過去のお知らせ一覧へ戻る


2011年5月のFMICS



見出しへ

時間と学費をムダにしない大学選び

 石渡嶺司さん山内太地さん共著による『時間と学費をムダにしない大学選び』の2012年度版が、4月20日に光文社から刊行されました。2008年4月に2009年度版が出てから4冊目(諸事情により2010年度版は石渡さん単著の体裁で『大学進学・就活進路図鑑』として刊行)。約900頁にも渡り、膨大な情報がつまった、百科事典のような労作です。

 毎年少しずつ改良も加えられいますが、基本的な構成は、「マスコミ」「司法」「医師・歯科医師」「アート・クリエーター」「栄養・料理」「スポーツ」「国際」等といった、業界・職種などの大学後の進路による章立てとなっており、それぞれの章毎に、主要大学からの就職者数; 平均年収ランキング; 大学受験のモデルプラン; 地域別、国公立・私立別の大学情報(一部の専門学校含む); 参考となる漫画・雑誌・書籍の紹介; 関係者・業界の裏話; 主な企業・職業・資格、といった内容が網羅されています。

 また「なりたい職業がわからない」「お金がない」といった章も、独立して設けられており、そうした悩みへの配慮も、ぬかりがありません。

 本書の価値は、なんと言っても“就活事情”(石渡さん)、“大学めぐり”(山内さん)、というフィールドを持った2人が、特定の大学に利害関係のない立場から、徹底した取材によって作り上げている点にあります。そしてまた、大学選びや就活といった進路選択には、決まり切った平板な答えは無い、というスタンスが貫かれている点にあります。

 公正・公平さがそれなりに覆っていた高校や大学入試までとは打って変わり、大学以降の人生は、不条理・不公正・不公平な現実に満ちあふれています。そうした現実を、自分にとって有利ものにするために、走りながら考えて決断を積み重ねていくしかありません。そのためには、“決断を下すために必要な情報、それも、うわべのものでなく現実的な情報を、出来るかぎり知ること”、そして“視野をできるかぎり広げること”が大切と、著者は言います。

 行間からにじみ出ているのは、進路選択に悩む高校生や、それぞれに努力している大学関係者に対する、著者の愛情あふれるあったかさ。この想い無くして、これだけの労作を出し続ける事は不可能でしょう。

 高校生や高校教員だけでなく、大学生や、キャリア形成途上の社会人にとっても参考になる本書。私も進学相談のハンドブックとして、とても重宝しています。

【追記】 著者のお二人から、あったかい告知が出ています。この度の震災で被災した岩手・宮城・福島・茨城の高校から申し出があれば、同書を上限100冊(各高校1冊)まで無償にて寄贈とのこと。また進路講演等ついても、講演料・交通費・宿泊費等、一切無償で対応してくださるそうです。詳細は、お二人のブログ(冒頭のリンク)をご覧下さい。

(出光 直樹)



見出しへ

箱庭からの進撃

 「想定外だった」と東北関東大震災や福島原発事故について、テレビでは菅直人首相や東京電力が説明していた。今回の地震を「未曾有」の大震災だったと表現する人もいる。この「想定外」や「未曾有」は私たちが住む社会の壁が想像していなかったパワーに破られたときに使われるものだといえる。今まで私たち自身が常識の壁を作り、その壁に縛られフト気づくと四方八方壁だらけの中に安堵し、子供達はその壁の中で教育を受け成長してきた。当然ながら、私もその壁の中で成長してきた一人である。

 これからの時代は、「未曾有」や「想定外」のことが増え、今まで経験したことやノウハウでは収拾がつかない事態に直面することが多くなると感じる。まさに「常識内の正解の時代」から「常識外の正解のない時代」に突入したといえるのではないだろうか。「正解のない時代」を生き抜くにはマニュアル通りに動くのではなく、様々な事態に臨機応変に対応できる能力が必要になる。

 日能研の高木さんは、私たちの暮らしてきた空間をわかりやすく著書『問題は、解いてはいけない。』の中で語っています。「朝起きれば、さあ歯を磨いてね、朝ごはんはちゃんと食べていくのよ。ほら、こぼしちゃダメじゃない。ハンカチ持った?給食着忘れてるわよ。帰宅すれば、手を洗って、ご飯を食べて、さあ次は―。何もかも誰かがお膳立てをしてくれるから、生活の中で自己決定する経験が少ない。これは子どもにとどまらず、大人社会にも通じる話でしょう。目の前に与えられた仕事をマニュアルどおりにこなすことで精一杯になり、工夫もなくただ、日々をすごしている。」この話は、多くの人たちが頭の痛くなる話だと思いました。

