過去のお知らせ一覧へ戻る


2009年11月のFMICS




見出しへ

大学教育に財政支援は必要ないのか

 文部科学省は過日、国立大学法人等(以下「法人」という。)の平成20(2008)年度決算を公表した。90法人の経常費用は計2兆6,171億円、経常収益は計2兆6,849億円で、積立金の取り崩しなどを加味した計算上の総利益は、771億6,801万円となった。

 収益の増の主なものは、附属病院の収益(人件費を除く)の増(371億円)、競争的資金の増加による補助金収益の増(188億円)、受託研究の受入件数の増加による受託研究収益の増(84億円)だった。

 収益の減の主なものは、運営費交付金収益の減(77億円)、学生納付金収益の減(59億円)だった。

 結果として、利益が最も多かったのは京都大学で、68億6,371万円。昨年度(平成19年度)との比較では、総利益は14.6%減となった。

 また、附属病院を有する比較的規模の大きな10法人が20億円以上の利益を計上しているが、附属病院セグメント情報を詳細に見ていくと、業務費用が9,021億円、業務収益が9,408億円で、今期の業務収益は386億円である。

 しかし、会計上の観念的な利益(減価償却額と借入金返済額の差額、算出期間が異なるために生じる。)を除くとキャッシュベースでは84億円しかない。

 この5年間で附属病院運営費交付金が276億円(H16年度交付額の47%に当たる)減額されており、この病院収支を改善するための努力、つまりそれ以外の運営費交付金からの充当額が増加しており、そのしわ寄せが、学部の教育研究業務や臨床研究に及んでいることが懸念されている。

 更に、法人化後は財政投融資+市場からの資金で、附属病院の再開発・高度先進医療のための施設整備改修などが行われ、結果として長期借入金の合計は1兆316億円にもなっている。

 大学附属病院は日本の高度医療の一翼を担っており、経営が立ちゆかなくなれば困るのは国民であり、そして、大学が経営的に立ちゆかなければ、その地域の教育拠点は消滅の途をたどることとなり、知的基盤社会は崩壊するのである。

 また、世界的な教育データ集であるOECDインディケータ2008年版によると、政府の積極的な財政支援(教育機関に対する公財政支出の対国内総生産(GDP)比)はOECD各国の中で最下位に位置している。

 因みに、スウェーデンは日本の3倍、米国は日本の2倍の公財政支出割合を行っているのである。

 また一方で、私立大学を取り巻く環境の変化は、定員割れ大学の増加という現象を引き起こしており、その陰では、学費が払えないから、進学を断念したり、大学在学を断念し退学せざるを得ない(H20年度私立大学586校で約5万3千人(日本私立学校振興・共済事業団調べ))。という状況を作り出しており、私立大学生の37人に1人が、大学をドロップアウトせざるを得ないという計算になる。

 ぜひ、新政権には明日を担う若者の教育を受ける機会や大学教育への財政支援を積極的に実施して頂きたい。

(鳥居 聖)



見出しへ

地方からの逆襲!

 ジーンズが880円!安い!スーツが7,800円!やすい!安いことは、いいことだ!と言って浮かれていられない時代になってきた。10月3日の読売新聞に「スーパー閉店 広がる」という見出しの記事が載っていた。そこにはスーパーマーケットがユニクロなどの専門店に押され、値下げ攻勢で消費者をつなぎとめようと懸命だが、安売り競争の消耗戦が収支を悪化させている。イトーヨーカ堂やイオンは、数年間で多くの店舗を閉鎖する方針をうちだしている。「店舗閉鎖を進める要因の一つに少子化で人口が頭打ちとなっていることがある。」と大学同様ここでも閉鎖の言い訳に少子化を使っていた。

 まるでこれから社会に起きる悪い原因はすべて少子化だから仕方がない、というような安易な風潮が怖い。少子化問題は今に始まったことではなく、高校にとっては15年前、大学にとっては18年前にわかっていたはずです。そりゃあ大変だ〜・・・でも、これは市場原理だから仕方がないでしょ。各大学に任せたはずなのですから自己努力が足りなかっただけでしょ。(ポイ!)ヨーカ堂やイオンだって、少子化が原因で生き残るために店舗閉鎖して身を削ってきたのですから、大学も募集停止は仕方ないこと。ともっともらしい理由で納得されられそうです。

