2011年9月のFMICS |
センター試験の成績を選抜に利用する各大学では、選抜に用いる教科科目について募集要項などで明示し、各受験生はそれに応じて必要な科目を、センター試験にて選択受験します。
例えば、横浜市立大学の一般選抜において医学部医学科では{国語1、地歴・公民1、数学2、理科2、外国語(英語)1}の5教科7科目を、同じ医学部の看護学科では{国語1、数学1、理科1、外国語(英語)1}の4教科4科目の受験を課しています。
この場合、医学科の理科2科目については、今回の変更に関わる問題は特に生じないものの、医学科の地歴・公民1科目や看護学科の理科1科目については、今回の実施方法変更により“裏技”の問題が生じる、ということになってしまいました。つまり、地歴・公民や理科で2科目受験で申請した受験者が、実際には1科目にのみ2科目分の時間をかけて解答するという“不正”が可能だという訳です。
従前、このようにセンター試験で受験可能な科目数より少ない科目数が指定されている選抜方式において、仮に受験者が指定科目数より多くの採点対象科目を受験した場合には、例えば横浜市大の医学科受験者が地歴・公民で2科目受験した場合や、看護学科受験者が理科で2科目受験した場合には、その2科目を比較して高得点の科目の成績を合否判定に採用することとしており、このような扱いが一般的でした。
選抜で課される教科科目は入学志願者の準備に大きな影響を及ぼす事項ですので、各大学では、文部科学省が毎年通知する「大学入学者選抜実施要項」に従って当該年度の2年程度前にはそれを予告・公表をし、このような複数科目受験に関する扱いも“高得点科目を採用”などと示します。
今回の、地歴・公民と理科の科目選択の弾力化を狙いとした変更の骨子については、そもそも平成20年8月5日付「大学入試センター試験の出題科目の選択範囲等の変更について」として文部科学省から公表されていた訳ですが、この時点では試験実施の詳細な方法が示されてなかった事もあり、地歴・公民や理科で1科目のみを課す選抜方式を実施する各大学においては、従前通り高得点科目を採用するとしていました。
ところが、いよいよ新しい方式の実施本番のシーズンを迎えるべく平成23年5月31日付「平成24年度大学入学者選抜大学入試センター試験実施要項」により詳細な実施方法が公表されたところで“裏技”の問題がクローズアップされると、“第1解答科目の採用”との対応策が急に浮上することになりました。
(出光 直樹)
「かたつむりがスタートします。ヨーイ、スタート」2歳の園児10人が、この言葉がけで集中して絵を描き始めます。先日、埼玉県の白鳥保育園の園長先生にお会いして、じっくりと話を聞くことができました。私は、実際に子供たちの描いた保育園の先生の顔の絵を見ましたが、兎に角みんなの絵が個性的で、小学生でもここまで描けないだろうと思うような素晴らしい作品でした。
園長先生曰く、「酒井式描画法」で指導すれば誰もが上手に絵が描けるようになるとのことです。大切なことは子供たちが集中できる5分〜10分程度しか絵を描かせないこと、1日に描く量を少なくしてゆっくりと集中して描かせることだといいます。1枚の絵に色をつけて完成するまでに毎日2週間程度かけます。そして、何よりも大切なことはひとり一人の絵に合わせた声がけ(擬態語を含む)です。顔を描く場合1日目は、紙の真ん中に穴をあけ、そこから鼻を出す導入を行い、コンパスで目の穴をあけ、子供達のキャーキャー喜ぶ様子やビックリする様子を穴からみて楽しむ。子供達に近づくと「鼻オバケー」と笑って逃げていくのが楽しい。鼻が真ん中にあることを印象づける。鼻を触る。鼻の穴の数、形、感触を話し合い、子供の気づいたことを認めほめながら行います。子供達は鼻の穴に指を入れ、穴が二つあること、小鼻のプヨプヨ、鼻柱のごつごつを感じます。そして「鼻の穴」だけをかたつむりのスピードで描かせます。子供たちは、このかたつむりのスピードで毎日絵を描くのが楽しみで、ワクワクして登園してきます。それまでは、子供に絵を描く指導法がなく、自由に描かせていましたが、やはり指導が重要だという点に気づき「酒井式描画法」を取り入れたといっていました。この話をお聞きして深く感銘するとともに、人間の可能性は無限だという原点に出会った気がしました。
先日、出会った本『驚くべき学びの世界〜レッジョ・エミリアの幼児教育〜』(佐藤学 監修)から得た情報と頭の中で交差した感じがしました。佐藤氏は「幼児教育所や幼児学校というところは、さまざまな考えが存在することを正当化し、さらに考えを深める事のできる場所の一つであると私たちは確信しています。多様な考えを表現し、耳を傾け、共有し、さらに深める事ができる場所なのです。」といいます。 二つの話から「反省」という言葉が頭の中をよぎりました。「最近の学生は」と嘆く前に、彼らの可能性が無限だということを念頭に置き、学生ひとり一人の個性を見、適切な声がけをし、必要とされる指導を必要なタイミングでおこなっているか、今こそ省みるべきではないでしょうか。そして、さらに広い視野で考え、教育のあり方を見直し、子供たちの現場から学べることに気づくことが大切なのかもしれません。 |
(秋草 誠)
ネットエイジアリサーチ「『大学選び』についての調査」によると;
◆その大学を選んだ理由は?
