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2010年9月のFMICS



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放送大学のススメ<後編>

 前回までは、学部(学士課程)を中心にご紹介してきましたが、今回は大学院(修士課程)について紹介します。教養学部が1985年から学生の受け入れを始めてから17年後、大学院の文化科学研究科は2002年から大学院生の受け入れを開始しています。

 大学院での学生種は学部と同様に、修士全科生(入学金44,000円)、修士選科生( 〃 16,000円/1年間在学)、修士科目生( 〃 12,000円/半年間在学)の3種類があります。修士全科生の場合は、文理にまたがる6つのプログラムのいずれかに所属して修士学位の取得を目指し、修士選科生と修士科目生は、一定の在学期間で任意の授業科目を履修します。なお授業料は1単位当たり11,000円で、入学金と同様に学部の納付金の2倍に設定されています。

 学部の全ての学生種、大学院の修士選科生・修士科目生については、入学定員が万人規模で設定されて入学資格のある出願者は実質全員受け入れており、入学のチャンスも年に4月と10月の2回ありますが、修士全科生については入学定員が500名と絞られており、筆記試験や面接による実質的な選抜が行われ、入学の時期も毎年4月のみとなります。

 現在来年4月に入学する修士全科生の出願が9月10日(金)まで受け付けられていますが、昨年の志願倍率は6つのプラグラムの平均で2.4倍。中でも「臨床心理プログラム」(日本臨床心理士資格認定協会指定大学院第2種)では40人程度の募集に423人が出願して合格は37人と、11.4倍もの難関となっています。

 学士の学位取得を目指す学部の全科履修生の場合、「卒業研究」は最終学年における選択科目の扱いで一部の学生のみが履修しますが、大学院の修士全科生の場合は全員が2年間の研究指導を受けて修士論文を提出することになり、そうした点からも修士全科生への入学のハードルは高くなっています。

 なお、修士全科生に入学する前に修士選科生や修士科目生として修得した単位は、修士全科生に入学した際に原則として修了要件に認められます。手軽に入学できる修士選科生や修士科目生としていくつかの授業科目を履修して準備を進め、ある程度学修の先取りをしてから修士全科生に入学する事も可能です。

 学部に比べると大学院の場合は、趣味半分にのんびりと履修し続けるのには向きませんが、修士学位の取得を目指す方、資格に関わる単位修得(現職教員の上進制度による専修免許状取得など)を目指す方には、開かれたシステムと低廉な学費で学ぶことが出来る点が大きな魅力と思います。

(出光 直樹)



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「いつかはクラウン!」の夢を越える

 最近は「モノが売れなくて大変だ」とよく耳にします。未曾有の「不況」という、この2文字で片付けてしまえば簡単な話ですが、モノが売れなくなっている背景にはもっと別の理由があると思います。

 それは、「ライフスタイルの変革」です。例えば車。ハイブリッドカーを除いて車が今売れない時代と言われます。不況だからでしょうか? もちろん、その影響もありますが、根っこは、「車を持つライフスタイル」が変革していることにあると思います。昔は会話の中によく車の話が出てきました。「どんな車乗っているの?」車はステータスの証明で「いつかはクラウン」なんていう言葉もありました。このように、モノが売れなくなっている背景には、社会の制度が大きく変化したわけではないのにライフスタイルが変革していることが大きな原因のひとつだといえます。

 今、大学事情でも新たな変革の時代が訪れています。それは「就職浪人」という新しい言葉に表されていますが、未曾有の就職難に新卒段階で就職できないと、その後正社員になれる可能性が低くなる実態に学生たちが気づき、自ら単位を落とし留年するという悲しい新たなライフスタイルが出現しているのです。

 今年8月17日、日本学術会議は、就職難を背景にした大学生の就職活動の早期化などが大学教育の質の低下につながるとして、卒業後3年程度は新卒者と同様に扱うよう企業に求める提言を文部科学省に提出しました。

