2010年7月のFMICS
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放送大学(公式サイト)は、テレビまたはラジオによる放送授業を主たる教育手段とする正規の大学です。放送大学が設置している教養学部と大学院文化科学研究科では、人文・社会・自然科学にまたがる幅広い領域で、約370もの放送授業科目が開講されている他、全国各地の学習センターを拠点に、年間3,000クラス以上の面接授業も行われています。
放送授業科目は、基本的にテレビまたはラジオによる45分×15回の放送授業で構成される他に、15回分の内容を編纂したテキスト(印刷教材)が用意されます。放送授業は、地上波や衛星放送で無料放送されて誰でも視聴出来るほか、テキストは一般書籍として2〜3千円程度で市販もされており、特に学生として登録しなくても、関心を持った科目について放送授業を視聴したり、テキストを入手して学習することが可能です。
各授業科目は原則として4年毎に改訂され、各分野において網羅的でかつ最新のトピックスを盛り込んで構成されており、数多くの興味深い科目が提供されています。大学・高等教育に関する科目も、学部と大学院でそれぞれ1科目ずつ開講されています。
学部科目の『大学と社会('08)』(科目概要)は、「大学の誕生と発展」「戦後日本社会と大学改革」「大学の組織と運営」「変貌する大学教師」「多様化する学生」といったテーマが、総勢8名の講師陣によって取り上げられ、中世ヨーロッパから現代日本に至る大学の歴史や現代的な諸問題をカバーし、大学人にとってのベーシックスとも言える内容です。
大学院科目の『大学のマネージメント('08)』(科目概要)は、「大学事務職員の現状と能力開発の必要性」「大学広報・学生募集戦略」「大学の人事・労務・財務」「大学の教務・学生サービス」「大学改革の実際」といったテーマが、4名の講師陣(山本眞一、田中義郎、工藤敏夫、井原徹の各氏)によって取り上げられ、より現職の大学職員あるいは管理職にある教員を意識した内容になっています。
『大学と社会('08)』はテレビ科目、『大学のマネージメント('08)』はラジオ科目であり、4月〜7月および10月〜1月の放送授業期間(通常の学期)中は、週に1回のペースで15週にわたって放送されていますが、放送授業の視聴によらなくても、テキストに豊富な内容が盛り込まれていますので、書店や図書館等で入手されてご覧になることをおすすめいたします。 |
(出光 直樹)
今年の6月は例年になく寝不足が続きました。理由は4年に一度のワールドカップが始まり、月末にはシンポがあったからです。決勝トーナメントの6月29日の日本×パラグアイ戦は120分の死闘のあと、PKで負けてしまいました。結果は負けでしたが、とにかく岡田ジャパンのすべての選手とスタッフに「ありがとう」と伝えたい。戦った4試合から「感動と絆」の熱いキーワードをいただきました。
それにしても、ワールドカップが始まる前の、岡田ジャパンに対しての批判はひどいもので、一時は多くのメディアが岡田監督の進退問題まで騒ぎ出す始末でした。岡田監督の心中は大変なプレッシャーだったと思います。
ワールドカップが始まる前に岡田監督の口から出た言葉は、“ベスト4を目指す”という当時の空気からは信じられない強気の発言でした。その上に本田選手からは、個人的には“優勝”も考えているという途方もない目標が語られ、メディアからビックマウスとまでいわれました。このとき多くのメディアは、本田選手の本当の実力を知らなかったと思います。カメルーン戦に1対0で勝利しても、岡田ジャパンを認めずにカメルーンのチームの内情がどうのこうのと理由を探して、本田選手の実力や自国のチームを過小評価して納得していたメディアは多かったと記憶しています。
その後のオランダ戦に0対1で敗れたあたりから、少しずつ全体の空気が変わりつつあることに気づいたのは、私だけではないはずです。そして、デンマークと戦った時には、選手たちの絆(チームワーク)が目に見えるようになり、結果は3対1という見事な成果を残すものでした。もうこの時点で、本田選手をビックマウスという者は誰一人なく、岡田ジャパンを引っ張る救世主のような扱いに変わっていました。このままだといいところまでいくのでは、という期待に包まれているとき、本田選手は冷静にチームの目指す方向を見定めていたと思います。このとき、相変わらず本田選手は“優勝”の2文字を発し、数人の選手がやっとベスト4といえた状態でした。このとき、私が感じていたことは、他にも誰か“優勝”をいわないとベスト4はおろかベスト8にも残れないだろうということです。まずは“言葉ありき”ですから、言葉を発信しないと想いは届かないことを改めて感じさせてくれたワールドカップでした。