 けれど現状の空間を悲観的な見方をするのではなく、チャンスだと考えている人がいます。中谷彰宏さんは、著書『大学時代にしなければならない50のこと』に書いています。「自分が何をやりたいか、わからない人が多いと思います。大学を卒業して会社に入ったらそれなりに忙しくなるので、やりたいことを考えるということをどうしたかなと思い出す頃には、もう定年です。それが日本人なのです。今の君は、自分が何をやりたいかなどということを考えないで、人に言われたとおりに動くようにインプットされています。アメリカに生まれたかった、と考えるかもしれません。アメリカで夢を実現するのは大変です。誰もが夢に目覚めているからです。ところが日本では、まだみんなが寝ぼけていますから、ちょっと気づくだけで、抜きんでることができます。こんなにチャンスのある国はありません。」

 中谷さんは今までの生活の中に、気づかないうちに正解を求めていた習慣があり、この習慣に早く気づくことでチャンスが生まれるといっています。

 今回の災難をきっかけに「想定外」や「未曾有」の言葉に悲観的にならずに、「正解のない時代」を生き抜くチャンス到来だと考えてもいいのではないでしょうか。

(秋草 誠)



見出しへ

FMICS 5月例会
(第608回例会)

 FMICS5月例会のご案内です。今月のスピーカーは複数いらっしゃいます。

 4月例会のゲストスピーカーを務めていただきました『朝日大学ランキング』の小林哲夫さんには再度登場いただきます。震災・原発関係の取材に多忙な教育ジャーナリストでこの春学期から私立大学の非常勤講師になられた大重史朗さん、東日本大震災の被災地でのボランティア活動に注力された大正大学の上田忠憲さん、そして、文部科学省国立大学法人支援課の菊地勇次にそれぞれお話をいただきます。

 4月14日の月例会は、午後3時から5時までの2時間という短い時間に、膨大な情報が飛びまくりました。ただ、4月の月例会報告にもありますように、ご参加の皆さまには、ご発言をいただくことができず、なんとも消化不良でした。終了後、桜美林大学大学アドミニストレーション研究科のストレートマスターからは、もう一度、このテーマでやりましょうと嬉しくて前向きな提案がありました。

 提案を受けて、前回のパート2として、ご参加の皆さまには、大いに語り合っていただこうと考えました。まず最初に、『朝日大学ランキング』の小林さんに、今般の東日本大震災に際して大学はどのように動いたかについて総括をいただき、大重さん、上田さん、菊地さんには、それぞれのお立場から話題を提供していただきます。

 震災以来、日本中がモヤモヤしていますが、確実に復興に向けて世の中は動きはじめました。多くの方々が、自分に出来ることを一所懸命におこなうことこそが、被災地の皆さまを応援することになることなのだと気が付きました。

 高等教育問題研究会FMICS関西、恒例の3月の行事の「琵琶湖キャンプ」は中止いたしました。4月例会は慌ただしく開催しましたが、消化不良でした。そして、6月25日&26日にセットされた第27回高等教育問題研究会FMICSシンポジウムにつきましても、開催をすべきか否か決めかねていました。

 高等教育問題研究会FMICSに一体、何が出来るのかを問い続けて、出来ることは、1981年(昭和56年)3月14日に産声を上げた高等教育問題研究会FMICSの前身の「まずはじめよう会」の「初発の原像」そのものではないのかということに気が付きました。高等教育を何とかして良くしたいと願う人たちが、安心して「語り合うこと」が出来る「場」として誕生した、その原点に立ち返ることが、出来ることなのだと想いを新たにしました。

 FMICS5月例会は、FMICSの原点のカタチとして、ご参加者の皆さまには、スピーカーの皆さまのお話の後は、小さなグループになっていただき、思いっきりいろいろなことを語り合っていただこうと考えています。そして、5月例会の熱気をシンポジウムで束ねたいのです。

 今こそ、教員の皆さまには学生さんを鍛える教育力を、職員の皆さまには学生さんを支える教育支援力をしっかりと磨いていただきたいのです。特に、職員のみなさまには、学生さんの可能性を引き出す役割を教員と共に担うという自負を強く意識して欲しいのです。