 提言は早期化・長期化する就職活動が学生の学業やメンタルヘルス面に深刻な影響を及ぼしていると強調。卒業後数年たった若年既卒者も新卒扱いにするよう企業に求めた。

 このニュースを聞き、私はこのような制度も必要だといえば必要だと思うが、もっと違った対策がないものかと思案していた。その時、『大学マネジメント』2010年7月号 が届き、本間会長と広島大学の山本先生の対談「教育情報産業のあるべき姿」の本間会長の一説に目を引かれた。「大学卒業生の数は減る一方なのに、その中で旧態依然たる「新卒者」重視みたいな採用をやって、若者の夢や冒険をくじいているし、自らの企業の未来も危機に陥れているのですよ。(中略)例えば、国大協あたりで、大学4回生の9月以降じゃないと就活させないとか宣言するとか考えてみたらどうでしょうか」という実現すれば学生にはありがたい話でした。しかし例え東大、京大が旗を振り、国公立大学が立ち上がり、さらに私大JWKとGMRCHが加わったとしても、現実は企業が絡んでいるのでなかなか思うように制度化できないと思います。

 学生たちが制度の変わるのを待つより、逞しく自らライフスタイルを変えて生き抜く術を考えてくれることを信じています。「いつかはクラウン」なんてブランドに左右されない、大学に置き換えれば、偏差値やブランドとはかけ離れたライフスタイルの創造を学生とともに生み出せる現場に立ち会いたい。

(秋草 誠)



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FMICS 9月例会
(第599回例会)

「大学は単に偏差値だけでなく、卒業後の将来を考えて選ばなければなりません。本誌は“就職”という視点から大学選びを考えていきます」は、日経HR/日本経済新聞出版社からこの6月に発刊された『親と子のかしこい大学選び』2011年版の編集コンセプトです。

 大学生4700人からのアンケート結果から、本当の就職力が育つ大学ランキングが載っています。質問別のランキングでは、これまでのランキングでは第1位とはならない大学がランクアップされています。また、総合ランキングでは、1位:上智大学、2位:一橋大学、3位成蹊大学、4位:東京外国語大学、5位:愛知淑徳大学と並んでいます。

 
 今春卒業した大学生の就職率は前年比で過去最大の下げ幅となるなど、就職事情は 厳しさを増している。政府は、新卒者の就職支援を検討する特命チームを首相官邸に設置し、8月24日に初会合を開いたが、対策がどこまで実効性を持つかは未知数だ。加えて止まらぬ円高が日本経済の前途に暗い影を落とす。卒業単位を取得していても留年を認める希望留年制度や、既卒者対策に力を入れる大学も増えてはいるものの、就職難は展望の見いだせない状況が続く。
 文部科学省が今月発表した学校基本調査速報によると、今春卒業した大学生の就職率は、60・8%で、前年からの下げ幅は過去最大のマイナス7・6%だった。進学も就職もしていない進路未決定者は約8万7000人で、高卒も含め15万人近くが行き場がない。
(2010.8.25毎日新聞朝刊)
 新卒者、既卒者の雇用を確保するために菅内閣が検討している緊急対策の全容が判明した。卒業後3年以内の既卒者の正規採用やトライアル雇用(試験的採用)を行う企業に奨励金を出すことなどが柱。30日に菅直人首相直属の雇用対策特命チームが正式にとりまとめ、31日に閣議決定する追加経済対策に盛り込まれる。
 卒業後3年以内の就職希望者を正規雇用する事業主に対する奨励金を創設。同様に、正規雇用を前提にトライアル雇用を実施する事業主に対する奨励金も創設する。中小企業が採用活動にかけるコストを軽減し、積極的な採用を促す狙いだ。
 また、在学時から就職活動をサポートするため、約250大学に配置しているキャリアカウンセラーを約500大学に倍増。ハローワークに配置している「高卒・大卒就職ジョブサポーター」(928人)も、約1800人に倍増する。
 さらに、効果的な就職支援を進めるため、ハローワークや地方自治体、労働界、産業界、学校を交えた「新卒者就職応援本部(仮称)」を47都道府県の労働局に設置することも盛り込んだ。
(2010.8.30.朝日新聞朝刊)

 今月のスピーカーは、『親と子のかしこい大学選び』の編集総括の日経就職ナビ編集長の渡辺茂晃さんです。

 直近の就職事情を整理し、政府の対処療法的な施策は、真夏の暑さの中のリクルート姿の学生さんや、夏休みを返上して学生対応、企業訪問をされている大学関係者にとってうれしいものなのどうかを検証します。