 実はこれから地方には、もっと悲惨な状況が待ち受けています。少子化を数字だけで見ていると、あまり気づかないのですが、文部科学省の資料を読むと12年後に18歳になると見込まれる小学1年生の児童数は、全体では2008年度の18歳人口より5.5%減少します。しかし、2008年度の18歳人口を100とした場合の、都道府県別18歳人口を見ると秋田県74.4%、長崎県79.0%と東北・九州地方の減少率が目立ちます。当然、都心部(神奈川県111.0%・愛知県105.2%)は100%を超えます。

 もう一つ、東大の小林雅之先生の著書「進学格差」の中から、地域別格差の中で「大学進学に影響を与える高等教育の指標として、2007年度の大学短大在学者と高卒者の都道府県別比率(〔(大学在学者数 / 四)+(短大在学者数 / 二)〕 / 高校卒業生数)を見ると。東京をはじめ大都市圏ではこの比率が極めて高く(東京と京都は100%を越えている)秋田・福島・和歌山・三重などの地方の県では在学者 / 卒業生比率は20%前後で5人に一人しか県内の大学に進学できない計算になる。実際には県外に進学する者が多く存在する。」と言っています。

 このふたつの数字から、地方は今以上に少子化が進み消費も大学進学も冷え込み、大学進学者は都心部へ流れると予測できます。

 そろそろ少子化が原因だと逃げずに、しっかりとマーケティングをして地域と学生が協働し、その地域を活性化させる創造力を発揮すべきでしょう。まずは、気づいて、動いて、話しましょう。

(秋草 誠)



見出しへ

第3回 大学職員サミット とうきょう・しばうらカレッジ2009
輝く大学を創る大学職員の可能性を語り合う
(第587回例会)

「大学職員サミット」は究極的SDです
このことを声を大にして申し上げます!!!

明日の輝く大学を創りたいと想う心ある皆さまにお一人でも多くご参加をいただきたいのです。

●昨年の「大学職員サミットやまぐちカレッジ2008」に参加された皆さまからFMICS BIG EGG NO.572に寄せていただいたメッセージを改めて読み返しました。くどくどと、「大学職員サミット」のことをお話しするよりも、お三方のメッセージが全てを語ってくださっています。

■この二日間を振り返ってみると、そこには大学職員のひたむきな笑顔があった。オープニングトレーニングで一番輝いていた自分を語る人々の笑顔、各人が知恵を出して用意した手作り名刺を誇らしげに説明するときの笑顔、大学自慢で大学のことが好きだと宣言したときの発表者達の笑顔、サンドイッチパーティーで次回は大学自慢に参加したいと爽やかに決意表明をした笑顔・・・。
 参加者の笑顔や大学に対する熱いまなざしに圧倒され、日々の業務をこなすことに終始し、視野が極端に狭くなっていた自分に気がついた。何を目標に大学職員をやってきたのか、それはとりもなおさず大学を活性化させるためだったはず。
 大学職員サミットやまぐちカレッジでは多くの参加者の笑顔から元気を頂くことができた。この元気を胸に秘めて、できるところから少しずつ、行動できる職員を目指したい。

■今回のサミットは自分にとって初めて有人飛行に成功したライト兄弟が受けたぐらいの感動、衝撃を受けました。今回のサミットには約180人の方が参加しましたが、私は過去最多人数の「集合天才」を目にしました。たくさんの方が熱い意見を互いに話し合うことで互いに刺激を受け合い、考えることで明らかに来た際と帰りの際の顔立ちは違い、それを写真に収めることができたことを、とてもうれしく思います。
 このサミットで私は大学というところが大好きになりました。なぜなら先生のメッセージ、ディスカッション、大学自慢などを通して大学にはすばらしい方で溢れているということに身を持って知ることが出来たからです。本当にサミットにいらっしゃった方々の目はキラキラしていて今回のサミットで確実に竜巻が発生したと感じています。