第一志望の大学・短大(現在通っている大学・短大)を選んだ理由を複数回答形式で聞いたところ、最も多かったのは「学びたい学部・学科があるから」で80.5%であった。以下「就きたい職業に必要な資格を取るため」が39.8%、「偏差値や学力が相応だったため」が30.9%、「就職などに有利そうだから」が29.3%と続く。性別立場別で比較すると、男子高校生・浪人生で「偏差値や学力が相応だったため」の項目が全体よりも7.4ポイント低い23.5%であったのに対し、「知名度に魅かれたため」の項目は全体よりも6.1ポイント高い19.6%であった。
◆「マス媒体が情報入手先」という学生は
第一志望の大学・短大(現在通っている大学・短大)を選んだ理由を、大学・短大の情報入手先別で比較すると、「車両広告や新聞・雑誌などのマス媒体」を入手先と答えた回答者は、「知名度に魅かれたため」が34.2%で全体よりも20.7ポイント高いのをはじめ、「ブランドに魅かれたため」「インターネット、テレビ、新聞等のニュースや雑誌の記事でたまたま見て学校名を知ったから」などの項目において、全体よりも10ポイント以上高いという結果になった。
この調査結果から、高校生は、就職を視野に入れたブランド志向があるものの、高校段階での学業成績を直視した進路選択をし、学びたい学部・学科があるからという理由で大学で選んでいると言えそうです。ただ、進学後の大学での具体的な学びについては、大学側からの情報開示も多くはないこともあって、ほとんどイメージが出来ていないようです。そのコトを引きずって、将来設計が出来ないままに就活に入っている学生さんが少なくありません。
「私は、高校に入学し、授業の一環として○○を学んでいましたが、次第に、○○に潜んだ魅力にとりつかれ、今まで以上に多くのことを学びたいと思うようになりました。こちらの大学のパンフレットを拝見し△△学部で、○○に関するさまざまな研究をしていると知りました。とても興味を持たせていただき、ここでなら更に多くのことを学べると思い志望しました」という志望動機書を読まされて、あなたはこの高校生は良いよねと判断されますか。この、志望動機書は事例集からの一文に手を加えたものです。
果たして、大学は、受け入れて送り出さなければならない大学の資産となる高校生たちからどのように見られているかの情報を取り入れようとしているのでしょうか。この「生徒の“せ”」的情報入手を意識すれば、大学名を差し替えただけのステレオタイプの大学パンフレットだらけになるとは思われません。
今月のFMICSは、高校生は大学をどのように見ているのかについて、高校生を日頃から近くで観ている、西編集長、高校生に挨拶の効用を語り続けて短期大学に異動された秋草さん、オープンキャンパスの仕掛け人の出光さん、桜美林大学一年生の皆さんと、本音ベースで語り合うことにいたします。大学関係者にとっては、原理原則、基本の基本を検証する企画です。お仲間、学生さん・生徒さんにもお声を掛けてご参加ください。
【日時】 | 2011年9月24日(土) 午後4時〜7時 |
【会場】 | 桜美林大学 四ツ谷キャンパス 3階307教室 |
【テーマ】 | 高等教育の明日を語り合う−3− 高校生は大学をどのように感じているのか |
【問題提起】 | 西 健太郎 (「高校生新聞」編集長) 秋草 誠 (秋草学園短期大学) 出光 直樹 (横浜市立大学 学務准教授) 石川 彩季 (桜美林大学 リベラルアーツ学群1年) 岩井 沙樹 (桜美林大学 リベラルアーツ学群1年) 司会 高橋 真義 (桜美林大学 大学アドミニストレーション研究科教授) |
【参加費】 | 会員1,000円 非会員2,000円 学生(会員・非会員問わず)500円 |
【申込先】 | 米田 敬子 yoneda(アットマーク)fmics.org *お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。 *当日の飛び入りも歓迎ですが、なるべく事前の連絡をお願いします。 |
