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2011年10月のFMICS



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センター試験の“裏技”をめぐる問題<後編>

 [地歴・公民]や[理科]で2科目受験を選択した受験生は、前半60分の解答時間+途中10分の答案回収時間+後半60分の解答時間の計130分の試験時間の中で2科目を解答します。途中の答案回収時間で集められた答案が「第1解答科目」、後半の解答時間終了後に回収された答案が「第2解答科目」と区分されますが、[地歴・公民]や[理科]において1科目を受験科目として課す大学(学部学科等)においては、「2科目を受験した場合は第1解答科目の成績を採用する」と指定すれば、純粋に前半60分のみの時間で解答された答案の成績で判定出来るという訳です。

 この「第1解答科目の採用」という対応策は、九州大学が今年の3月30日という早い段階で発表していましたが、6月に入ってこの裏技問題がクローズアップされて以降、同様の対応策を打ち出す大学が相次ぎました。横浜市立大学では、6月中旬に従前通り「高得点科目の採用」とした『平成24年度入学者選抜要項』を公表しましたが、大学入試センター等からの強い要請に応えて、7月28日付で[地歴・公民]や[理科]における1科目指定の選抜においては「第1解答科目の採用」に変更する旨を発表しました。

 しかし一方で、引き続き「高得点科目の採用」のままとする大学もあります。またいずれの大学であっても、従前通り独立した時間割で2科目が受験出来る[数学]の場合は、基本的に「高得点科目の採用」となるため、2科目受験に対する扱いが様々に混在する様相となってます。

 そもそも、今回の[地歴・公民]や[理科]の試験時間の統合は科目選択の弾力化を目的としていながら、「第1解答科目の採用」という制約が出現してしまい、受験生にしてみれば逆に不便な足かせとなりかねません。例えば複数の大学に志願する場合に、科目指定の関係によりそもそも併願が出来なくなるという事も起こりえます。全ての受験生が10月のセンター試験出願の段階で志望大学や教科科目を絞っている訳ではなく、幅広い教科科目を受験し、その結果により志望大学を決めていく受験生も多いのです。

 たしかに今回の実施方法では、悪意による裏技が可能ではあります。しかし、今回の変更点の骨子が公表された3年前の時点において、すでに裏技への懸念が指摘されていた(例えば:センター試験 過去の素材文を再利用&科目選択を弾力化 について考える | 大学を考える 2008.08.06にもかかわらず、明確な方針がないままに実施年度を迎え、ドタバタに対応策が打ち出されて善意の受験生が振り回されてしまう事が、残念でなりません。

 以前に取り上げたリスニングテストにも通じる問題ですが、局所的な解(リスニング力の把握や、科目選択の弾力化)の為に全体に大きな負担や歪みをもたらす事が無いよう、大局的な観点からセンター試験のあり方を構築してほしいものです。

(出光 直樹)



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大学かっぱえびせん論

 8月31日から始まった、読売新聞の教育ルネサンス「大学と保護者」の中から、気になる話を紹介したい。

 入学式に同伴する親が目立つようになったのは、どの大学でも同様だ。入り口の大学受験から、出口の就職まで、わが子へのかかわりを深める親たち。早稲田大学や法政大学でも、親から「サークルで帰りが遅いが、そんなに夜遅くまで活動しているのか」と心配する問い合わせや、「恋愛で三角関係になったので解決してくれ」他大でも「単位不足で卒業できない。こうなる前に親に知らせろ」など要求される。保護者への対策をしなければならない大学事情が載っていた。親が子供の自立を妨げていると感じるのは私だけではないはずだ。まして学生が「コミュニケーション能力」がないといわれているのは、過保護な親子間に原因があり、それを増長している大学があるといえる。

 最近ではビジネスに限らずどんな世界でも「コミュニケーション能力が重要」ということがひっきりなしに言われている。そんなとき重視されるのは、「伝え合う力」、「向き合った相手と信頼関係を築くこと」や「多くの人と強調する関係をつくれること」が求められているのと思うのだが、上記のように親と学生の関係を見ると、この親の関与が激しくて「コミュニケーション能力」が涵養されるとは思えない。個人的には「コミュニケーション能力」は、成長する過程の中で自然と育まれてきたと思うのだが、そうなっていないのが実情だといえる。

