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2011年2月のFMICS



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英語リスニングテストのコスト<後編>

 2006年から導入された大学入試センター試験の英語リスニングテスト。今年は一度使用して回収された再利用機器を使用する最初のケースとなり、そのICプレーヤーの不具合発生の割合について心配をする声もありました。さてその結果は、再開テストの対象となる解答開始後の不具合の申し出件数は100件程度となり、昨年の250件程度から大幅に減少した事になります。新品ではなくて、一度最後まで作動した再利用機器を使用した事が、結果的に効を奏したのかもしれません。

 では、このように不具合の発生率が大幅に減少する事が確実になったとして、リスニング試験を実施する事の負担を、大きく減らす事が出来るでしょうか? 残念ながら答えは No! です。

 機器の不具合が発生した際の対応を、通常の監督者ではなく他に待機している別のスタッフが全て引き継いで対応するという仕掛けであれば、トラブルの発生率に応じて待機するスタッフの数を調整する、すなわち負担を抑える事は可能です。

 しかし、一斉の時間の流れで行うセンター試験の監督業務においては、機器の不具合等が発生した場合の対応は、その試験室の監督者が、最後まで確実に行わなくてはなりません。そのため、不具合の発生率が約0.05%(昨年)であれ、約0.02%(今年)であれ、監督者全員がきちんと対応出来るよう、同じようにコストをかけて万全な準備をしなければならないからです。

 前回に述べたように、リスニング試験の様態が通常の筆記試験と著しく異なることもあり、その準備や実施の負担は、センター試験業務全体の半分近くを占めてしまいます。

 一方で、リスニング試験の大学入試センター試験に占める位置づけについて、配点の割合から見てみれば、2日間全ての科目を受験(外国語は英語を選択)した受験者の素点合計は、1150点。そのうちリスニングの配点は50点ですから、割合は約4%です。大学入試センターの対象科目を少なく絞っている大学・学部の場合は、その割合は高まりますが、英語を含む3教科3科目で採点する横浜市立大学国際総合科学部の場合でも、センター試験の配点に占めるリスニングの割合は、約9%にすぎません。

 大学の入学者選抜において、英語のリスニング力を測定することが無駄だとは言いませんが、このような実施コストやリスクをかけてまで、大学入試センター試験において実施する事の意義はどこにあるでしょう。導入目的の1つに掲げられた、「コミュニケーション能力の育成」(大学審議会答申『大学入試の改善について』、文部科学省『「英語が使える日本人」の育成のための行動計画』他)を後押しする手段としても、その方法の適切性に大いに疑問が残ります。実施に関わる現場の方々は、皆さん献身的に努力されているものと思いますが、そうであるがこそ、“大学入試センター試験におけるリスニング試験”は廃止すべきと思います。

(出光 直樹)



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イイ話には裏がある

 1月下旬に来年度の「子ども手当」の財源に関し、少なくとも1県7市35町村が地方負担を拒否し、来年度当初予算案で地方負担分を「国費」として計上する方針であることが、毎日新聞の調べで分かった。全国の自治体は来年度予算案作成に向け詰めの時期を迎えており、自治体の国への不満が高まっていることを裏付けた。政権交代で民主党が与党となり、一見すると子供を持つ家庭に優遇するような耳障りの良い制度でも、明確な財源がないままでは進まないことが明らかになった。

 一方、昨年の11月、大阪府は私立高校と高等専修学校の授業料について、2011年度の新入生から、年収610万円未満の世帯までを無償化する制度案を発表した。「年収610万から800万円未満の世帯に対しても、保護者の授業料負担が年間10万円で済むよう補助する方針だ。府は10年度から、年収350万円未満の世帯で授業料の無償化を実施。年収500万円未満の世帯に対しても保護者負担を一部軽減する補助金制度を設けている。今回の制度案は、現行制度を大幅に拡充するもの。府の試算によれば、年収610万円未満まで無償化すると、対象は新入生の50%に及び、年収800万円未満まで授業料の負担軽減を導入すると、新入生の70%までが制度の恩恵を受けることになる」という。(授業料には入学金は含まれないが、経常的な経費を含んでいる)

 先日、大阪府の学事課に問い合わせたところ、2月から始まる府議会で決定する方針だと説明があり、無償化制度の導入と同時に公私間協定をなくす方向だという。

 高等学校には、各都道府県が決めた公私間の協定があり、ここで定員の割合が決まっている。たとえば大阪の場合、府内の中学校3年生の人数に対して、公立高校70%、私立高校30%の定員となる。この公私間協定がなくなった場合、本当の学校間の“魅力”勝負ということになる。公立高校とて安穏としていられない状況に突入するという意味だ。その結果、数年過ぎると、自然淘汰される高校が出てくるのは誰にでも予測できること。