■オールナイトディスカッションのテーマが「素敵な学生」でしたが,思い出すのは手がかかった学生ばかり。しかし,議論しながら,「素敵」と「デキる」は全く違う! 自分を成長させてくれた学生が自分にとって「素敵な学生」なんだと気づきました。
 「三輪車にはブレーキが無い。」強烈でした。学生の本分は勉強。教員も勉強している。職員も勉強しなきゃ。実は大学には,学生教員職員それぞれが運転する無数の三輪車があり,この3者が,前に進まない時には背中を押し,そして坂道を転げ落ちそうになったら地に足をつけ力を合わせ食い止める,そんな「あったかさ」や「思いやり」が通じ合う場が「大学」ではないか。そう考えたサミットでした。

●激動の時代,大学を取り巻く環境は変化に加えて拡散と二極化し始めています。競争に勝ち,個性輝く大学を創るために,大学職員は何をしなければならないのか。事務処理能力が第一義的に求められてきた時代は終わりました。
 新しい時代を担う大学職員は,大学の資産であり資源である教員及び学生と協創し,個性輝く元気な大学を創る役割を担わなければなりません。教育・研究を支援し学生を支援することにあっては,教員との役割分担を明確にし、大局的な視座に立ってプロデュースしていく能力が求められることになります。いよいよ、大学間の厳しい生き残り競争は、学生、教員、職員を束ねた総力戦勝負となります。

●「大学職員サミット」は、国公私立大学の枠を超えた参加型のシンポジウムです。大学職員が中心になって、教員、学生と共に、明日の大学について語り合います。
 時代が変わります。大学は、学生・教員・職員の三者が一体となって,共に力を合わせ,共に育み合い,共に喜びを分かち合う「場」として、教育・研究・社会貢献のミッションをカタチにして、社会に存在をアッピールしなければなりません。
 大学職員は、個性輝く元気な大学を創るために,使命感を持ち,持てる力を存分に発揮することが求められます。その原動力になるためにも、大学職員は自らの可能性を磨いて確実なものにしていく努力を惜しむことがあってはなりません。
 「大学職員サミット」は、参加されたお一人おひとりが、個性溢れる大学創りの主役として情報発信者になって頂くための可能性を磨く「場」です。参加された皆さまのヒューマンネットワークが、「点」から「線」となって「面」になることによって、大学を輝かせるための可能性は大きくなっていくのです。

 ワクワクドキドキの2日間、お仲間をたくさんお誘い合わせの上ご参加ください。

【日時】 2009年11月7日(土)〜8日(日)
【会場】 芝浦工業大学 豊洲キャンパス
(東京メトロ有楽町線 豊洲駅 徒歩7分 / JR京葉線 越中島駅 徒歩15分)
【詳細】 芝浦工業大学のサイトを開きます
↑参加申込・プログラム等詳細は、芝浦工業大学の公式サイトをご覧下さい。


見出しへ

YFN11月例会  (第588回例会)

 YFN・FMICS名古屋の恒例の秋の文化祭。横浜開港150周年記念・岐阜市制120周年を記念して、岐阜出身で、横浜の父ともいうべき原三渓翁を顕彰すべく、岐阜・横浜の三渓ファンが集い、実行委員会を組織し開催。

 翁の岐阜時代を船戸政一氏(元関市教育長・元岐阜史学会会長)に、横浜時代を猿渡紀代子氏(横浜市民ギャラリー館長・原三渓横浜市民研究会会長)に紹介いただき、スポットを当てつつ、翁の近代茶を興した三大茶人といわれる芸術家としての側面をメインにして、日本文化や茶道文化研究の第一人者である熊倉功夫先生に講演いただきます。

 また参会者には、横浜の茶人と岐阜の茶人が協力して行う茶席二席と、岐阜と命名しその礎を築いた織田信長がこよなく愛した香道、組香「源氏香」と、園内散策案内コースをそれぞれ体験頂き、点心にて三渓麺をご賞味頂く。折しも館内では「開港150周年記念特別展 原三溪と美術-蒐集家三溪の旧蔵展」を同時開催中。