 高等教育問題研究会FMICSの創会から30年がたちました。いつまでも、大学の未来を信じて元気元気元気でありたいと願うところです。今月と来月のシンポジウムでは、皆さまと大いに語り合い、元気元気元気になりたいのです。

【日時】 2011年5月21日(土) 午後4時〜7時
【会場】 桜美林大学 四ツ谷キャンパス 3階307教室
【テーマ】 大学の明日を語り合う
東日本大震災 その時大学はいかに動いたか 2
【スピーカー】

小林 哲夫 (『大学ランキング』編集統括)
大重 史朗 (教育ジャーナリスト・私立大学非常勤講師)
上田 忠憲 (大正大学 教学支援部)
菊地 勇次 (文部科学省 国立大学法人支援課)

司会 高橋 真義 (桜美林大学 大学アドミストレーション研究科教授)

【参加費】 会員1,000円  非会員2,000円  学生(会員・非会員問わず)500円
【申込先】 米田 敬子 yoneda(アットマーク)fmics.org
*お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。
*当日の飛び入りも歓迎ですが、なるべく事前の連絡をお願いします。


見出しへ

FMICS Staff Development 235

■激動の時代を教育業界の枠にとらわれることなく、大局的視座からじっくりと展望し、大いにディスカッションをいたします。

■あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(10枚程度)して、氏名と簡単なメモを付記してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。

■第二部として高等教育問題研究会・FMICSの30周年に向けて、FMICS人の中のFMICS人には「FMICS温故創新」の「温故」を、若きFMICS人には「創新」を30分間程度で語って頂きます。

【日時】 2011年5月25日(水) 午後6時30分〜8時 + 懇親会
【会場】 桜美林大学 四ツ谷キャンパス 3階304教室
(JR・東京メトロ 四ツ谷駅 徒歩3分)
【参加費】 会員500円  非会員1000円  学生(会員・非会員問わず)300円
【申込先】 米田 敬子 yoneda(アットマーク)fmics.org
*お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。
*当日の飛び入りも歓迎ですが、なるべく事前の連絡をお願いします。


見出しへ

FMICS あざみ野 SD 25

●ゼミナール型勉強会「SD」の首都圏西部地域での集いです。

●この勉強会の原理は極めてシンプルです。参加者がそれぞれにネタ(話題)を持ち寄り、みんなで議論します。

●前回4月17日(日)の参加者数は9名。横浜市大医学部長解任の謎、新人大学職員2週間の振り返り、『「大学町」の出現』が分析する東急電鉄の大学誘致、中途採用大学職員が前職の経験を語るキャリア教育(産能大)の試み、震災後の学生対応の悩み、電力需要逼迫に伴う授業期間設定の動向、東日本大震災に対する大学の初期対応、入試情報公開への大学の対応、『大学ランキング2012』が取り上げる高校からの意見、といったトピックスがよせられました。

●ネタは、気になった新聞・雑誌記事、業務関連の資料、進めている仕事のアイデア、就活エントリーシートの原稿などなど、何でも構いません。ちょっとした事でも、他人の目に触れることにより思いがけない発見があるものです。初めて参加される方は、単に自己紹介だけでもOKです。

●資料(コピー)は15部程度お持ちください。

【日時】 2011年5月13日(金) 午後7時〜8時50分+懇親会
【会場】 横浜市山内地区センター 1階 会議室1
(東急田園都市線・横浜市営地下鉄 あざみ野駅 徒歩3分)
【参加費】 100円(会員・非会員問わず)+懇親会3000円程度(収入による増減あり)
【申込先】 出光 直樹 (横浜市立大学) naoki(アットマーク)idemitsu.info
http://n-idemitsu.269g.net/category/212623-1.html
*お名前、ご所属、懇親会への参加の有無をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。
*当日の飛び入りも歓迎ですが、なるべく事前の連絡をお願いします。


見出しへ

会報 『BIG EGG』 6月号 発送作業

●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。

●ワイワイガヤガヤと近況報告を兼ねての楽しい時間は、美味しい中華料理屋での食事会へと引きつがれ、例会などのアイデアの多くが、この瞬間に生まれます。例会とは一味違ったFMICSの活動に、皆さまのご参加をお待ちしております。

【日時】 2011年6月1日(水) 午後6時〜9時+食事会
【会場】 日能研 恵比寿ビル

●初めて参加される方は、 mail2011(アットマーク)fmics.org (高橋真義)までご一報ください。当日の連絡先等詳細をお知らせいたします。