14年、東京開成学校と東京医学校が合併して、法学部・理学部・文学部・医学部の4学部編成の東京大学が誕生した。そして、4年間の予備教育を授ける機関の大学予備門も設置された。
明治19年、帝国大学令が公布され、東京大学は各文科大学と研究所から構成される帝国大学となったのである。その後、明治30年に京都帝国大学が設置されることに伴い、帝国大学は東京帝国大学と名称を変更した。
明治36年、専門学校令を公布して、それまで必要に応じて設置を認可していた専門学校をはじめて制度化した。同年に47校であったが、大正5年には90校に達し、生徒数4万2千人(うち女子は16百人)にのぼった。
私立大学の設立は制度上認めていなかったが、1年半程度の予科をもつ専門学校に対しては大学という名称をつけることを文部省は正式に認可することとした。この措置により、有力な私立の専門学校は次々に大学と改称した。
大正7年に大学令が制定され、官立のほか公立及び私立の大学をも認めることとしたのである。公立の大学に関しては、地方自治体に専門教育を経営させるのは例外であり、北海道及び府県(市は昭和3年から)に限りこれを許すこととした。
私立学校の昇格認可については、財団法人が私立大学を設立する場合に限り許可することとし、大学に必要な設備を備えていること、大学を維持するに足りる収入を生ずる基本財産を有することが必要であり、その基本財産は現金又は国債証券などの有価証券としてこれを供託することを要求していた。
この供託金は単科大学で50万円、それに一学部を加えるごとに10万円を加える定めであった。それに設備の充実に要する金額も膨大なものであった。
このようなきびしい条件にもかかわらず、大正年間だけでも総計22大学が昇格を認可され、昭和12年度文部統計摘要によれば、官公立20校、私立25校で、その卒業学生数はそれぞれ6,929人、6,971人である。官公立と私立はほぼ同率であるが、退学者数は1,061人、2,196人で1:2の割合となっている。
(鳥居 聖)
「貧乏とは何か」経済学者の河上肇さんは大正時代の前期に『貧乏物語』の中で「体や知能など、生まれ持った天分を伸ばしていくのに必要な環境を得ていない者は、すべて貧乏人と称すべきだ」と書いた。最近の天声人語ではそれを「戦後の「教育機会の平等」を見通したような、明快な定義だろう」と紹介している。 続く不況によって聖域と呼ばれる家庭内の教育費にも陰りが見え始めたことがニュースになっているが、私は未曾有の不況といわれる以前から、この「教育機会の平等」に疑問を感じている。 |
現在、私は高校勤務なので塾訪問する機会が多い。塾業界は不況や少子化問題など何の其の、増え続けている不思議な業界だといえる。よく観察すると駅前再開発している地域などの塾の増殖状況は凄まじいばかり、なぜこんなに増え続けることが出来るのか。教育の仕組みに、私達が気づかない変化があるのではないかと感じる。
文部科学省の調査では、小学校から大学までに必要な教育費はすべて公立・国立なら約800万円だが、中学から私立だと2倍にはね上がる。私立の中高一貫校は6年間で約700万円は必要だ。公立中学に通っていても学習塾の負担は重く、夏季講習など含めると年間30万円以上かかるケースも珍しくないという。それでも首都圏では中高一貫校に進む小学生が3割ほどに上り、東京では6割にも達する小学校がある。公立中学校で塾に通っているのは約7割、小学生も中学受験を目指す場合は大半の子どもが通塾する。
塾関係者の話だと、中学受験する子どもは小学校4年生頃から塾に通い、夏季・冬季講習に加え模試まで入れると年間の費用は50〜60万円はかかる筈だという。これほどお金をかけたスタート時点の最高のゴールは、東京大学となっているのは否めない。
東京大学が平成19年に行った学生生活実態調査によれば、東大生の出身校は私立一貫校が51%を占め、公立校は34%、家庭の年収は950万円以上が52%に上り、昭和59(1984)年の30%と比べて大幅に増え所得との関連が顕になった。まさに現在は小・中・高からお金をかけて教育された子どもが増え、親が裕福でないと東大にいけないという風潮になりつつある。貧乏人は東大に入りづらい社会が形成されているとういことだ。
野村総合研究所の推計によると、純金融資産が5千万円以上の世帯は平成19年で約361万世帯。国内全世帯の7%に当り、10年前の1.2倍に拡大している。
体や知能など、生まれ持った天分を伸ばしていくのに必要な環境を親の経済状態によって得ていない者が増え、教育の価値に変化が生じていることに気づくべきである。