 大学で学ぶことと就職することの意味についての原理原則を多面的にディスカッションをいたします。皆さまには、就職関係者、学生さんにもお声を掛けて頂き参加ください。

【日時】 2010年9月18日(土) 午後4時30分〜7時
【会場】 桜美林大学 四ツ谷キャンパス 307教室(予定)
(JR・東京メトロ 四ツ谷駅 徒歩3分)
【テーマ】 大学での学びと就職の原理原則を考える
検証 親と子のかしこい就職力の育つ大学選び
【問題提起】

渡辺 茂晃 (日経就職ナビ編集長)

司会 高橋 真義 (桜美林大学 大学院教授)

【参加費】 会員1,000円  非会員1,500円  学生(会員・非会員問わず)500円
【申込先】 米田 敬子 mail2010(アットマーク)fmics.org
*お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。
*当日の飛び入りも歓迎ですが、なるべく事前の連絡をお願いします。


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FMICS Staff Development 227

■FMICS Staff Development 略して 「SD」は、月例会とは別に、平日の夜に開催されているゼミナール型の勉強会です。■あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(10枚程度)して、氏名と簡単なメモを付記してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。■第二部として高等教育問題研究会・FMICSの30周年に向けてFMICS人の中のFMICS人をお迎えして「FMICSの温故知新」を20分間程度で語って頂きます。

【日時】 2010年9月24日(金) 午後6時30分〜8時30分+懇親会
【会場】 桜美林大学 四ツ谷キャンパス 3階301教室
(JR・東京メトロ 四ツ谷駅 徒歩3分)
【参加費】 会員500円  非会員1000円  学生(会員・非会員問わず)300円
【申込先】 米田 敬子 mail2010(アットマーク)fmics.org
*お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。
*当日の飛び入りも歓迎ですが、参加者数を把握するため、なるべく事前の連絡をお願いします。


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FMICS あざみ野 SD 17

●ゼミナール型勉強会「SD」の首都圏西部地域での集いです。●前回8月20日(金)の参加者数は7名。教育現場のコピペ問題、学生の視点から見た大学のカリキュラム説明の問題点、首都大学東京のオープンキャンパス、大学職員採用の傾向と対策(内定に至る道)、大学広報と広告代理店を巡る残念な関係性、大学院での研究計画、といったトピックスが寄せられました。●この勉強会の原理は極めてシンプルです。参加者が何か1品、ネタを持ち寄り、みんなで議論します。●ネタは、気になった新聞・雑誌記事、業務関連の資料、進めている仕事のアイデア、就活エントリーシートの原稿などなど、何でも構いません。ちょっとした事でも、他人の目に触れることにより思いがけない発見があるものです。初めて参加される方は、単に自己紹介だけでもOKです。●資料(コピー)は12部程度お持ちください。

【日時】 2010年9月17日(金) 午後7時〜8時50分+懇親会
その次は10月8日(金)の開催です。
【会場】 横浜市山内地区センター 3階 会議室3B
(東急田園都市線・横浜市営地下鉄 あざみ野駅 徒歩3分)
【参加費】 100円(会員・非会員問わず)
【申込先】 出光 直樹 (横浜市立大学) naoki(アットマーク)idemitsu.info
http://n-idemitsu.269g.net/category/212623.html
*お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。
*当日の飛び入りも歓迎ですが、なるべく事前の連絡をお願いします。


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会報 『BIG EGG』 10月号 発送作業

●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。

●ワイワイガヤガヤと近況報告を兼ねての楽しい時間は、美味しい中華料理屋での食事会へと引きつがれ、例会などのアイデアの多くが、この瞬間に生まれます。例会とは一味違ったFMICSの活動に、皆さまのご参加をお待ちしております。

【日時】 2010年10月6日(水) 午後6時〜9時+食事会
【会場】 日能研 恵比寿ビル

●初めて参加される方は、 mail2010(アットマーク)fmics.org (高橋真義)までご一報ください。当日の連絡先等詳細をお知らせいたします。