世の中で起きることの多くは、人が創造したことが形になっていることを思い出してください。鉄が空を飛ぶことも、海に浮かぶことも、誰もが無理だと思っていたときに、自らを信じて創った者が結果を残したのです。
今年度の就職は、過去最低水準とされる今春の大卒就職率を下回りかねないといわれています。学生さんには回りの空気に流されることなく、自分を信じて就職活動をしてもらいたいものです。そして、岡田監督や本田選手のように、強い精神力で冷静に自分を信じて壁を乗り越えてもらいたい。
(秋草 誠)
■時代は急です。大学は18歳人口の減少の波をもろにかぶります。学生募集停止に追い込まれた大学関係者は決まって「私たちは頑張りましたが、何せ学生がきてくれませんでした」と言われます。 この言葉に疑問を持ちます。今、規模の大小にかかわりなく多くの大学は、時代に遅れまいと打ち上げ花火的なアクションをつま先だって頑張っています。しかし、すべての大学がこのような体力勝負を続けることができるのでしょうか。
なぜ、大学関係者は、もっと大学の資産である学生さんを活かそうとしないのでしょうか。改革改革というかけ声の中に、極めてシンプルな原理原則である「学生の“が”」という視座はほとんど入っていません。学生さん不在の大学改革ほど危ういものはありません。
■今月のFMICSは、「学生目線」と「職員目線」のギャップについて考えます。「大学に入職したころは、学生と歳も離れてないから、彼らが考えていることがそれなりに分かったけれど、最近は、どうも彼らが考えていることが見えないんですよ」と中堅職員が言います。このギャップを埋めることもせずに、「不易流行って言うし、彼らにとってよかれということの原理原則は変わらないはずだよね」と勝手に決め込んで、学生さんに関するコトを進めてはいませんか。実は、学生さんたちは、大人たちが考えている以上にシビァーです。大人たちが手を抜けば、おとなしいと言われている学生さんたちから、しっぺ返しを食らいます。ギャップは埋めがたいものだという前提で、大人流の視座から学生対応をしている大学は、いよいよ学生さんたちから相手にされなくなり、母校沈没は避けることが出来なくなります。とにかく、キャンパスに「母校沈没ゾン」の進入は絶対にさせないためにも、ギャップは埋めなければなりません。どうしてギャップが生じるのか、どうしたらギャップを小さくしていけるのかについて、学生さんと職員が虚心坦懐に想いを語り合うことが必要です。
■勿論、学生目線と教員目線のギャップも歴然とありますが、この部分は、かなり深堀されています。「学生目線」と「職員目線」のギャップについて、職員と学生さんが話し合う「場」はありそうでなかなかありません。勿論、一度や二度の意見交換・摺り合わせで簡単に結論、妙案は出てくるとは思えませんが、まずは、語り合うことから始めたいのです。大学職員が頭でっかちになりさえすれば、大学の将来は明るいと思い込むことは、既に幻想です。改めて、「学生の“が”」をカタチニすることによって、新しいあるべき職員像が見えてくるはずです。
■高等教育問題研究会FMICSは、このようなテーマを取り上げてワイワイガヤガヤと話し合うことを得意としています。「学生目線」と「職員目線」のギャップについて考えることは、これから毎年この時期の定番テーマとしたいところです。
夏休み前のお忙しい時期ではありますが、皆さまには学生さんをお誘いの上ご参加ください。
【日時】 | 2010年7月17日(土) 午後4時30分〜7時 |
【会場】 |
桜美林大学 四ツ谷キャンパス 307教室 (JR・東京メトロ 四ツ谷駅 徒歩3分) |
【テーマ】 | 「学生の“が”」を見える化するために 学生目線と職員目線のギャップを考える -1- |
【発表者】 | 大竹 秀和 (立教大学教務部 職員) 仲谷 ちはる (東京家政大学交際交流室 職員) 二宮 幸太 (桜美林大学大学アドミニストレーション研究科 院生) 三上 喬大 (桜美林大学国際学部 卒業生) 横溝 大輔 (桜美林大学リベラルアーツ学群 学生) 小林 明日香 (国際基督教大学教養学部 学生) 【司会】 高橋 真義 (桜美林大学大学アドミニストレーション研究科 教授) |
【参加費】 | 会員1,000円 非会員1,500円 学生(会員・非会員問わず)500円 |
【申込先】 | 米田 敬子 mail2010(アットマーク)fmics.org *お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。 *当日の飛び入りも歓迎ですが、なるべく事前の連絡をお願いします。 |