 一般的に各都道府県の補助金の負担は公立高校の生徒一人当たり100万円〜110万円、私学の生徒一人当たり平均35万円くらいになっている。大阪方式だと私学への生徒一人当たりの補助金は50万円〜80万円くらい増えるが、行政の視点から見るとより多くの生徒が私学に流れるほうが財政的に楽になる大阪方式が主流になる予感がする。まさに生き残りを賭けた戦いに勝つためには、各学校が特色をアッピールしてステークホルダーの満足度をあげることが重要ポイントとなる。

 財政難の時代に市民目線で子供のいる世帯を考慮した方策を打ち出した橋下知事の決断は、今後の教育改革に大きな礎を作ったといっても過言ではない。

 財政難の今だからこそ、冒頭のような場当たり的な方策ではなく、子供達の未来を考えた“米百俵”の精神が必要になる。

(秋草 誠)



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FMICS 2月例会
(第604回例会)

 超就職氷河期。大学職員の人気が高騰しています。巷間では、安定していて、休みが多く、高給で、やり甲斐もほどほどにあるとも言われています。果たして、大学職員は楽園の住人なのでしょうか。
 2010年12月19日(日)、東洋学園大学にて開催された「人材育成学会」で桜美林大学大学院大学アドニストレーション研究科の院生が発表しました「新入大学職員に必要な能力に関する研究−20代の新卒3年未満の大学新入職員を対象としたアンケート調査に関する一考察−」に加えて、新たな視座からの分析結果も加えて、母校沈没回避のための新しい大学職員力とは何かを、皆さまと考えます。

■アンケート調査の概要:新入大学職員に必要な能力についての考察を行うために、大学(又は大学院)を卒業後、新卒で大学職員になった常勤(雇用形態は問わない。ただし、職務が限定されている派遣職員は除く)の20代で、勤続年数が3年未満の新入大学職員を対象として、「新入大学職員が既に身につけている能力」と「これから大学職員となる者が身につけておいたほうがよい能力」についてのアンケート調査を、2010年11月から12月かけて実施しました。
 12月15日現在、アンケートは、桜美林大学大学院大学アドミニストレーション研究科の関係各位に協力を得て、72大学(国立:13大学、公立:5大学、私立:54大学)に対して送付し、12月19日現在で51大学(国立:9大学、公立:2大学、私立:40大学)、106人から回答をいただきました。

■アンケート調査項目:調査項目は30項目です。経団連が実施した、新卒採用(2010年3月卒業者)に関するアンケート調査結果の「今年の採用選考活動の具体的な内容」の質問項目から15項目に、独自項目として15項目を採用しました。独自項目の内訳は、『AERA』(「大学職員になりたい」2010.9.20)の記事から2項目、国立大学新任職員研修の際に行った「新しい時代を創る大学職員に必要な能力」のアンケート調査で回答の多かった8項目、新たに設定した5項目です。回答者の属性は、最終学歴・出身校・所属部署・雇用形態・勤続年数の5点を質問項目としました。

■調査研究のまとめ:調査研究から得られた気付きは次の3点です。

  1. 入職する際に求められている能力は、一般企業であっても、大学でも、基本的には変わらないということが分かりました。
  2. 大学においては、一般企業にはない能力も求められており、新たな能力の開発の必要性を見出しました。
  3. 今回の結果をふまえて、私たちは、大学職員を志す想いを、より一層強くしました。

 調査研究によって、新入大学職員に求められる能力について一般企業にはない特殊な能力が求められる事が明らかになりました。

【日時】 2011年2月19日(土)
月例会 午後4時〜7時
懇親会 午後7時〜9時
【会場】 桜美林大学 四ツ谷キャンパス 3階 307教室 (JR・東京メトロ 四ツ谷駅 徒歩3分)
【テーマ】 母校沈没回避のための大学職員力を問い直す
〜新入大学職員に求めるられる職員力アンケート結果から〜
【調査報告・問題提起】 米田 敬子 (日本私学活性化協会研究員)
二宮 幸太 (桜美林大学 大学アドミニストレーション研究科 院生)
三上 喬太 ( 〃 )
水村 和幸 ( 〃 )
【コメンテーター】 南出 誠 (専修大学教務課長)
【参加費】 会員1,000円  非会員1,500円  学生(会員・非会員問わず)500円
【申込先】 米田 敬子 yoneda(アットマーク)fmics.org
*お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。
*当日の飛び入りも歓迎ですが、なるべく事前の連絡をお願いします。


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FMICS Staff Development 232

■FMICS Staff Development 略して 「SD」は、月例会とは別に、平日の夜に開催されているゼミナール型の勉強会です。

■あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(10枚程度)して、氏名と簡単なメモを付記してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。