■激動の時代を教育業界の枠にとらわれることなく、多面的・大局的視座からじっくりと展望し、あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(10枚程度)して、氏名と簡単なメモを付記してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。
■第二部として高等教育問題研究会・FMICSの30周年に向けて、FMICS人の中のFMICS人には「FMICS温故創新」の「温故」を、若きFMICS人には「創新」を30分間程度で語って頂きます。
【日時】 | 2011年9月20日(火) 午後6時30分〜7時30分 + 懇親会 |
【会場】 |
桜美林大学 四ツ谷キャンパス 3階301教室 (JR・東京メトロ 四ツ谷駅 徒歩3分) |
【参加費】 | 会員500円 非会員1000円 学生(会員・非会員問わず)300円 |
【申込先】 | 米田 敬子 yoneda(アットマーク)fmics.org *お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。 *当日の飛び入りも歓迎ですが、なるべく事前の連絡をお願いします。 |
●ゼミナール型勉強会「SD」の首都圏西部地域での集いです。
●前回8月21日(日)の参加者数は9名。特別編として実施し、アメリカの大学院における文芸創作教育について、留学中の当事者からじっくりとお話を聞きました。
●この勉強会の原理は極めてシンプルです。参加者がそれぞれにネタ(話題)を持ち寄り、みんなでワイワイ議論します。
●ネタは、気になった新聞・雑誌記事、業務関連の資料、進めている仕事のアイデア、就活エントリーシートの原稿などなど、何でも構いません。ちょっとした事でも、他人の目に触れることにより思いがけない発見があるものです。初めて参加される方は、単に自己紹介だけでもOKです。
●資料(コピー)は15部程度お持ちください。
【日時】 | 2011年9月30日(金) 午後7時〜8時50分+懇親会 |
【会場】 |
横浜市山内地区センター (予定) (東急田園都市線・横浜市営地下鉄 あざみ野駅 徒歩3分) |
【参加費】 | 100円(会員・非会員問わず)+懇親会3000円程度(収入による増減あり) |
【申込先】 | 出光 直樹 (横浜市立大学) naoki(アットマーク)idemitsu.info http://n-idemitsu.269g.net/category/212623-1.html *お名前、ご所属、懇親会への参加の有無をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。 *当日の飛び入りも歓迎ですが、なるべく事前の連絡をお願いします。 |
●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。
●ワイワイガヤガヤと近況報告を兼ねての楽しい時間は、美味しい中華料理屋での食事会へと引きつがれ、例会などのアイデアの多くが、この瞬間に生まれます。例会とは一味違ったFMICSの活動に、皆さまのご参加をお待ちしております。
【日時】 | 2011年10月5日(水) 午後6時〜9時+食事会 |
【会場】 | 日能研 恵比寿ビル |
●初めて参加される方は、 mail2011(アットマーク)fmics.org (高橋真義)までご一報ください。当日の連絡先等詳細をお知らせいたします。
大学生たちの意識調査は、それはたくさん公表されています。そのデータをどのように読んで、深いところをいかに読み取るかを考えます。
【日時】 | 2011年10月17日(月) 午後7時〜9時30分 |
【会場】 | 桜美林大学 四ツ谷キャンパス |
【テーマ】 | (予定)高等教育の明日を語り合う−4− 大学生たちの意識調査のデータの読み方 |
【問題提起】 | 三輪 麻衣 (リクルートHRカンパニー 新卒領域企画室採用ソリューショングループ) |