■FMICS Staff Development 略して 「SD」は、月例会とは別に、平日の夜に開催されているゼミナール型の勉強会です。■あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(10枚程度)して、氏名と簡単なメモを付記してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。■第二部として高等教育問題研究会・FMICSの30周年に向けてFMICS人の中のFMICS人(今月は立教大学セカンドステージ大学事務室の足立寛さん)に、「FMICSの温故知新」を20分間程度で語って頂きます。
【日時】 | 2010年7月2日(金) 午後6時30分〜8時30分+懇親会 |
【会場】 |
桜美林大学 四ツ谷キャンパス 3階301教室 (JR・東京メトロ 四ツ谷駅 徒歩3分) |
【参加費】 | 会員500円 非会員1000円 学生(会員・非会員問わず)300円 |
【申込先】 | 米田 敬子 mail2010(アットマーク)fmics.org *お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。 *当日の飛び入りも歓迎ですが、参加者数を把握するため、なるべく事前の連絡をお願いします。 |
●ゼミナール型勉強会「SD」の首都圏西部地域での集いです。●前回6月11日(金)の参加者数は9名でした。●この勉強会の原理は極めてシンプルです。参加者が何か1品、ネタを持ち寄り、みんなで議論します。●ネタは、気になった新聞・雑誌記事、業務関連の資料、進めている仕事のアイデア、就活エントリーシートの原稿などなど、何でも構いません。ちょっとした事でも、他人の目に触れることにより思いがけない発見があるものです。初めて参加される方は、単に自己紹介だけでもOKです。●資料(コピー)は12部程度お持ちください。
【日時】 | 2010年7月16日(金) 午後7時〜8時50分+懇親会 |
【会場】 |
横浜市山内地区センター 1階 会議室1 (東急田園都市線・横浜市営地下鉄 あざみ野駅 徒歩3分) |
【参加費】 | 100円(会員・非会員問わず) |
【申込先】 | 出光 直樹 (横浜市立大学) naoki(アットマーク)idemitsu.info http://n-idemitsu.269g.net/category/212623.html *お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。 *当日の飛び入りも歓迎ですが、なるべく事前の連絡をお願いします。 |
●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。
●ワイワイガヤガヤと近況報告を兼ねての楽しい時間は、美味しい中華料理屋での食事会へと引きつがれ、例会などのアイデアの多くが、この瞬間に生まれます。例会とは一味違ったFMICSの活動に、皆さまのご参加をお待ちしております。
【日時】 | 2010年8月3日(火) 午後6時〜9時+食事会 |
【会場】 | 日能研 恵比寿ビル |
●初めて参加される方は、 mail2010(アットマーク)fmics.org (高橋真義)までご一報ください。当日の連絡先等詳細をお知らせいたします。
【日時】 | 2010年8月21日(土) 午後4時30分〜7時 |
【会場】 | 桜美林大学 四ツ谷キャンパス |
【テーマ】 | (仮題)検証 学士力答申が期待する新しい大学職員像 |
【問題提起】 | 菊池 勇次 (文部科学省 国立大学法人評価委員会室 評価調査係長) |
【テーマ】 | 大学のきのう・きょう・あした |
【日時】 | 2010年8月27日(金)13:00 〜 28日(土)18:00 岐阜駅解散 |
【会場】 | (昼の部) ネットワーク大学コンソーシアム岐阜・岐阜駅サテライト教室
(夜の部) 関市洞戸大野 東海坐禅道場 |
【主催】 【後援】 | 高等教育問題研究会(FMICS)名古屋 ネットワーク大学コンソーシアム岐阜 |
【プログラム】 | ●昼の部 13:00〜16:00(岐阜駅サテライト教室)
挨拶 加藤 直樹 (ネットワーク大学コンソーシアム岐阜幹事長・岐阜大学教授 ) 講師
●研修1 18:00〜20:00(長良川鵜飼い事務所 17:30集合) 長良川鵜飼観光(夕食)
●夜の部 22:00〜23:00(東海坐禅道場 ) 講師
●オールナイトの部 24:00〜朝まで 参加者全員発表(1人10分・レジュメ必要) ●朝茶 源氏香の間で有楽流茶道点前にて ●研修2 郡上八幡散策(日本三大盆踊)と大和町古今伝授の里フィールドミュージアム ●昼食 ももちどり(地産地消フレンチ) (日本の芸道・武道の免許皆伝制度発祥の地) |
【参加費】 | 昼の部1,000円 夜の部1,000円
※オプション 夜:鵜飼6,000円 翌日:郡上6,000円円(実費) |
【事務局】 | 林 憲和 (岐阜聖徳学園大学 外国語学部事務室 058-279-6704) nhayashi(アットマーク)ha.shotoku.ac.jp |