子供たちが、教育とお金の関連など気にせずに学べる環境を創生できる社会を築くことが喫緊の課題である。
(秋草 誠)
■高等教育問題研究会FMICSは、来年には創会30周年を迎えます。●時代は急を告げています。多くの大学が個性的であれとの大号令のもとに悪戦苦闘しているうちに、体力を消耗しています。座標軸の確認、原理原則、原点に立ち返ることが必要です。●温故知新。20年前の1990年(平成2年)10月にFMICS人100人が力を合わせて創り上げた『FMICS100人BOOK』が求めた大学のあるべき姿を再点検することを毎年夏のこの時期に行ってきました。
■この本を創った時代は、古き良き時代だったのかもしれない。現在は、変化と拡散の時代。倒産する大学もあり、教員も受難である。教員と職員のリアリティは違い、スクラップアンドビルドされる危機感は明らかに教員にある。大学職員は大局観を持つ、プロデューサー力が必要である。
*2007年8月25日8月例会報告からの転載■『100人BOOK』では、現場のたたき上げ、部課長を上限として考えてきた。今、当時の皆さんは時代を画す旬の人財であり、すでにリタイアされているが、どのようなラインナップにするのかは混沌としている。ただ、趣旨をキチット整理していけば書けるだろう。要するにベースとしてのミッション、パッション、アクションをどうするのか、時代が混沌となればなるほど教育、大学においてはこの原理原則しかないはずである。
まずは、原稿の依頼のお願い文を作成し、趣意書をキチッと作らないととならない。この作業を通じて、ペーパーをまとめていけば、学生の「が」がだんだん分かってくると思う。これまで頑張って時代を創ってこられた先輩たちは、次の世代に対して、想いをバトンタッチをしていかなければならない。自分たちのやってきたことを総括し、後輩への指南書としても活用してもらいた。
100年をかけてでも大学を変えていきたい。きっちりと底上げをしていくか。これは、FMICS人みんなの永遠の課題ではないだろうか。
●『新100人BOOK』についての意見
*2008年7月26日7月例会報告からの転載
- FMICSの30年の総括の基本的コンセプトは?
- FMICSシンポジウムのキーワード、テーマ の変遷を整理する。
- 次の世代の人たちへの流れを創りたい。
- 若い人に伝える、気持ちを込めたい。
- この本を上梓することはFMICSの責任
- 執筆者の名前を100人挙げる。
- コンセプトを整理をしていく。旧本の100人の 中から50人をリストアップして、新しい視座で 新しいコメントを書いて貰う。
- 5人の座談会方式を組み入れる。
- 執筆者は個人のパーソナリティ、中味で選ぶ。
- 上下2分冊にするのも考えたい。温故知新版と今 が旬版もおもしろい。
- とにかく、物心ともに支援してくれるところが 欲しい。資金がないと何も出来ない。
■今年は、いよいよ『新100人BOOK』を本気で創るためにミッション・パッション・アクション束ねなければなりません。皆さまには、知恵と体力をお貸し頂きたくお願いいたします。
【日時】 | 2009年8月22日(土) 午後4時30分〜6時30分 |
【会場】 |
桜美林大学 四ツ谷キャンパス 3階301教室 (JR・東京メトロ 四ツ谷駅 徒歩3分) |
【テーマ】 | 大学職員の“学び”とFMICSの30年 『新FMICS100人BOOK』のカタチ |
【発表者】 | 桃井 西郎 (昭和音楽大学)
米田 敬子 (日本私学経営活性化協会) 高橋 真義 (桜美林大学) |
【参加費】 | 会員1000円 非会員1500円 学生(会員・非会員問わず)500円 |
【申込先】 | 米田 敬子 (日本私学経営活性化協会) mail2009(アットマーク)fmics.org *お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。 *当日の飛び入りも歓迎ですが、参加者数を把握するため、なるべく事前の連絡をお願いします。 |
昨年に中央大学五葉会80周年・早稲田大学清風会20周年・首都大学禅の会・名古屋大学光明会10周年、そして人間禅道場60周年を記念して、それぞれのゆかりの茶道各流派の有志が集い、FMICS名古屋のメンバーが核となり、古来言われ目指されてきた茶禅一味の現成を目指す「茶禅一味の会」を設立し、各流派からなる実行委員会を組織して第2回新潟大会として、有楽流・裏千家・表千家・上田宗箇流・肥後古流・石州流・宗偏流・藪内の茶席10席と、縁の深い先生方の講演会による「茶禅一味の会」記念茶会をYFN秋の文化祭9月例会としても実施します。