■第二部として高等教育問題研究会・FMICSの30周年に向けて、FMICS人の中のFMICS人には「FMICS温故創新」の「温故」を、若きFMICS人には「創新」を30分間程度で語って頂きます。

【日時】 2011年2月22日(火) 午後6時30分〜8時30分 + 懇親会
【会場】 桜美林大学 四ツ谷キャンパス 3階 301教室
(JR・東京メトロ 四ツ谷駅 徒歩3分)
【参加費】 会員500円  非会員1000円  学生(会員・非会員問わず)300円
【申込先】 米田 敬子 yoneda(アットマーク)fmics.org
*お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。
*当日の飛び入りも歓迎ですが、なるべく事前の連絡をお願いします。


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FMICS あざみ野 SD 22

●ゼミナール型勉強会「SD」の首都圏西部地域での集いです。

●前回1月21日(金)の参加者数は、懇親会からの方も含めて11名。横浜市立大学事務職員(プロジェクト・マネージャー)公募の謎、受験生応援マガジン『拓(HIRAKU)』、学校法人財務情報の公開状況に関する調査結果、「日本人留学生数減少:若者は内向き」報道への違和感、PowerPointスライドをそのまま配布資料にする事(スライデュメント)の問題点、東大大学院「大学経営・政策コース」科目等履修生の志望理由書、経済界の早期採用活動抑制の動き、慶応義塾大学のセンター試験撤退の現場事情、オープンキャンパス研究の方向性、成蹊学園の専任職員採用方針、といったトピックスが寄せられました。

●この勉強会の原理は極めてシンプルです。参加者が何か1品、ネタを持ち寄り、みんなで議論します。

●ネタは、気になった新聞・雑誌記事、業務関連の資料、進めている仕事のアイデア、就活エントリーシートの原稿などなど、何でも構いません。ちょっとした事でも、他人の目に触れることにより思いがけない発見があるものです。初めて参加される方は、単に自己紹介だけでもOKです。

●資料(コピー)は12部程度お持ちください。

★今月は、祝日の日中開催です。

【日時】 2011年2月11日(金・祝) 午後12時30分〜2時50分+懇親会
*次回は3月21日(月・祝)の昼に開催します。
【会場】 横浜市山内地区センター 1階 会議室1
(東急田園都市線・横浜市営地下鉄 あざみ野駅 徒歩3分)
【参加費】 100円(会員・非会員問わず)+懇親会実費(3000円くらい)
【申込先】 出光 直樹 (横浜市立大学) naoki(アットマーク)idemitsu.info
http://n-idemitsu.269g.net/category/212623-1.html
*お名前、ご所属、懇親会への参加の有無をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。
*当日の飛び入りも歓迎ですが、なるべく事前の連絡をお願いします。


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会報 『BIG EGG』 3月号 発送作業

●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。

●ワイワイガヤガヤと近況報告を兼ねての楽しい時間は、美味しい中華料理屋での食事会へと引きつがれ、例会などのアイデアの多くが、この瞬間に生まれます。例会とは一味違ったFMICSの活動に、皆さまのご参加をお待ちしております。

【日時】 2011年3月8日(火) 午後6時〜9時+食事会
【会場】 日能研 恵比寿ビル

●初めて参加される方は、 mail2011(アットマーク)fmics.org (高橋真義)までご一報ください。当日の連絡先等詳細をお知らせいたします。



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速報 3月のFMICS

●FMICSの誕生は1981年3月14日。まもなく30周年を迎えるFMICS。3月恒例の関西FORUMは今年も琵琶湖畔で、ワイワイガヤガヤと夜を明かします。●私たちFMICSの原点は、大学を愛し、学生を愛し、未来を信じること、大学人になりたい!という初心をカタチにすることです。●今年のテーマは、「つなぐ、つながる」。あなたは、何をつなぎ、誰とつながりますか?●3月のFMICSでは、そんな、あなたとわたしの原点を検証します。

【テーマ】 つなぐ、つながる
【日時】 2011年3月26日(土)〜27日(日)
【参加費】 FORUM:2000円 懇親会:5000円 オールナイト:4000円
【会場】 大谷大学 湖西キャンパス・セミナーハウス
滋賀県大津市雄琴3丁目33−3  電話:077-578-6600
【発表者】

高橋 真義 (桜美林大学大学院教授)

志垣 陽 (立命館大学総合理工学院)

乾 明紀 (京都造形芸術大学准教授)

【申込先】 滝川 義弘 (大谷大学 教育研究支援部 075-411-8161)
tacky(アットマーク)sec.otani.ac.jp