 参会者の皆様には、横浜の発展の礎を築いた日本を代表する財界人として、また日本文化を護持し興隆せしめた文化人としての三渓翁の行道を秋の三渓園を散策しつつ、茶道・香道や講演を通して味わい楽しんでいただきます。

【日時】 2009年11月14日(土)10:00〜16:00
【会場】 横浜 三渓園
【テーマ】 横浜開港150周年記念
岐阜市制120周年記念
「三渓翁と横浜・岐阜の物語り」
【問い合わせ】 林 憲和 nhayashi(アットマーク)ha.shotoku.ac.jp


見出しへ

FMICS Staff Development 217

■FMICS Staff Development 略して 「SD」は、月例会とは別に、平日の夜に開催されているゼミナール型の勉強会です。■あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(10枚程度)して、氏名と簡単なMEMOを付してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。■第二部として高等教育問題研究会FMICS30周年に向けてFMICS人にFMICSの「温故知新」を20分間程度で語って頂きます。更なる続きは、懇親会の席上で大いに語って頂きます。プロデュースは米田さんが担当します。ご期待ください。

【日時】 2009年11月25日(水) 午後6時〜7時30分+懇親会
【会場】 桜美林大学 四ツ谷キャンパス 3階301教室
(JR・東京メトロ 四ツ谷駅 徒歩3分)
【参加費】 会員500円  非会員1000円  学生(会員・非会員問わず)300円
【申込先】 米田 敬子 mail2009(アットマーク)fmics.org
*お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。
*当日の飛び入りも歓迎ですが、参加者数を把握するため、なるべく事前の連絡をお願いします。


見出しへ

FMICS あざみ野 SD 7

●ゼミナール型勉強会「SD」の首都圏西部地域での集いです。●前回の10月9日(金)は、7名の参加者数でした。●この勉強会の原理は極めてシンプルです。参加者が何か1品、ネタを持ち寄り、みんなで議論します。●ネタは、気になった新聞・雑誌記事、業務関連の資料、進めている仕事のアイデア、就活エントリーシートの原稿などなど、何でも構いません。ちょっとした事でも、他人の目に触れることにより思いがけない発見があるものです。初めて参加される方は、単に自己紹介だけでもOKです。●資料(コピー)は10部お持ちください。

【日時】 2009年11月27日(金) 午後6時30分〜8時50分+懇親会
*その次は、12月18日(金)に国連大学本部にて開催の予定です。
【会場】 横浜市山内地区センター 3階 会議室3A
(東急田園都市線・横浜市営地下鉄 あざみ野駅 徒歩3分)
【参加費】 100円(会員・非会員問わず)
【申込先】 出光 直樹 (横浜市立大学) naoki(アットマーク)idemitsu.info
http://n-idemitsu.269g.net/category/212623.html
*お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。
*当日の飛び入りも歓迎ですが、参加者数を把握するため、なるべく事前の連絡をお願いします。


見出しへ

会報 『BIG EGG』 12月号 発送作業

●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。

●ワイワイガヤガヤと近況報告を兼ねての楽しい時間は、美味しい中華料理屋での食事会へと引きつがれ、例会などのアイデアの多くが、この瞬間に生まれます。例会とは一味違ったFMICSの活動に、皆さまのご参加をお待ちしております。

【日時】 2009年12月2日(水) 午後6時〜9時+食事会
【会場】 日能研 恵比寿ビル

●初めて参加される方は、 mail2009(アットマーク)fmics.org (高橋真義)までご一報ください。当日の連絡先等詳細をお知らせいたします。



見出しへ

速報 12月のFMICS

【日時】 2009年12月12日(土) 午後4時〜6時30分
【会場】 東京文化短期大学 本部校舎
(東京メトロ丸ノ内線 東高円寺駅 徒歩6分)
【テーマ】 大学の未来を変えるためのミッション・パッション・アクションを考える