 ここで少し遡って、平成21年3月に文部科学省と厚生労働省から刊行された「保育所や幼稚園と小学校における連携事例集」の子どもの育ちの必要事項の中から、「(3)課程編成・指導方法の工夫」保育所保育指針の「(2)教育にかかわるねらい及び内容」の「エ言葉」の狙いとして、「@自分の気持ちを言葉で表現する楽しさを味わう。A人の言葉や話などをよく聞き、伝え合う喜びを味わう。B日常生活に必要な言葉がわかるようになるとともに、絵本や物語に親しみ、保育士や友達と心を通わせる。」があげられている。まさに「コミュニケーション能力」の原点を捉えていると思う。これを読む限り、「コミュニケーション能力」は、保育所や幼稚園と小学校の間にしっかりと確立されていてよいはずなのです。

 しかし、現実は「言葉」を味わったり、心を通わせたりすることができない学生が増えている。大学には、問題点は見えている!対策もわかっている!けれど具体的に何をどうすればよいのかが見えていない。目先の学生確保に惑わされ、過保護親子に振り回されている。まさに、高等教育現場が過保護を「やめられない♪とまらない♪」かっぱえびせん状態に陥っているといえる。現状を打破するためにFMICSで語り合いましょうよ!

(秋草 誠)



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FMICS 10月例会
(第614回例会)

 今月のFMICSは、リクルートの新進気鋭の三輪さんをお迎えして、それはたくさん公表されている大学生たちの意識調査のデータをどのように読んで、深いところをいかに読み取るかについてじっくりと語り合うことといたします。大学関係者にとっては、原理原則、知っているようで知らない「基本の“き”」を検証する企画です。

 週初めの月曜日の午後7時からという時間帯ではありますが、お仲間にお声を掛けられましてご参加ください。

 三輪さんからのメッセージです。

 「高等教育の明日を語り合う−4−大学生たちの意識調査のデータの読み方」というテーマをいただきました。皆様もご存じのとおり、大学生に関わる調査は、大がかりな継続調査から単発の小規模なものまで、それはたくさん公表されています。これらのデータをどのように読んで、深いところをいかに読み取るかというのは、若輩の私には身に余る、非常に奥深いお題です。

 そもそも、大学にとって、学生調査・データはどんな役割を持っているのでしょうか?調査自体の多様性と同じく、様々な役割があるでしょうが、特に大事な役割として、2つを取り上げたいと思います。

 1つは、大学の経営戦略の前提としての役割です。定量・定性の各種の事実をもとに、大学は、少子化と大学定員の拡大が同時進行する厳しい経営環境の中で、誰にどんな価値を提供することで競合差別化を図るかの判断が求められています。この「ポジショニング」は、言い換えると、入学者に対して何を約束するかということでもあります。

 そして、入学してくれた学生に対して、この約束が守れているかを、事実をもとに把握する「モニタリング」のプロセスが、調査・データのもう1つの重要な役割です。約束の遂行状況を把握し、必要に応じて打ち手を投入することで、約束を実現し、大学への信頼、ブランドが育っていきます。

 10月のFMICSの話題提供では、この「ポジショニング」と「モニタリング」のために使うという観点で、学内外の学生調査・データの読み方について、学生募集マーケティングやキャリア・就職支援に関わる例を取り上げ、皆様のディスカッションの素材とさせていただければと思います。

 つきましては、参加者の方々それぞれの調査やデータのご利用状況について、事前に簡易アンケートを取らせていただければ幸いです。

 お忙しい中恐縮ですが、ご協力いただける方は、10月14日(金)12時までにお送りください。
mail2011(アットマーク)fmics.org

1.日ごろの業務において、学内外の調査・データを使われることはありますか?(1つ選択)
 @:よくある  A:ときどきある  B:あまりない

2.どんな目的・用途で使われていますか?