【日時】 | 2009年9月5日(土)&6日(日) |
【会場】 | 新潟市江南区沢海 北方文化博物館 大栄寺 |
【テーマ】 | YFN秋の文化祭 茶禅一味の会記念茶会 |
【内容】 | ●9月5日(土) 記念講演(午後4時〜5時半) 熊倉 功夫 (林原美術館館長・国立民族学博物館名誉教授) 交流・前夜祭(午後5時半〜7時) ●9月6日(日) |
【参加費】 | 5日のみ 3,000円 6日のみ 6,000円 5・6両日 8,000円 |
【事務局】 | 岐阜聖徳学園大学 エクステンションセンター事務室 電話&FAX 058−279−6760 |
■FMICS Staff Development 略して 「SD」は、月例会とは別に、平日の夜に開催されているゼミナール型の勉強会です。■あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(10枚程度)して、氏名と簡単なMEMOを付してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。■第二部として高等教育問題研究会FMICS30周年に向けてFMICS人にFMICSの「温故知新」を20分間程度で語って頂きます。更なる続きは、懇親会の席上で大いに語って頂きます。プロデュースは米田さんが担当します。ご期待ください。
【日時】 | 2009年8月27日(木) 午後6時〜7時30分+懇親会 |
【会場】 |
桜美林大学 四ツ谷キャンパス 3階301教室 (JR・東京メトロ 四ツ谷駅 徒歩3分) |
【参加費】 | 会員500円 非会員1000円 学生(会員・非会員問わず)300円 |
【申込先】 | 米田 敬子 (日本私学経営活性化協会) mail2009(アットマーク)fmics.org *お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。 *当日の飛び入りも歓迎ですが、参加者数を把握するため、なるべく事前の連絡をお願いします。 |
●ゼミナール型勉強会「SD」の首都圏西部地域での集いです。●前回の7月24日(金)は、8名の参加者数でした。●この勉強会の原理は極めてシンプルです。参加者が何か1品、ネタを持ち寄り、みんなで議論します。●ネタは、気になった新聞・雑誌記事、業務関連の資料、進めている仕事のアイデア、就活エントリーシートの原稿などなど、何でも構いません。ちょっとした事でも、他人の目に触れることにより思いがけない発見があるものです。初めて参加される方は、単に自己紹介だけでもOKです。●資料(コピー)は10部お持ちください。
【日時】 | 2009年9月4日(金) 午後6時30分〜8時50分+懇親会 |
【会場】 |
横浜市山内地区センター 1階 会議室1 (東急田園都市線・横浜市営地下鉄 あざみ野駅 徒歩3分) |
【参加費】 | 100円(会員・非会員問わず) |
【申込先】 | 出光 直樹 (横浜市立大学) naoki(アットマーク)idemitsu.info http://n-idemitsu.269g.net/category/212623.html *お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。 *当日の飛び入りも歓迎ですが、参加者数を把握するため、なるべく事前の連絡をお願いします。 |
●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。
●ワイワイガヤガヤと近況報告を兼ねての楽しい時間は、美味しい中華料理屋での食事会へと引きつがれ、例会などのアイデアの多くが、この瞬間に生まれます。例会とは一味違ったFMICSの活動に、皆さまのご参加をお待ちしております。
【日時】 | 2009年9月3日(木) 午後6時〜9時+食事会 |
【会場】 | 日能研 恵比寿ビル |
●初めて参加される方は、 mail2009(アットマーク)fmics.org (高橋真義)までご一報ください。当日の連絡先等詳細をお知らせいたします。
【日時】 | 2009年9月26日(土) 午後4時〜6時30分 |
【テーマ】 | 国立大学の役割や存在意義を考える |