3.よく使われる調査名、実施主体、内容について、差支えない範囲でお教えてください

【日時】 2011年10月17日(月) 午後7時〜9時30分
【会場】 桜美林大学 四ツ谷キャンパス 4階405教室
【テーマ】 高等教育の明日を語り合う−4−
大学生たちの意識調査のデータの読み方
【問題提起】

三輪 麻衣 (リクルートHRカンパニー 新卒領域企画室 採用ソリューショングループ 調査チーム)

司会 高橋 真義(桜美林大学 大学アドミニストレーション研究科教授)

【参加費】 会員1,000円  非会員2,000円  学生(会員・非会員問わず)500円
【申込先】 米田 敬子 yoneda(アットマーク)fmics.org
*お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。
*当日の飛び入りも歓迎ですが、なるべく事前の連絡をお願いします。


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FMICS Staff Development 240

■激動の時代を教育業界の枠にとらわれることなく、多面的・大局的視座からじっくりと展望し、あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(10枚程度)して、氏名と簡単なメモを付記してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。

■第二部として高等教育問題研究会・FMICSの30周年に向けて、FMICS人の中のFMICS人には「FMICS温故創新」の「温故」を、若きFMICS人には「創新」を30分間程度で語って頂きます。

【日時】 2011年10月31日(月) 午後6時30分〜7時30分 + 懇親会
【会場】 桜美林大学 四ツ谷キャンパス
(JR・東京メトロ 四ツ谷駅 徒歩3分)
【参加費】 会員500円  非会員1000円  学生(会員・非会員問わず)300円
【申込先】 米田 敬子 yoneda(アットマーク)fmics.org
*お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。
*当日の飛び入りも歓迎ですが、なるべく事前の連絡をお願いします。


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FMICS あざみ野 SD 30

●ゼミナール型勉強会「SD」の首都圏西部地域での集いです。

●前回9月30日(金)の参加者数は10名。千葉大学の“飛び入学”の新聞広告、AO入試にみる外国につながりのある受験生、『PRESIDENT』2011/10/17号“大学と就職・出世・結婚・お金”特集、こども手当と扶養親族控除、認証評価制度の疲労感と効率化、桜美林大学2011年秋の公開講座「大学とは何か」、名刺づくりワークショップ、横浜のアーティスト・建築家・デザイナーのスタジオ公開イベント『関内外OPEN!3』、といったトピックスがよせられました。

●この勉強会の原理は極めてシンプルです。参加者がそれぞれにネタ(話題)を持ち寄り、みんなでワイワイ議論します。

●ネタは、気になった新聞・雑誌記事、業務関連の資料、進めている仕事のアイデア、就活エントリーシートの原稿などなど、何でも構いません。ちょっとした事でも、他人の目に触れることにより思いがけない発見があるものです。初めて参加される方は、単に自己紹介だけでもOKです。

●資料(コピー)は15部程度お持ちください。

【日時】 2011年10月21日(金) 午後7時〜8時50分+懇親会
【会場】 横浜市山内地区センター 会議室3B
(東急田園都市線・横浜市営地下鉄 あざみ野駅 徒歩3分)
【参加費】 100円(会員・非会員問わず)+懇親会3000円程度(収入による増減あり)
【申込先】 出光 直樹 (横浜市立大学) naoki(アットマーク)idemitsu.info
http://n-idemitsu.269g.net/
*お名前、ご所属、懇親会への参加の有無をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。
*当日の飛び入りも歓迎ですが、なるべく事前の連絡をお願いします。


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会報 『BIG EGG』 11月号 発送作業

●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。

●ワイワイガヤガヤと近況報告を兼ねての楽しい時間は、美味しい中華料理屋での食事会へと引きつがれ、例会などのアイデアの多くが、この瞬間に生まれます。例会とは一味違ったFMICSの活動に、皆さまのご参加をお待ちしております。

【日時】 2011年10月28日(金) 午後6時〜9時+食事会
【会場】 日能研 恵比寿ビル

●初めて参加される方は、 mail2011(アットマーク)fmics.org (高橋真義)までご一報ください。当日の連絡先等詳細をお知らせいたします。